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068

その68です。

「じゃ、これからの予定について説明する」


 ボスの説明欲が満足するのを待っていたように、榊が大きく手を叩いた。いよいよか、とタユーと泰地は姿勢を正し、表情も引き締める。


「我々はこれからこの会社――株式会社リョウウンへ向かう。そこで東京本部の別動隊と合流する。別動隊はリョウウンの社長を確保しているはずだ。そして社長同伴で家宅捜索を実施する」



 ごくり、と泰地は無意識に唾を飲み込んだ。本当に警察の捜査なんだな、と実感させれる。というか――



「ごめん。おいらたちみたいな素人が捜査の手伝いなんかできねーんじゃないの?」


 今まさに少年が切り出そうとした質問を、隣のタユーが先んじてくれた。


 話を聞く限りでは、今回の出動は三人+魔王サマだけではない。他にも捜査員が参加しているのであれば、まだ所属したばかりのタユーや泰地など役立たずであろう。



 これを受けた榊の答えは明快だ。



「一つは、さっきのルデル様みたいに、俺たちじゃ察知できない何かを捜査して欲しい。そしてもう一つが……」


「用心棒って事かい?」


「平たく言えばそういうこと。現代日本で怪物を暴れさせるような真似はしないと思いたいけど、異世界の犯罪組織とかが絡んでいたらムチャやりかねんからね」



 その可能性もあるのか、と泰地は意表を突かれた気分になった。



 問題の会社が独自に異世界絡みの犯罪に手を染めてる――と思い込んでいたけれど、向こうの世界に存在する犯罪組織と組んでいる可能性はある。異世界人は一方的な被害者なのだと決めてかかるのは、非常に危険な論理思考《落とし穴》だ。


 しかも、もし向こうの犯罪組織が一枚噛んでいるとしたら、日本の法律も倫理も通用しない。周辺への被害は計り知れない規模になると考えるのが現実だろう。


(前回のシェビエツァ王国の件もアレだったけど、今度も今度で厳しい話だよなぁ……)


 ちらりと横を窺うと、やはりタユーも顔に厳しさが滲んでいる。これが警察の仕事なんだな、と瞳が物語っていた。


 年少組の真剣な表情に、榊はもう一度手を叩いた。


「一応は手順を説明しておくけど、間違いなくアクチデントは発生する。緊急事態を念頭に入れて捜査に臨んでほしい」


次回、ようやく捜査開始です。

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