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spmp44です。
「なんなんですか、彼女? 色々とアレなんですが」
車中の人となった泰地の第一声に、運転席でシートベルトを装着する横北は苦笑を返す。ゲアハルトも、口は開かないが疑問満載状態だ。
自分も詳しい話は知らないんだけど、と前置きしてから横北が説明を始める。
公安ウン課は日本政府(の一部)が認めたオカルト対策機関なのだが、それ以外にもそういう組織が存在しないはずがないのは想像するまでもない。民間レベルではもとより、政府内の一部勢力が極秘裏に抱えているとしても不思議ではないだろう。
そんな有象無象の中で「魔法少女」の存在は、比較的有名だ。……いや、「だった」と過去形にしなければならない。
「というのも、少し前に勃発した魔法少女とその敵との最終決戦で、敵勢力の消滅にはなんとか成功したけど、魔法少女側もズタボロの壊滅状態になってしまったって話でね」
「その最終決戦ってのが裁判戦争と呼ばれてるって話ですか」
詳細は分からないけれど、大まかな流れは掴めた。横北の説明は無駄がない。
と、ゲアハルトが代わって質問をぶつける。
「すみません。どうしてタユーさんは公安ウン課に入ったんですか? 魔法少女陣営は完全に機能停止状態なんですか? 残党狩りに手こずっているとか? それとも、別の問題があったんですか?」
「雪郷さんの話を聞く限りだと、その全部らしい」
ただ、これ以上は芸能関連が主業務である横北には知らされないとの話だった。ここまで知ってるだけで充分な問題に思えるのだけど。
「つまり、ウン課の活動でも魔法少女関連の案件が絡む可能性も考慮しなければならない、ということですか……」
顎に手を当てて思考を始めるゲアハルト。男の泰地の目からしても、惚れてしまいそうなカッコよさである。赤の宝玉の力もあるが、素材の良さが大きく貢献しているのは間違いない。
(……あれ? そういえば、ゲアハルトってウン課の仕事をやるの? え? それって大丈夫なの? いや、剣が使えるのは知ってるけど、魔法は日本じゃ使えないだろ?)
今日は、あと1編投稿します。