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101/123

101

その101です。

 三人で眠っている子供たちを部屋の中央あたりに集めて並べる。子供とはいえ、なかなか骨の折れる作業だ。


 その作業を終えると、榊はその周囲を例のチョークで線で囲み始める。


(なんか魔方陣でも書くのかな?)


 泰地はそんな淡い期待を抱いたが、榊は大きな丸を書いただけでチョークをしまった。


「なんだよ、丸で囲んで終わりかよ?」


 拍子抜けはタユーも同様だったようである。もしかしたら、魔法少女的に物申したい部分があるのかもしれない。


 対する榊は、わざわざチョークを持つ際に嵌めたゴム手袋を脱ぐと、ご丁寧にライターで燃やしてしまう。あっという間に燃え尽きてしまったが、独特の臭いが部屋に充満した。


「簡単に説明すると、このチョークの粉そのものが魔方陣みたいなもんなんだよ」




 敵がいつ襲ってくるか分からない状況で、いちいち複雑な文様を床に書くなんて非常にナンセンスな話だ。そこで、例の地下基地を創ったりした「天才」は、その手間を省く発明品を用意したのである。


 ただし、その機能はかなり限定的だ。


 まず、この簡易魔法陣は一方通行のゲートであり、対象を異世界へ送ることはできても、逆に何かを呼び寄せることはできない。


 次に、送付先の指定はできない。今回の場合では、円で囲った子供たちは無意識の世界にある「病院」へ強制的に送られる。別の場所に送りたいときは、面倒だが新たなチョークを用意してもらう必要がある。


 そして、位置情報を通知しなければならない。実は、最初に榊がグワンセンを撮影していたけれど、これは警察手帳端末チョータンにインストールされている位置情報を送る専用アプリを起動していたからだ。異世界の位置情報なんて意味が分からないが、例の「天才」様には理解できているらしい。




「で、送る対象の人とか物をアプリで撮影して、最後に転送実行ボタンを押せば完了って段取りだ」


 タユーも泰地も想像を超えた「魔法」に素直に感心したが、同時に釈然としないものも感じてしまう。システマティック過ぎてありがたみが無いというか。


 年少組のモヤモヤ具合を、理解はできるが特効薬もない――と、榊はさっさとアプリを起動させ、子供たちを撮影し、「転送実行」ボタンを押した。


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