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059

その59です。


今回から、やっと事態が動き始めます。

「え? 今日はタイジさんとは別行動なんですか?」



 昨日と同じく横北の運転でUN芸能事務所へ訪れた日曜日。


 今日は自分だけレッスンに入ると聞かされて、ゲアハルトは戸惑ったように雪城の言葉をオウム返しにした。


「そそ。実は昨日の夜に公安ウン課としての仕事が入ってきてね。二人で一緒にその仕事をやってもらっても良かったけど、やっぱりゲアハルトは早く日本の生活に慣れてもらう必要があるから、ここは別行動ってことで」


 ちらり、と雪城が小さく瞳を動かした先には、今日は珍しく掃除をしていないマエカケさんが頷いている姿があった。たったこれだけだけれど、なんとなく何かがあったのは察することができる。


「それに、南河のダンナもできるだけ早いうち――可能であれば7月くらいから企画をスタートさせたいって言ってたからなぁ。7月にできるかどうかは別として、レッスンは早いうちからやっといて損はないし」


 南河の無茶苦茶な要求には呆れてしまうが、環境への慣れやレッスンを優先した方がいいという方針には泰地も文句はない。


 確かにゲアリンデ(ゲアハルト)は、マエカケさんによる教育の賜物か学校でも特に問題なく生活できていた。


 しかし、彼女の出身であるシェビエツァ王国と現代日本とでは、文化も生活も相当に違っている。「外国出身だから」では誤魔化せないアクチデントを起こしてしまう可能性を考慮しなければならない。


 慣れない環境で一人になるゲアハルトの不安は分かるが、マネージャーである横北もいるので、なんとか頑張ってもらうしかないだろう。




 ここで、同じく事務所に来ていたブルーマロウ・タユーがゲアハルトの背中を軽く叩いた。


「なぁに、心配しんぺーいらないよ。おいらがコイツの面倒を見てやるから、あんたは稽古に励んできなよ」


「そうですね。タユーさん、タイジさんをよろしくお願いします」



(……あれ? なんか俺が末っ子的なポジションなの?)



 泰地は微妙に理不尽な気分に陥ったが、不満を口にしたら末っ子ポジションが確定される未来が待ち構えている気がしたので沈黙を保つしかなかった。


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