表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/123

008

その8です。

 微妙な温度差がありながらも、「食事会」は穏やかに進んでいく。主なオカズは互いの自己紹介や近況だ。


「お兄さんと二人暮らしですか」


「はい。兄の仕事の都合で日本に来たので」


 いろはとゲアハルトの会話を聞いた泰地は「はッ、ねぇ」と口元を歪める。


 これに、たまたま牛乳を読むべく本から目を外した長谷野が反応した。


「おい孕石、どうしたんだよ。つか、土曜のことがあったから気が回ってなかったけど、お前も朝からおかしかったな? バイトでなんかあったのか?」


「バイト――あー、うん。あったなぁ、バイト。色々諸々あったよ、バイト」


 壊れたのように「バイト」を繰り返す少年の姿に、長谷野はもとよりいろはも「ハラミ君? お腹痛いの?」と慌ててしまう。



 事情をある程度承知しているゲアハルトは、事態の収拾を求めて視線を忙しなく動かした挙句……泰地の頭の上で寛いでいる魔王サマに縋るしかない、と結論付けた。



 期待を向けられた魔王サマだが、やる気など全くない様子。


「ほっとけばいいのだ。初仕事で疲れたのも事実なのだ。しかし、我がくらは浪漫よりも快適性や利便性を優先させたことに拗ねているだけなのだ」


「スネてる?」


 三人に怪訝な顔をされた泰地は、きまりが悪そうにご飯を口の中へ放り込んだ。


 反論をしたいののだけどできない。守秘義務云々という部分もある。しかし、それ以上に魔王サマの指摘が正鵠を射ていたからであった。



(くっそ。なんだかんだで純粋な悪意ってワケじゃなさそうなのが性質悪いんだよな、この魔王サマは)


次回からは新展開です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ