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117/123

117

その117です。

 北南高はざわついていた。


「やっぱり噂になってますね」


 そう囁くゲアリンデにも、微妙に注目されている。


 さもありなん、とスルーするしかない。



 なにしろ、つい先日までゲアリンデを追いかけまわしていた五明田涼真の父親が逮捕された、なんてニュースが全国放送で伝えられたのだから。



(つか、あのリョウウンって会社の親会社が五明田先輩の父親のやつだったのかよ。『雲』繋がりでしたー、なんて気付けるかっての)


 まさか昨日の今日(というか、正確には未明だが)で社長を逮捕するなんて、いくらなんでも拙速な気がしてならない。何か別の意図――陰謀の類があるのではないか、などと考えてしまうのは、泰地の若さゆえか。




 教室に入ってみると、女子が何人かゲアリンデへ走り寄ってきた。


「ゲアリンデさん、大丈夫?」


「大丈夫……って、何かあったんですか?」


「五明田先輩が今日は学校に来てないって」


「もしかしたら、セレブのゲアリンデさんを誘拐するつもりじゃないか、なんて噂になってるよ」



 えええええ、とゲアリンデはもちろん泰地も鼻白んでしまう。いくらなんでも話が飛躍し過ぎだろう。



 次々に「家、特定されてない?」とか「電話番号は教えてないよね」等々の質問がゲアリンデへ浴びせられる。心配なのは分かるけど、さすがに過剰反応な気がしてきた。


 どうしたものかと泰地が手をこまねいているうちに、校内放送を知らせるメロディが響く。


『1年2組のゲアリンデ・ミュエ・シェビエツァさん。登校していたら校長室まで来てください。繰り返します。1年2組の――』


 ……予想以上の大事に発展してるじゃないか。


 合わせるように、担任の目坂教諭が教室に顔を出した。一瞥してゲアリンデを発見すると「すまん、ちょっと」と手招きする。



(もしかして、今日は自習が多くなったりして?)



 生徒たちの間に、そんな淡い期待が生まれてしまうのも無理からぬ話である。


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