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062

その62です。

 ブリーフィングルームなどと言葉は飾っているが、中身は大したことはない。普通に椅子と机が並べられていて、大型スクリーンとプロジェクターに接続されたノートPCがあるだけの部屋だ。


 部下たちを適当に座らせた雪郷は、PCを起動させながら「ほんじゃ、今回の任務の説明を始めるよん」と軽い調子で喋り始める。


「今回は、東京本部が進めていた内偵の詰めだな。全国のウン課で一斉に作戦を開始し、一網打尽を狙う――と」


 PCのプレゼンテーションソフトが立ち上がると、ボスはサカキに視線を向ける。サカキは頷いてスクリーンの横に立った。



「改めて自己紹介をさせてもらう。俺は榊久喜さかきひさよし。公安ウン課東京本部の人間だ。今回は、雪郷支部長から説明があったとおり、我々東京支部が進めていた捜査の総仕上げを手伝ってもらうこととなった。よろしくお願いする」



 サカキが直立不動の姿勢から見事な礼を披露してみせたので、泰地も慌てて姿勢を正して頭を下げた。先ほどまでのフランクな調子が嘘のようだった。


 前回のシェビエツァ王国での一件は、ぶっちゃけ警察の仕事ではないと評されても文句の言えない任務だった。しかし今回は、東京本部が進めていた案件である。かなりシビアな内容になるのではないか――少年の緊張は高まる。


「内偵を進めていたのは、世間一般ではブラック企業なんて呼ばれているアレだ」


「一昔前の歌に、ジャパニーズビジネスマンは二十四時間戦えるってのがあったよなぁ」


「栄養ドリンクのCMソングだったあれでしょ? 聴いたことありますけど、今の時代じゃ笑えない歌詞ですよね」


「あの当時はあの歌詞を笑って済ましていたんだよなぁ。落ち着いて考えてみると、とんでもない時代だよ」




「すみません。脱線はほどほどにしてください」


「そうだな。分からん話をグダグダ聞いても眠くなるだけってもんさね」


 年少者二人からの慈悲に欠ける抗議に、年長者二人は傷ついた顔をした。


牛若丸三郎太。

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