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012

その12です。

「先ほど、国王陛下から説明を受けました」


 ゲアハルトが語るところによると、国王ビゼンテル三世は当初から魔王討伐とゲアハルト亡命をセットにして日本政府に要求していたらしい。


 理由は単純で、魔王復活が数十年――少なくとも子や孫の世代まで延びた場合、そこから勃発する最大の問題は「ゲアハルトの結婚」となるのが確定的だからである。



 先にも説明したが、ゲアハルトは「祭騎士」という特殊な役職に就いている。祭事を司る立場なので王位継承からは除外されているのだが、現実は額面どおりには済まされない。


 ゲアハルトがシェビエツァ王国の現国王の長子であるのは動かせない事実であり、政治に対する発言権はないとされ本人にもその意思がないとしても、影響力を持ってしまうのはどうしても避けられない。


 つまり、ゲアハルトが伴侶を得た場合、その出身国がシェビエツァ王国の黒幕フィクサーと化してしまうという懸念が極めて強いのである。



 ならば結婚しなければ問題ない話なのだが、それはそれで難しい。


 建前上は「祭騎士は神に身を捧げた存在なので伴侶は不要」となっているものの、実際に独身で生涯を終えた祭騎士はほとんどいない。何のかのと周辺国から突き上げを食らって、妥協せざるを得なかった――なんて歴史を繰り返している(いわゆる仮面夫婦となるのだが)。


 しかし、これは国王やラインターナー候はもちろん、冷戦関係にあるエックホーフ伯としても看過できない問題だった。王宮に他国が首を突っ込んでその舌で掻き回すなど、あってはならない未来である。


 両者の利害は一部で合致した。



「そこで、ラインターナー候とエックホーフ伯が、私の亡命を認めるようにニホンと交渉していたそうです」


「魔城を粉砕して魔王復活を阻止した強大なる存在のルデルが、その旅に同行したゲアハルトを気に入って伴侶にした、という完璧なカバーストーリーなのだ」




「いや、伴侶云々は指示になかったですよ?」とはヴェリヨの言。


「成功を期待してなかったから、こんなムチャが許されるんですかね……」とは泰地の言である。


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