もう限界
「…いつまで続くのだ、この道は!!」
「あと10キロだよー、シェリフィアは」
「病気で悩んでいる、小さな王国だったっけー?」
「10キロか、私の森の端から端までの間の距離だ」
「森小さっ」
「たしかに、小さいな」
「お、見えてきたよー」
「おー、あれか」
確かに小さい。シルフの森よりも小さいが、殆どが空き家だ。
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「むむっ、何者だ!!」
「いや、よく見ろ。あいつら、白魔法使いの称号の証をつけている。きっと、この国を助けに来てくれたんだ」
「そうかあ?」
「そうだよ!!」
一応納得してくれたようだ。
「お前、名前は?」
「そ、ソフィアです…」
「お前は?」
「シルフだ」
「よし、分かった。通っていいぞ」
やっと通してもらえた。
入った途端、辺りがざわめく。と言っても、2~3人の声しか聞こえないが。
「お前は、誰だ!!」
「えっと、この国の病気を治療しに来ました…」
「なら、頼む。姫様を治療してくれ!!」
どうやらお城の家来だったようだ。
「国王も弱っているんだ…」
「借金も増えている…」
「このままでは国が滅びる…!」
「えっと、借金の問題は流石に…」
「じゃあ、姫様の治療を!!」
「それなら…」
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「むっ、誰だ!!」
「おい、この方は、私達を救ってくださるんだぞ!!」
「なら良し。おい、お前」
「はい?」
「俺について来い」
「はあ…」
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「王様(こんこん」
「誰か連れてきたな、誰だ?」
「姫様の病気を治す、と言っています」
「良かろう、入れ。損なら大歓迎じゃ」
「では、開けます」
「うむ」
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「で…、お主が娘の病気を治してくれるのか?」
「出来る限りのことはするつもりです」
「なるほど、それでは早速…」
「その前に、お伝えしたい事があります」
「なんじゃ」
「実は…、大病を治す魔法を一回すると、どんな魔法使いでも体力を使い果たし、次発動するには一日休まなくてはならないのです」
「そうか、なら、娘の病気が治ったら、一週間城に居させてやろう。そうすれば、城を出る頃には元気になっておる。贅沢は出来んがな」
「ありがとうございます!!」
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「ここが娘の居る部屋じゃ。うつるといけないから、気をつけろ」
「わかりました」
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「そー…」
「…(喋れないが、驚いた感じ)」
「大丈夫です、私は、あなたを治療するために来ました」
「…(本当!?と言うようなまなざし)」
「じっとしててね~、エールヒール!!」
「…!!私、喋れる!!」
「それは良かったですね…。もう限界…すー」
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「寝ちゃった…」
「お礼も言えないな、これでは…」
「うーん」
「どうしたものか…」
白魔法使いの称号とは、【しろ】と書かれた正六角形の白いバッジです。