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005

その5です。

「まあ、正確を期すならば、転校生じゃない」


 目板教諭はハンカチで首筋を拭きながら説明を始める。



 その生徒は、本来ならばみんなと同じように入学式に参列し、北南高校1年2組の一員として学校生活をスタートするはずだった。


 けれど、のっぴきならない理由から登校予定がずるずると延期され、先週末にようやく諸々の手続きが完了したため、今日から登校可能となった――らしい。



 これを受けて、一人の生徒が手を挙げる。


「すみません。手続きとかが必要って、その転校生って外国の人なんですか?」


「鋭いな。家庭の都合で来日した、という話だ」


 先生の肯定に、当然のごとく一同はざわめき始める。


 なるほど、色々と不自然な部分があったのは事実だが、相手が外国人なら無理もないか、という気分になる。微妙な日程のズレも、手続きやら審査やらに不備・不手際があったとすれば、本人にとっては不可抗力な問題だろう。



 こうなると、俄然興味は転校生本人に絞られる。


 男か女か? 人種は、出身国は? そもそも日本語は通じるのか?



 収拾がつかなくなる前に、目板教諭は大きく拍手をした。


「静かに。じゃ、転校生を呼ぶが、大きな声で騒ぐなよ。いいな?」


 噛んで含めるような口調で念を押し、無駄話がなくなるまで待つ。全員の口が閉じたのを確認すると、閉めてある扉に向かって「入ってきてくれ」と呼び掛けた。


 静かに扉を開いたその人影に、教室が感嘆の溜息で包まれる。


 目板教諭の横に立ったその生徒は、自分に集中する好奇の視線を微風のように受け流しながら優雅に一礼をした。




「はじめまして。ゲアリンデ・ミュエ・シェビエツァと申します。事情があって今日からこの学校に通うこととなりましたが、皆さんよろしくお願いします」


そんなワケで、ゲアリンデさんがレギュラー入りです。



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