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118/123

118

その118です。

「大失態だ。皐会発足以来の大失態だよ」


「あんなのを皐会に――いや、この学校に所属していたなんて、マスコミどもに面白おかしくネタにされるに決まってるわ!」


「だから最初から反対だったのよ! あんな虚業の成金なんかを皐会に招くなんて」


「そもそも、アレがこの学校に来たのも、地元で女に手を出しまくっていたからって聞いたぞ?」




 放課後に開かれた皐会の集会は、それはもう喧々諤々だ。


 原因は、説明するまでもなく五明田涼真の父親の逮捕、そして五明田一家がさっさと夜逃げをした事実である。




 今さらのように五明田の人格を糾弾し始めるメンバーたちの姿を目の当たりにし、山井嶺華は――特に感慨はなかった。所詮はこんなものなのだ、と冷めた目で観察するのみ。


 嶺華のように「皐会は自分たちが実績を積み上げていく!」などと意気込んでいる人間が少数派なのだ。大半が、ぶっちゃけ「社交場」として利用し現状を維持することしか考えていない。


 五明田が入った時だって、彼らは「これからの日本経済を担っていく逸材だ」などと誉めそやしていたのを嶺華は覚えている。


 アホらしい――と双子(須郷赤)の淹れてくれたお茶と双子(須郷紫)手作りのクッキーを口にしつつ完全に観戦モードに入る嶺華。一年生である上に気合が空回りしている感のある彼女は、皐会の中でやや腫れ物的存在となりつつあるのだが、今回はそれがありがたい。




「とにかく、五明田が学校にいた記録を抹消させるべきだ!」


「そうだな。役人どもだって、犯罪者を招いたなんてスキャンダルはさっさと消したいだろうからな」


「素性調査をしっかりしてないのが悪いのよ。所詮はお役所仕事って話ね」


 自分たちの棚上げぶりが凄まじい。


 浅ましい先輩方を眺めながら、嶺華は豊田での夜を思い出していた。


(告げ口したのは誰か判明してるけど、どのタイミングで追い詰めるかが考えものね。私を排除したがっているのは他にもいそうだし)


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