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99回告白したけどダメでした  作者: Joker
みんなのお休み
258/297

255話

「だが、伸ばしたとしても部員が増えなくては意味がない」


「た、確かに……」


「それなら、どうにかして部を残すことを考えるべきじゃないか?」


「健の言う通りかもしれないな」


「これだけ話かけてダメだったんだもんな……」


 三人はため息を吐き、肩を落とす。

 やるだけのことはやったが、一人も勧誘できなかった。

 やる気だけではどうにもならない事があるようだと、誠実はそう思っていた。

 そして放課後、ついに部室を明け渡す時が来てしまった。

 放課後、部室には三人と暁美は栞を部室に向か入れた。


「約束です、部室を明け渡してもらいます」


「……わかってるわよ」


 暁美は寂しそうな顔で栞に鍵を渡した。

 そんな暁美の様子を見て、誠実たちは心を痛めていた。

 暁美がどんな思いでこの部を継いだのか、誠実たちは電話をこっそり聞いただけだが、暁美にとって新聞部がどれほど大切な場所なのか、誠実たちは知っていた。


「あ、あの栞先輩」


「なんですか? 誠実君」


「やっぱり……ダメなんですか?」


「はい、もう決まった事です。こればっかりは誠実君からのお願いでも聞けません」


「……そうですよね、すいません」


「そ、そんな顔をしないでください……なんだか誠実君をいじめてるたいで……ゾクゾクします……」


「ん? 先輩?」


 栞のおかしな返答に違和感を覚えていると、横から暁美が俺たちに話てきた。


「三人共ありがとう、色々手伝ってくれて……こんな結果だったけど、あんたらと最後の悪あがきが出来て良かったわ」


「吉田先輩……」


 暁美は寂しそうな笑顔で誠実たちにそう言った。

 誠実たちはそんな暁美の顔を見た瞬間、何もできなかった自分たちに腹が立った。

 新聞部の歴史がどれだけ古いかは、部室の本棚や置いてある資料の多さからわかる。

 そんな新聞部がなくなってしまうなんて、新聞部を知っている暁美にとっては信じがたいことだろうと誠実は思っていた。


「それでは私はこれで、部屋の片づけは生徒会で致しますので、安心してください」


「わかったわ」


 栞はそう言って、部室を後にした。

 残った暁美は誠実たちに封筒を手渡した。


「はい、報酬」


「え……でも俺たち………」


「何言ってるのよ、一生懸命やってくれたじゃない。頑張った人がそれなりの報酬をもらうのは当然でしょ? じゃ、私用事があるからもう帰るわ」


「吉田先輩……」


 そう言って、暁美は足早に部室を後にした。

 残った三人は渡された報酬を握ったまま、ただ立ち尽くしていた。


「なぁ……」


「なんだよ」


「まぁ、大体言いたいことは分かる」


「このままで良いのかな」


「知るか」


「しかし、部員になってくれそうな人間、しかも部に所属していない一年か二年の生徒三人なんて集められる訳がない……」


「だよな……」


「そんな都合良くはねーな」


「そうだな」


「……ん? 待てよ」


「どうした誠実?」


「腹でも壊したか?」


「ちげーよ! お前ら部活入ってたっけ?」


「は? 何言ってんだよ、帰宅部に決まってんだろ」


「いつも一緒に帰ってるだろ」


「だよな……」


 誠実がそう言った瞬間、三人の間に沈黙が訪れる。

 そして……。


「「「あぁぁぁぁぁぁ!!!」」」


 何かに気が付き三人は声を上げる。

 そして、誠実達三人は急いで何かを書き、暁美を探しに行った。

 

「吉田先輩!!」


「え? な、何? どうしたの?」


 暁美は涙を浮かべながら、廊下を歩いていた。

 誠実たちはそんな暁美の元に猛ダッシュでやって来たので、明美は驚いていた。


「今から生徒会室に行きましょう!!」


「え? な、なんで?」


「良いから!」



「え? うわっ! ちょ、ちょっと!!」


 誠実は暁美の手を引いて、そのまま生徒会室に向かった。

 そして、誠実たち三人は暁美を連れて生徒会室の中に入った。


「失礼します!」


「え? 誠実君? それに皆さんも……どうかしましたか?」


 生徒会室にいたのは栞だけだった。

 これは運が良いと思った誠実たち三人は栞に紙を差し出した。

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