表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/123

041

その41です。

 UN芸能事務所は、今日もやっぱりマエカケさんがモップで床掃除をしていた。三人が揃って挨拶をすると、彼女は掃除の手を止めて――もちろん無言で頭を下げる。


「マエカケさん」掃除に戻ろうとする彼女をゲアハルトが呼び止める。「先日はありがとうございました。今後もご指導よろしくお願いします」


 マエカケさんとゲアハルトが笑顔で頭を下げ合う。しっかりコミュニケーションが取れているようで、泰地は――逆に不安になってきた。



 和やかな空気を乱しにかかったのは、社長室から出て来た雪郷だ。



「はよっす。来たかい、お二人さん。横北もお疲れちん」


 ネットで「人を不愉快にさせる言葉遣い」を検索してから喋っているのか、と泰地はイライラを募らせる。横北はともかく、ゲアハルトが気分を害していないのが信じられない。


 無論、少年の胸中など知ったことではない雪郷は、上機嫌でマエカケさんをちらりと一瞥した後に応接セットへ三人を促した。


「実は、挨拶回りの前に来てもらったのは理由がある。紹介したいヒトがいるんだわ」


「紹介したい人、ですか」


「そうそう。お前さんたちよりも一か月……あるかないかって感じの差で先輩だけど、まあほぼ同期だ」


 意外とマトモな理由で呼んだんだな、と泰地は納得しそうになったが、すぐに別に疑問が頭をもたげ、素直に尋ねることにする。


「すみません。それって芸能関係なんですか? それとも……」


「おっ。鋭いじゃないの、孕石ちゃん。ルデル様がお休み中だから張り切ってるのかな?」


 そんなことはどうでもいい、と少年が睨みつけると、雪郷は咥えているシナモンスティックをピコピコと上下に動かした。


「その答えは、本人に直接会ったら分かるってもんよ。じゃ、ブルーマロウ・タユーさん、お願いします」



 なんだその名前は、と呆れながら振り返った泰地は――そのまま硬直した。



 同じく振り返ったゲアハルトは「すみません。私には分かりません」と呟くのが精一杯だった。


今日は令和初日なので、書き溜めていた分を一気に放出してみます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ