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4月/前編/「いやお前も人のこと言えないだろ」

バレンタインデーにチョコなんてもらえ………義理一つ貰えましたわーい。な作者です。


 そんなですから恋愛話に自信はないのです。

 外の明るさに意識が戻る。


「早く起きなよ優……ってあれ? 起きてる?」


「起きてない。」


 義妹が部屋に入ってきたのを感知すると思い切り布団を被り、閉じこもる。


「起きてる人はそんな反論しないよー? ていっ。」


 義妹により、布団がべりっとはがされる。ボクは仕方なく起き上がる。


「うっわぁ何それ………酷いよ?」


「何がだよ…?」


 部屋に転がっていた手鏡を義妹がボクに見せてくる。………ってああ。


「これは……酷いな………。」


 寝不足からか、確かに酷い顔色ではっきりと疲れのようなものが出ていた。と、言ってもよく見なければ、違和感は無さそうだけれど。




 進級し、高校二年生として初めて登校する朝。


 普通であれば、クラスが変わったことにより、その未だ見ぬクラスメート (見たことはあるだろうけれど)に思いを馳せる事もしただろうけれど、今のボクには全く先のことに気を配る余裕がなかった。


 いや、確かに先のことではあるけれど、全く、原因は過去にあるのだ。


 つい前々日に突然起きた、雪幸先輩の告白の事だ───────












「……優君。好きです、付き合って下さい。」


 人の少ないところにまで走り、真剣な顔で雪幸先輩が放った言葉は、はっきり言って脈絡の無い、しかし大きな衝撃をボクに与えてきた。


 ……………………………………………え?


「…………………。」


 何故か───動転し過ぎて理解が全く追いつかなかっただけである────雪幸先輩は瞳を潤ませ、顔を紅潮させてボクを真っ直ぐに見つめてきた。


「……………………。」


 えっ…と? どう言うことだろう?


 茜屋先輩と共謀して罠にはめようとしている………とか…?


 でも、そんな事をあの雪幸先輩がそれをするとは思えない。


 ……じゃあ本当に?


「…………。」


 いや、有り得ない。根拠はないけど有り得ない。とにかく有り得ない。だってボクだよ?


 けれど事実はどうしても真っ赤な顔した雪幸先輩が告白な発言をしたとしか取れない。


「……。」


 そうして悩んだ末にボクが発した言葉は


「いや……雪幸先輩ならこんな女に見えるようなボクよりも、素敵な相手が───」


 髪を弄り、その手に目を向けながら話していた。


 恥ずかしくて直視できなかっただけだと思う。


 しかし、その動きをどう取ったのか、見ていなかったボクには分からない。


「……!?」


 強く地面を蹴る音が響く。


 ハッと顔を上げると、雪幸先輩は走って去ってしまっていた。


「……待っ……。」


 何を思ったのかボクは右手を咄嗟にそちらに伸ばしていた。


「……。」


 走り去って見えなくなってしまった雪幸先輩を眺める事を止め右手のひらを見つめていた。











 バスの中でやっと、眠れたと思ったら、あの時のことを思い出す。


 きっとそう悪い話ではなかったはずなのに、どうしてもこう、もやもやして眠れず、悩み続けていた。


 そのせいで義妹には顔色酷いとか言われたわけだけれど。



 大体、何で即答で「はい」と答えなかった……!!



 雪幸先輩がボクのことどう思っていようが、ボクは………!!



 ……ボクは? どう思っているんだろう?


 何て考えがずっとぐるぐる回っていて、しかも答えが出ない。答えは自分の中に無いかもしれないなと思いながらも、考えることを止められなかった。




 気がつけば電車からは既に降りていた。下手すると雪幸先輩と会うかもしれない。


 そう思うと、自然に足早になる。


 こんなときに、会いたくはないから。


「おっ、優じゃん。」


 別の意味で会いたくない相手が後ろから駆け寄ってきたけれど。


「…おはようございます。」


「……? なんかー…寝不足?」


 気づくの早い……。


「ちょっと、ですけど。」


「そら大変だ、優がテスト前でもないのに寝不足とか。まさか新しいクラスに不安でも?」


「…………。」

 そう言うわけでも……と思ったのが顔に出ていたのだろうか。


「そうじゃないかー……まさか雪関係…? …おいー。」


 茜屋先輩が少しばかりの考察に入った隙に、移動する速さをさらに上げて逃げた。


 ───ああ、これじゃ、雪幸先輩となんかあったって言っているようなものじゃないか。


 どうも気分が晴れない。溜め息を吐く。


 本当に、何してるのかなぁ…。




「お、どうして新クラスだというのに机に突っ伏して………。」


「良いだろ、去年もそんなに話さない人いたし積極的に関わる必要性なんて。」


 新たに編成されたクラスだけれど、何だか当たり前のようにボクの隣に座っている圭佑は少々心配した様子でボクを見ていた。


「そういや朝見た雪幸先輩もなんか俺でも分かる位に暗かったけど、関係あるのか? ってうわ!?」


 ボクががばりと起き上がり、圭佑が驚く。


「何だよ…驚いたじゃないか、雪幸先輩と何かあったんだな?」


「何もないよ?」


「即答か? むしろ怪しいぞ?」


「そんなのないよ。」


「いや、どう考えてもおかしいだろ。よく見りゃ顔色悪いし。」


 ………勘が鋭い……。気付かなければいいものを……。


「そうかな? 自分では気付かないものだよね。」


「お前らしくない白々しさだな。」


「……………。」


「何かあったなら、言えよ? 最悪なことにこのクラスには塚見だっている。アイツなら事情を誰にも言わないだろうよ。」


 そう言って自分の席へと戻っていく圭佑。


 らしくないのは圭佑もじゃないか…? カイを話題に出すなんて。






「何のつもりだ。部活はどうした?」


 放課後になるまで、ボクは、ひたすら考えていた。


 何せ自分が何で気分が良くないのかが具体的に分かっていない。分かりたいけれど分からない。


 考え考えた結果、圭佑に言われたとおり、塚見に相談すれば何かが分かる気がした。


 と言うわけで、いま椅子に座っている塚見を捕まえてボクも椅子に座る。間に机はない。


「部活は色々あって行きづらいんだ。実はさ、相談したいことがあるんだけれど?」


 塚見はボクを睨みつけてきた。威圧感があるけれど、怪訝に思っているだけだろう。こういうところが勘違いされる元になっているのだろう、本当はいい人なのに。と他人事のように思った。


「何で俺に? 圭佑でも、クラス違うが濁斗でも、他にもそこにいる長谷とかでも問題無さそうだろ。」


 塚見に名指しされた長谷はちらとこちらを見て、それから関わるつもり無いのだろう、そそくさと出て行った。


 しかし、塚見は相談を受けること自体は嫌ではないように見えた。ので、塚見の質問には一切答えず、ボクの相談を始めた。


「…………告られたんだ。」


「って、まさか長谷……はないな。」


 手前の己の動作から考えたのが咄嗟に出たのだろう。しかし塚見自身でその説を否定した。


 それもそうだ。事実無いし。


「じゃあ、部活の人か? お前の部活何やってるのか誰がいるのかが全く分からないが。」


「鍋川雪幸先輩。」


 ボクは極力声を抑えて言う。しかし塚見は凄まじい驚きようで


「おいおい!? どうしたらムごふっ!?」


 大きな声で情報を撒き散らしそうになってしまったため、思い切り足を塚見の腹に押し当てた。


 塚見は一瞬滅多に放たない怒気すら放ち、その後に自分の (未遂ではあるが)行った事を省みてすまなそうな顔をした。


 外見上はずっと睨みっぱなしだけど。


「……それで? あの上級生の中でも特にファンクラブがあるくらいに人気高く『雪姫(スノウプリンセス)』とすら言われている鍋川雪幸をどうやっておとした?」


 塚見は興味深いと詰め寄ってくる。実際、色々言うべき、言いたいことがあったが、真っ先に


「へ? あの人、そんな事言われてたのと言うかそんなに人気高かったの!?」


「あぁ………まぁ、濁斗がな、よく言うんだよ。それで知ってたくらいだけど、確か濁斗は『知る人ぞ知る美人』とか言ってたな。外見は話聞いたあとに何回か見たし知ってるけどやっぱり濁斗の言うとおり美人だったな。…………どうしたそんな変な顔して。」


「……何でもない。よ?」


 変な顔? とぺたぺたと顔を触る。


「まぁいいや、兎に角、鍋川雪幸に告られた。それは本当か?」


「本当だよ。まぁあれが夢である可能性も、ただの妄想かもしれない可能性も、時間が経った今としてはあるけどね。」


「幻想ってのはねえだろ? 少なくともそうだとはお前は思ってない。思いたくないはずだ。」


「…? 何で言えるの?」


「そんなのは見てれば分かる。……兎に角、普通に告られたなら悩まないけど、普通じゃなかったから相談しにきたんだろ? ならさっさと本題言えよ。」


 ボクは一息置いてから口を開く。


「告白されたとき、ボクは真っ先に『こんな女みたいな人よりもいい人はいるんじゃないか』って言ってしまったんだ。そしたら先輩は走ってどこかへ行っちゃったんだ。」


「………まぁ、疑わしいのは分かるけどそれはないだろ。本気だったら、傷つくぞ。」


 塚見は腹立たしいと思いながらも平然を装い返答した、ように見えた。


 確かに…そうだ。『もし本気なら』傷つくだろう。


 あのときボクは何を考えていた? 疑わしい自分の気持ちに納得して呟いた。


「そう、だよね。」


「例え、否定を期待しても言っていいはずじゃねぇ。」



 …………? 否定を期待? 何を言っている?


 しかしその言葉を返そうとして


「ひ、否定って! そんなこと期待しているはず無いだろ!?」


 どこか他人事のように、酷く冷静を欠いている事に気付いた。


「ほぅら、お怒りなさった。図星なんだろ?」


「そんなはず無い! ああもう!」


 殆ど反射的に返してしまう。


 しかし、言われたこと……『否定を期待』。


 ボクが女らしい外見である、なんて事は関係ないと言って欲しかった。と言うことだろう、が。


 言われてみればそんな気がしてきてしまう。そんなつもりなんてなかった筈なのに。


 絶対違う、筈なのに。


「煩い。……と言うかお前がここまでムキになるなんてな。はっきり言ってキモい。」


「は………はぁ!? どういうこったよ!?」


「一旦黙れ、落ち着け。」


「落ち着いていられるかよ!」


 違う、認めたくない。落ち着いたら認めることになる。


 だから声を荒らげる。


「黙れよ? あンま調子のんなよ?」


 思い切り両頬を片手で親指とその他で挟むように掴まれる、でも怖くない。


「お前は何で騒いだ? 認めたくないんだろ? 自分が鍋川雪幸にはっきりと『外見は気にしない』と言って貰いたかったって事を!」


「分かれよ! その行いでどれだけ相手が傷付いたかを! そんな思いで人の決心を踏みにじったんだってことを!!」


 響く大声。ふと気付くと周りには誰もいない。勿論塚見から目を離さずに聞いていたボクにはそのことは分からないけれど。


「つか、誰もいないな。」


 周りを見渡した塚見がそう言って、ボクを摘まむ片手を解放した所で気付く。


「………相談持ちかけておいて逆ギレしてごめん。」


「…ん? 気にしてねぇよ。つかはっきりわかるがこう言うのは口に出しておいた方が良いって聞いた。だから聞こう。」


 真っ直ぐに塚見はボクを見る。


「お前は、鍋川雪幸の事は異性として好きなのか?」


 少なくとも外見上は恥ずかしげも無く聞いてのける彼には少し尊敬する。


 心の中で軽く笑って、答える。


「ボクは、雪幸先輩の事を………。」



「先輩の事を好きだ。」



 恥ずかしさのあまり、一瞬を無限に感じた。


 ああ、これがあのときの雪幸先輩の状態か───と詰まらない感想を


「へぇ、何か凄い状況だね? 塚見君、お疲れ様だよ。まさか優に自覚させるなんて。」


 場の空気を叩き割るように現れた突然の乱入者は入り口の扉にもたれかかり、不敵に笑った。


「俺、今回偶然、うまいように転がっただけです。どうやったかももう一度やることも出来ません……というかあんた誰だ?」


 知ってるか、と塚見はこちらを見る。が、ボクはその人を見て途端に恥ずかしくなった。羞恥がボクに絶句という行動を取らせた。


 だから、ボクの発言はとてもぎこちなかったと思う。


「あれが……うちの部の部長だよ。」


 うわ恥ずかしい……。


 俯いて顔を隠す。なんせ


「いやぁ、さっきの『好きだ』は良い顔だったよー? さあ、さあ部活行こうよー?」


 見られたくない奴に見られたのだから。


「オイオイ? ひっでえな、何でコイツが部活なんざ行かなきゃならねえわけだ?」


 突然、塚見は反発する。


「部員だからだよ?」


 茜屋先輩の発言。おかしくないけれど、何故ここに茜屋先輩が居るのだろうかというのがボクを呼びに来たからというのは、どうしてなのかとても疑わしかった。


「まったくもってそうですね。でも今日は帰るらしいぞ?」


 何故勝手に帰ることにしてるんだよ!?


 内心叫んでみたものの、確かに部活には行きづらい。と言うか行くのは止めておきたい。


「そなの?」


 この気持ちに、無責任な発言に責任を取るまでは。


「はい、今日は休ませていただきます。」


 しかし、茜屋先輩は不満そうな顔である。


「と言うわけで帰るぞ優。」


「なっ、え?」


 塚見はボクの手を引き茜屋先輩の横を通り抜けるように教室から出て行く。


「仕方ないなぁ────応援はしてる。頑張れ。」


 通り抜けるときに茜屋先輩はそう言った。


「はい。」


 相手に聞こえたか分からないけれど、そうしっかりと返事をした。 




 


 塚見は先を歩く。どこへ行くとも言うこともなく、ただ黙って。


 ボクもそれにならい、ついて行く。


 無言のまましばらく歩き続けた。突如、塚見は足を止める。


 目の前にあったのはファミレスだった。






「っつーわけで、どうすか姐さん。ちょいと顔貸してくれるだけでいいんです。」


 ファミレスの女性店員に向かって拝み倒す塚見。ファミレス店員さんは姐さんと呼ばれる前と後で纏う雰囲気が一変した。具体的に言うと、営業スマイルが消えた、ということだ。


 突然軽い感じで店員に話しかける塚見に少々驚きもしたが、突っ立っているのも悪い。空いているテーブルを見つけて席に座る。時間帯が時間帯なので、席はがらがらだった。


「あのね、仕事中。話しかけてくるな。それとどう言うわけだか言って無いじゃん。」


 その女性店員は冷ややかな視線を塚見に浴びせる。何だろう、これが大人の女性の威圧感だろうか、ボクに向けてではないのに少し寒気がした。


「濁斗との間を持ってあげたの、忘れてないですよね氷根深(ひねみ)さん?」


「…ぐぬ………仕方ないわね。」


 あっさりと諦めた氷根深さん………ファミレスの制服に付いている名札で漢字は分かるが……ひねみと言うらしい。珍しいな。


 ……って濁斗?


「でも、手短に話して? …注文をどうぞ。」


「コーヒー一つと…?」


 塚見がボクを見る。注文をしろという意味だろう。


「ココア一つ。」


「はい、コーヒーとココア一つずつですね………で?」


「コイツが女子に告られたらしいんだが」


 塚見が語り出す…とすぐに


「女の子が女の子に!? もしかして……っは!?」


 つい大声を出してしまい、周りの客にすいませんすいませんとお辞儀する氷根深さん。


 ………女の子ねぇ…。


 ボクはその発言に、苦笑いしてしまう。


「…………。」


「どうしたの? カイ、こっちなんか見て。」


 見れば無言で塚見がこちらを見つめてきている。


「何でもない………って話戻しますよ? いいですか氷根深さん。」


「良いけど。」


「じゃ、続けますけど。コイツ告られて………あー、男なんですよねこのなりでもね。」


「嘘ん!?」


「いんや、嘘じゃない。」


 と言うか氷根深さんまた大声出して謝罪している。


「へぇ……こんなで…。」


 氷根深さんはあっさり納得したようだ。塚見はだいぶ信頼されているって事かな。


「で、告白された時に、このバカは……なんつったか、『女みたいな僕より素敵な相手がいるんじゃないか?』って返しやがったんだよ。」


「それは酷い。」


 相談している身ではあるが、何度も言われると恥ずかしいというか居たたまれなさいっぱいというか、後悔してるんですよ? ええ。


 それはそうと、なんか周りの店員が慌ただしく動いているけど、大丈夫なのかな……。


「大体そんな感じで……コイツは結局その告白してきた人のことは好きみたいなんだけど」

「何となく分かったわ、つまりもう一度告白の場をセッティングすればいいのよ。」


「はあ……そんなもんか?」


「勘違いしたままは良くないでしょ? それに、まだどう思っているかを解決してないのでしょ? なら全て話す場が必要よ。大体、下手すれば断っていると取られかねない台詞よそれ……。」


「流石、恋愛マスター((笑))」


「からかうな、店から追い出して出禁にしてやろう「濁斗」すいません言い過ぎましたからそれは止めて、ね? ね?」


 塚見の発言が単語単位の癖に、氷根深さんに大ダメージを与えているよ……。強く出れないって悲しい。


「大体、片思いしかしたことないわよ。今も昔も。」


 ………なんでそんな人に話を聞いた。


 そう聞こうとすればきっと、恋愛した経験が無いからと言いそうだから聞きはしないけど。


 …………と言うわけで「勝手に〆ようとするなよ優。」


「えぇ……。」


「じゃあ私は戻らないと怒られちゃうから後は。」


 氷根深さんはそそくさと持ち場 (?)に戻っていく。


「そういうことで、今お前がやらなきゃ行けないことは、早急に思いの丈を告げることだよ。」


「…………そう言えば…何でボクを、ボクの外見を肯定して欲しいと思っていたと思ったの?」


 塚見は一つ、溜め息を吐く。


「俺が言ったのは認めて欲しいってだけで行程とはまた違う……いや同じか…?」


 しかし出てきたものは答えではなく、文句のようなものである。


「どうしてそう思ったの?」


 ボクは少しあきれながらも急かす。


「ん……あぁ、それはな。思い出してくれれば分かると思うが、やっぱ気付いてないのな?」


「何にだよ?」


「そりゃ、女子みたい、女子らしいって言ってもブチギレなくなったことだよ。」


「…………そうなの?」


「その反応、やっぱ気付いてなかったか。」


 言われて思い出す。


 そう言えばさっきも、『苦笑』ですませていたや……。


「まぁ、少しずつ変わって言ってるんだなとは思ってたけど、そっからだな。俺がそう思ったのは。」


「そっか……。」


 そのとき、注文の品が運ばれてくる。運んできたのは氷根深さんだった。


「んで、どうするつもり? こう言うのは一人で考えた方がきっと良いけど、協力して欲しいなら言いなさいよ?」


「どうして協力を積極的にしないんだ氷根深さん。」


 塚見が、見当も付かないなんて感じで聞く。


「そりゃ、知られたくないでしょ。本人の問題でしょうし?」


 そういうことなら、協力して貰うのは止めにして置こう。


「……ありがとうございます。」


「そういう事じゃ私は。…塚見、これからも頼むわね。」


 そう言って戻ろうとする氷根深さんにボクは声をかける。


 話の流れから、氷根深さんは保子河の事を好きなのだろうと思って一言言わなきゃいけない気がした。


「氷根深さん…! そう言えば、濁斗といい感じになってる女子が一人い「その話詳しく聞かせて」るんで……食いつきますね……。」


 話し出したら、思い切り前屈みで顔をすごく近付け近い近い!!? 素早い反応を見せた氷根深さんに若干の恐怖を覚えながらも出来るだけ氷根深さんの目を見ないようにして話を続けた。


「それは濁斗に聞いた方が良いんじゃないですかね、さり気なく。」


「さり気なくなんて出来ないわよ。」


 まだ顔が近い。


「で、でも知ってたらそれはそれでおかしいと思いますし。」


 きっと塚見が氷根深さんに濁斗との間を持ってるらしいことは濁斗に知らないという、身勝手な妄想じみた先入観で話を進めているけれど間違ってないはずだ。


 それとどうやって話を終わらせられるかが分からない!!


「それも、そうね。じゃあ。」


 しかし、案外あっさりと引き下がった氷根深さん。ほっと一息。


「………え、濁斗といい感じの女子なんていたか…?」


 お前気付いてなかったのかよ!?



「今回はコーナーは有りません次回に期待ください」

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