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010

その10です。

 兵器の操縦席なんてシロモノは、搭乗者の居住性を後回しにされている場合が多い。


 限られた空間に大量の機械を詰めねばならないので仕方がない部分もあるし、むしろ搭乗者の緊急時における安全性を確保するべく敢えてタイトにしている面もある。


 だが、狭苦しい閉鎖空間が人間に与えるストレスは説明するまでもない。それが戦闘など非常時ともなれば、なおさら無視できない高負荷だ。



 ルデルは魔王になる以前――軍人として活躍し、そして退役してからも、搭乗員の安全確保を強く主張してきた。だがそれは、単純に身体だけの問題ではなく、精神面に対しても熟慮されねばならないと考えていた。



「そこで、人間が一人で落ち着けるであろう広さの空間を用意し、日本人には馴染みの深い畳とコタツを設置させたのだ。日本の独身男性というのは、大半がこんな部屋で生活しているのだ」


「いや、そうですけど」


 魔王サマの主張は頷ける部分が多いのは確かだ。人間が計器を操作可能なだけのスペースに押し込まれれた場合の負担の大きさは、体験せずとも容易に想像できる。


 翻って「御手杵」のコックピット(?)は、立って歩いて横たわるにも十分な面積がある上に、写真では見えないが空調などもきちんと用意されている。実際のところ、一人暮らし用の部屋と考えれば、なかなか理想的だったりする。




 だからといって支持する気にはなれない。




 こんな庶民的な部屋が巨大ロボットの心臓部であるなど、「ガンダ〇」や「ボト〇ズ」などに代表される巨大ロボット文化を身近にして育ってきた日本男児としては認めたくはないのだ。


「快適性については、まだこれからなのだ。とりあえず冷蔵庫と湯沸かし機能付きのポットはすぐに導入するのだ。加えて本棚も用意するから、欲しいマンガがあったらリクエストしておけば、経費で購入してくれるはずなのだ」


「いや、本当に、本当にそういうのじゃなくて」



 力なく頭を振る少年に、ヴェリヨは隠し持っているスキットルをそっと渡したい衝動に駆られた。


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