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021

その21です。

 闖入者による唐突な発言に、一年二組全体が動揺する。表情を崩さなかったのは、嶺華嬢の後ろに控える双子くらいだろう。


 驚いて振り向いた峰華嬢は、相手を確認して明らかに不機嫌になった。


五明田ごみょうた先輩。二年生のあなたが、一年の教室に何の御用ですか」


「もちろん、噂の転校生が噂どおりの人物なのか興味があったからさ」


 気障な言い回しと仕草に、嶺華嬢の良眉が不快で大きく曲がる。普段の自分を鏡で見せられた気分ではないか――などと考えるのは穿ち過ぎか。


 五明田なる名前の彼が、皐会の人間らしいのは間違いないだろう。


 だが、その場にいた半数以上が「何者?」と首を捻る。残りは『もしかして、ネット販売で有名な『雲海』の社長の息子?」とうっすら思い出した。



 それは脇に置いておくとして、この五明田先輩は社長の息子であるか否かを加えずともイケメンである。というか、かなり外見に気を使っているのが雰囲気で察せられる。同学年の女子からは相当にモテているのは間違いないだろう。


 ところが、一年二組の女生徒たちの反応は相当に鈍い。これは、五明田先輩も内心では戸惑っているかもしれない。



 答えは単純で、クラス随一の変態なんて地位を既に確立している長谷野愁の存在だ。



 顔面の造形は各人の好みがあるから優劣は決められないが、長谷野には「アルビノ」なんて特性がある。小学中学九年間を皆勤賞を達成しているにもかかわらず病弱そうに見えるというのは、やはり外見偏差値としては強力な武器となる。


(長谷野が皐会に呼ばれない理由って、問答無用であの趣味のせいだよな)


 毎日のように突撃してくる嶺華嬢が見た目だけなら目立つ存在の長谷野を完全に蚊帳の外状態としているのは、事前の身辺調査で失格扱いになっているからなのだろう。ある意味、長谷野のブレなさ加減が怖くなってくるのは誰でも当然な反応ではなかろうか。


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