065
その65です。
最初に映し出されたのは、取り立てて特徴のない畑の風景だった。その視点はゆっくりと上昇・前進を始める。ヴェリヨが持っていた蜂型ドローンの撮影した映像なのだろう。
「これは、問題の会社から三百メートルほど離れた空き地から飛び立たせたドローンで撮影したものだ。すぐに会社が見えてくる」
榊の説明のとおり、ドローンは道路に沿って進んでいく。いくつかの民家や歯医者を通過していくと、真新しい平屋の建物が見えてきた。
この建物、それなりに大きいのだが、周囲を一周してみても窓が小さいモノがたった二つしかない。看板の類もなく、ただ壁に「RYO-UN」のロゴが書いてあるのみ。どういう会社なのかが全く分からない、確かに怪しい雰囲気に溢れている。
ドローンは玄関の見える位置――車か木の上に止まる。直後に画面がブラックアウトするが、すぐにまたさっきと変わらぬ光景が映った。どうやら待機モードだったようだ。
カメラには、ちょうど玄関に入ろうとしている人影があった。その人物が胸ポケットからICカードを取り出そうとまごついているうちに背後を位置取る。
ICカードを玄関脇の機械にカードをかざすと自動ドアが開く。
その隙に乗じてドローンが建物内へ滑り込むと、後ろから「あっ……わあっ!」と悲鳴が響いてくる。パッと見た目は大きなスズメバチだから当然の反応だろう。
ドローンは傍目には無秩序に進んでいく。しかしその実、ひとつひとつの部屋を隈なく丁寧に回っていく。当然のように次々と軽くパニックが起こる。
「ハチ! デカいハチ!」
「ちょ、なっ、どっから入った? あっ、危なっ!」
「殺虫剤! なんで窓がないんだよ!」
喧噪の中、あっちこっちへ飛び回った挙句、従業員の誰かが開けたらしい玄関から脱出する。時間的には十五分もないだろう。
ざっと確認したが、泰地にはさっぱりワケが分からない。
特段に変な部分などまるで気付かなかった。また、職場の各部屋もPCなどが並んでいたのだけれど、やっぱり仕事の内容なんて想像できない。
(なんだこれ? さっぱり意味が分からん)
どうにか2話投稿できました。




