表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/123

028

その28です。

 汗をタオルで拭い、息を多少乱しながら玄関を開けたのは、三十歳前後の青年だった。


 泰地が受けた第一印象は「普通」の一言に尽きる。というか、ヴェリヨやら雪郷やらゲアハルトやらゲアリンデやらを立て続けに見た後では、並外れた特徴がない限りは印象が薄く感じてしまうのを避けられない。


 玄関から靴をひっかけながら出て来た青年は、呼吸を整えてから軽く頭を下げた。



「はじめまして。俺は横北。UN芸能事務所の人間だ」



 人当たりの良い笑顔だ。芸能プロダクションに勤める人間の必須スキルなのだろうか。



 改めて泰地は素早く横北氏の全身を一瞥する。


 ぶっちゃけてしまえば、やっぱりヴェリヨは当然としても雪郷よりも――というか、成人男性の平均と比べて線がやや細い気がする。痩せ過ぎというほどではないが、公安という仕事を考えると心配になってくるのも事実だ。



 少年の胸中を悟ったのか、横北は笑って言葉を続けた。


「いや、俺は警察の人間じゃないよ。民間の協力者って感じ」


「え? それって……」


 質問を重ねようとした泰地だが、はたと気付いて止まった。いくら敷地内でも、青空の下で堂々と喋っていい内容じゃない。


 同じくそれを察知したヴェリヨが持っていた段ボールを地面に置くと、泰地と横北にほいほいと手渡す。


「それじゃ、さっさと荷物を片付けて孕石の部屋で一服するとしようか」


 この提案に、泰地はもちろんゲアリンデも「それはちょっと」と反論する。だが、魔王サマがそれらを常識で一蹴した。



「まだ引っ越しの荷解きも終わってない若い独身女性の部屋に、男が三人も大挙して寛ごうというのだ?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ