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064

その64です。

「で、今回の任務はどう動くのだ?」


 珍しく魔王サマが先を促した。


 さすがは人間だった頃はワーカーホリック気味だっただけのことはある。任務と聞いて、現時点では平静を装っているが、心が躍り始めているのは顔が見えずとも明白である。


 はい、と雪郷がPCを操作し、スクリーンにうつされた画面を動かす。


「我々が今回踏み込むのは、ブラック企業の代表格の一つと名高いIT系の企業です」


「IT系って、具体的には何なのだ?」



「これが不明なんです」



 ええー、と年少組から不満があがる。それはそうだろう。「IT系」なんて具体的には括られてないに等しい。警察の仕事とは思えない雑さ加減だ。


 さすがに榊もバツが悪い表情を浮かべつつ横を向いてしまう。


「仕方がないんだよ。そもそもがある企業の内偵を進めるうちに浮上してきたって話で、調べる期間が短かった上に、IT系のくせにWEB上に情報とかも一切出してない、怪しさ大爆発なところだったんだよ」


 WEBで公開されている情報を頼りにするってどうなの、と考えてしまう泰地だったが、これは頭上から反論された。



「敵の施設へ極秘裏に潜入して機密情報を入手する、なんてのは浪漫に満ちた絵空事の話なのだ。実際の情報収集というのは、テレビやラジオ、新聞等々、一般に流布されている雑多な情報を集約し、精査して得るものなのだ」



 本当かなぁ、と疑ったものの舌には乗せない。少年としては、先の「飛行機」の一件でかなり懲りてしまっている。少女の方は「そうなのかぁ」と正面から信じているのがちょっと心配だ。


「もちろん、ただ怪しいってだけでツッコむわけじゃない。かなり疑わしい証拠を確保できているから、今回の一斉検挙の一つに選ばれたんだ」


 榊の口調は早口になっていた。しきりに雪郷に視線を送って画面を切り替えるよう無言で要求している。雪郷も多少は思うところがあるのか、素直にその要求に従う。



「で、これから流す動画は、その企業の建物に蜂型ドローンを忍び込ませて撮影したものなんだ」



 ……くらからの無言の圧力を、魔王サマは難なく受け流した。


本日は、もう1編投稿させていただきます。、

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