表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/123

061

その61です。

 三人で例の地下基地の事務所に入ると、「お疲れー」と席を立つ人影があった。


「噂の魔法少女と、ルデル様とそのくら少年か。お久しぶり……でもないか」


 どうやら彼――横北と同世代らしい、ボクサーを彷彿とさせる引き締まった細身の男性が、例のホワイトボードに書いてあった「サカキ」らしい。


 初対面ではないと言ってるようだが、泰地の記憶に該当する顔はない。


 どう応じたらよいものやら迷う少年に、サカキはにやりと微笑む。


「ま、分からんか。ほら、新人研修で死体とか鬼とかに変装してたのが俺だよ」


「え? ああ。ええ?」


 言われてみれば、声が同じような気がしてきた。もちろん、あの廃ビルでの「研修」を知っている人間は限られているので、サカキの言葉を疑う余地はない。


(こんな顔だったのか……って、ちょっと待て。人外にも化けられるんだから、この顔が素顔であるとは限らないんじゃないか?)



 ウン課に所属して以来(というか雪郷と話して以来というべきか)、ハリセンボンのように全方位へ疑惑の針を向けている少年だった。



 雪城は拍手をして注意を促す。


「ほんじゃ、自己紹介とかは二階のブリーフィングルームへ行ってからにしようや。いくら時間を気にしなくていいからって、適当にやってるとキリがないし」


 一応は上司としての自覚はあるらしい。一番ダラダラしたいであろう人物からの提案では従わざるを得ないというものである。


 率先して階段を上がっていくボスを、タユーが追随していく。その後姿に、サカキは驚きを隠せない表情で呟いた。


「……どうやったら、あんな服と下駄で、あの階段を普通に登れるんだよ……」


「改めて見ると、凄く異常ですよね……」


 さっきはタイジの後ろを陣取っていたので気付かなかったが、実際に目の当たりにすると明らかにおかしい気がしてくる。というか、物理法則と人間の可動域を完全に無視しているかのような動きだ。



「しかし、魔法の類は使ってないようなのだ」


「冗談はやめてくださいよ。魔王サマ……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ