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夏恋  作者: 加山 ゆか
1/1

〜高校時代 1〜

あなたは、純粋で真剣な恋をしたことがありますか?

大人であっても純粋で真剣な恋は、二人の心を育む大切な出来事だと思うのです。

今の時代…心を育む前に身体を許してしまうから、一時の気持ちの盛り上がりで結婚。

そして、結婚してから気づき離婚に至る。

そんな人も多いのではないかと思います。


大人の様な…でも決して大人ではない高校生。

そんな高校時代に純粋で真面目な恋をした人は、きっと…だから今の幸せがある!と思えたり、

淡い大切な思い出として心に残っているのではないでしょうか。


夏の恋。ひと夏の恋。時間は短くても、中身は濃い。

だからこそ、忘れられない青春の1ぺージ。

あなたは、そんな恋していますか?

あなたは、そんな恋しましたか?





恋に恋した17才の夏。

〜出逢いは、あまりにも突然で、思いもしないところにある〜


「優紀っ!大変!大変!」いつも冷静な美幸が月曜日の朝から、威勢良く教室に入って来た。

「美幸!おはよう!どうしたの〜?」

「おはよう!笑、あのね〜!凄いよ〜!」

美幸は、鞄も置かないまま話を続けた。

「こないだクラスで撮った写メを地元の友達に送ったって言ったでしょ?」

"そうだった!うちの高校は、男女別学。女子クラス。しかも男子クラスには、イケメンがいなーい!

なので、新しい出逢いが欲しいと…私の隣の席の美香ちゃんが…

「誰か〜この写メを地元の同級生に見せて、出逢い見つけて来て〜!」って言ってたな。

そうそう!それで美幸は、地元の友達にクラスで撮った写メを送ったって言ってたんだ!"

数日前の出来事を思い出した。

「美幸!出逢い見つけて来てくれたの?」美香ちゃんが隣の席からはしゃぎながら話題に加わって来た。

「美香ちゃん!ごめん。今回は優紀にだよ!優紀っ!ちゃんと聞いてる?」"ん?!私〜?!"

言葉にする間もなく、美香ちゃんのちょっとガッカリしてる顔も気付いてないくらいの勢いで美幸はしゃべり続けている。

「でね!地元の友達って…美咲ってゆーんだけどね、美咲ってOO高校の男子バスケ部のマネージャーやっててね!こないだの写メを男子バスケ部の人達に見せたんだって!そしたら、男子バスケ部の中に優紀を気に入ったヒトがいて〜!昨夜、美咲がうちに来て…そのヒトの写真を預かって来たの!これこれ!はい!」

と、封筒を渡された。

「どーゆーこと?!」

私に恋の話が舞い込んで来た事はわかった。けれど、あまりにも突然で、思いもしない事だっただけに…すぐには理解できずにいた。

美幸は、目をクリクリさせながら嬉しそうに、再び初めから説明をした。

「優紀!イケメンみたいよ!笑」美幸がそう言ったのと同時にチャイムが鳴ったので、私は何事もなかったかの様に美幸からもらった封筒を、一時間目の教科書の間に挟んだ。


一時間目は、科学だった。先生がグタグタ教科書見ながら説明していた。お陰で眠い。だけど、もらった封筒が気になる。"いつ開けよう?"そんなことばかり考えていると…先生が黒板に向かいチョークを滑らせた。科学の先生は、いつも黒板に向かうと振り向きもせず、ひたすら書き続けるのだ。

ナイス!タイミング!ドキドキしながら、私はそっと封筒を開けた。

写真の上には、可愛いメモが入っていた。

メモには、名前とメアドが書いてある。

今井 成志

seiji.i.7-17@xxxxx.ne.jp

"これは誰の字?でも女の子の字ではなさそうだから、彼が書いたのかなぁ?こんなに可愛いメモ帳を男の子が持ってるかぁ?"

そんなことを考えつつ、メモをめくった。

きゃー!!

サングラスかけてて…ちょっと大人っぽい♡

黒のサングラスだから、顔は分かりづらいけど…

シャープな顔立ち♡

着てる白いシャツも、襟のデザインが変わっていて…私!好き〜♡

きっと自分の部屋で撮ったのだろうと思える風景♡

私は一瞬で目を奪われた。


授業を終えるチャイムと共に美幸が寄って来た。

「優紀!見た?見た?」

「見たよ♡笑」

「どうだった?笑」

私は、「うん♡」と頷くことしかできなかったが、美幸は私の気持ちに気づいた様だった。

「中にメアドが入ってるって美咲が言っていたけど、入ってた?」

「うん!入ってたよ!」

「じゃあ、メールしてみれば?」

「えっ〜。私からいきなりメール…しづらいよ。笑」

「じゃあ、私から美咲経由でメールしてみようか?」

美幸はそう言うと…ケータイを出し、私の返事も聞かずにメールを打ち出した。


今日の授業も無事終了。私は美幸と美香ちゃんと一緒に学校の近くにあるミスドへ向かった。学校帰りにミスドでガールズトークをしてから家に帰るのが日課になっていた。

いつもの席が空いていたので、

ドリンクを注文し席に座ると、ケータイがブルブル。ポケットからケータイを出すと…

彼からのメール?!

ドキドキしながらメールを開くと

"今週土曜日に会えませんか?成志"

という内容だった。

「美幸!美香ちゃん!メール来た♡」

「いーな♡いーなー♡」「ヒュー♡ヒュー♡」と言いながら…

美香ちゃんは、私のケータイを覗き込んで来た。

美幸は、ニヤニヤしながら

「美咲は、信用できる私の中友だから、その中友が紹介して来た人だから、きっと良い奴だと思うんだ!だから安心して会ってみれば?」と私の背中を押してくれた。

「早く返信しなよ〜!笑」

「運命だね〜♡」

「あーあ、これで優紀が一抜けだ〜!笑」

「優紀!おめでとう!笑」と…

まだ会ってもいないのに、付き合ってもいないのに…。そう思う私をよそに、自分のことの様に二人は浮かれていた。

私は、まだ見ぬ彼と度々メールで言葉を交わした。

"はい!大丈夫です。どこで待ち合わせしますか?優紀"

"土曜日の11時に高田馬場駅の東西線の改札口は、どうですか?成志"

"わかりました!でわ、土曜日の11時に高田馬場駅の東西線の改札口で待っています!優紀"

"了解!成志"

そして勿論!

今日のガールズトークの話題は、彼の話だった。


美幸と美香ちゃんと別れて家に向かう電車の中…

なんだかフワフワした感覚。

まだ会ってもいない人に何?この気持ちは?

そんな事を考えていると…またケータイがブルブル。

メールを開くと

"土曜日…写真と同じ服装で行きます!だから、俺を見つけてね!成志"

きゃー!またメールだ♡

"わかりました♡頑張って探します!笑、優紀"

"ありがとう!一応ケータイ番号を教えておきます!

俺に会うまで迷子にならないでね!成志"

きゃー!俺に会うまで迷子にならないでね!だって♡

ドキドキフワフワがもう止まらなくなり

身体が宙に浮いてるみたい!

17才!高2!初めて味わう感覚だった。


〜恋は盲目。そして、恋は、見ている世界を変える力がある。〜


土曜日の朝。休みにしては珍しく早起き。何を着て行こうか、月曜日の夜から数日間ずっと考えていたが、なかなか決まらない。パンツよりスカートのが女の子らしいよね。とか、スカートもフリフリ過ぎるとお子様みたいに見えるかな?とか、散々悩んだ挙句、シンプルな白の可愛い襟のシャツに水色の膝上のスカートを選んだ。そして、彼の写真をバックにしまい、かなり早めに家を出た。

待ち合わせ場所に着いたのは、10時半過ぎたばかりだった。土曜日なのに、凄い人混み。

雨が降って来たのか?皆、濡れた傘を持っている。

"そー言えば、家を出るとき、お母さんが「雨が降るから、傘を持って行きなさい!」って言ってたから、折り畳み傘持って来たけど…雨いっぱいだったら、折り畳みじゃ濡れちゃうかな〜"なんて考えたり、ドキドキする気持ちを抑える為に、必死に色々な事を考えた。腕時計を幾度となく見る。時間が刻々と迫る。

ケータイを見ても、連絡はない。

ちゃんと来てくれるよね?ドタキャンされたりして?

良くないこともどんどん脳裏に浮かんで来る。

その度にドキドキが増す。

再び腕時計を見ると…11時を過ぎていた。

えっ?!やっぱりドタキャン?!

私、何時まで待つ?そう考えていた時、電車が来た様子。人混みが改札口に流れて来た。

この中にいるかなぁ?そう思いながら、白いシャツの彼を目で探したが、いない。

諦めかけた時、人混みの最後尾に!

見つけた!!絶対、あれが彼だ!そう確信した時、彼はこちらを見つめまっすぐ歩いて来た!

「ごめんね!電車が遅れて…遅刻した!」彼の第一声だった。「大丈夫です!良かった!会えて…。」私はホッとした気持ちでそう答えた。

「こんなところで立ち話も何だから、池袋のサンシャイン行こう!」

「はい!」私は、返事をするだけでいっぱいいっぱいだった。

彼と私が動き出した時、また東西線の改札口から人が沢山出てきた。彼を見失わない様に、彼の後ろ姿を見ながら、雨で濡れてる階段を滑らない様に足元を見ながらJRのホームまで歩いた。

山手線の電車に乗ると、彼は

「傘は持ってないの?」と聞いて来た。

「出てくる時降ってなかったから、折り畳み傘なんです!笑」

「降ってなかったんだ!うちの方は、降り出してたよ!」たわいもない会話をドキドキしながら交わした。

池袋駅に着くと、外はかなりビシャビシャ雨が降っていた。それぞれの傘を差しながら、サンシャインへ向かった。

サンシャインの中に入り歩いていると「まずは自己紹介したいし、話もしたいからここでお茶しても良いかな?」と、彼はすぐ目の前にある喫茶店を指差した。

「はい!」返事をすると彼は先に喫茶店へ入り「二人です。」と店員に伝えた。

彼はミルクティー、私はレモンティーを頼むと、ドキドキしている私をまっすぐ見ながら彼が話し出した。「俺から自己紹介するね!名前は今井成志。誕生日は7月17日。OO高校のバスケ部。彼女いない歴6ヶ月。うちの部のマネージャーから優紀ちゃんの写メ見させてもらって、優紀ちゃん可愛いって言っていたら、マネージャーが話を回してくれて、今日に至ります。笑、はい!じゃあ次〜どおぞ!笑」

「私は、千葉優紀と言います!誕生日は6月7日。彼氏いない歴1年半かな。部活は、帰宅部で?笑、毎日、学校の近くのミスドで仲の良い友達とガールズトークしてから帰ってます!笑」

「6月7日かぁ〜。終わったばっかりじゃん!笑」

「うん!」

「じゃあ、俺より1つ年上だ!笑」

「えっ〜!1ヶ月だけだけどね!苦笑」

会話を重ねる度にどんどん楽になる!

それからも時間を忘れるくらい沢山話した。

「ところで、何て呼んだら良い?友達には、何て呼ばれてるの?」彼が聞いてきた。

「友達からは、優紀ちゃんとか優紀!とかかな。」

「じゃあ、優紀って呼んでも良い?」

「いいよ!笑、私は何て呼べば良い?」

「成志で良いよ!」

「えっ〜?!男の人を呼び捨てで呼んだことないから、呼びづらいよ〜。だから、じゃあ、成志さんって呼んでも良いかな?」

「良いよ!笑」彼はそう答えると、いきなり立ちながら

「優紀!そろそろ出よう!」と、恥ずかしそうに名前を呼んだ。

私も恥ずかしかったが

「はい!成志さん♡笑」と返事をして、二人で喫茶店を出た。

サンシャインの中は、雨だからか?人がごった返していた。話しながらのウィンドーショッピング。まるで仲良しな友達といるかの様!いやそれ以上に楽しく…

あっと言う間に、ドキドキがワクワクに変わっていた。

「このケータイストラップ、可愛くない?」成志さんが聞いて来た。

「可愛いっ♡」同じ物を見て同じ様に思うことも私には嬉しかった。

「優紀!ちょっと待ってて!」成志さんは、そう言うと、ストラップを2つ手に持ちながら、お店の奥に入っていった。

「優紀!これ!誕生日プレゼント!」お店から出てきた成志さんは、恥ずかしそうに小袋を一つ渡してくれた。

「わー!マジ?!嬉しい♡笑」

「今日を記念にお揃いの物が欲しかったから、良い物じゃなくて、悪いけど〜」

「私は、お揃い♡嬉しいよ♡ありがとう!」

成志さんと私は、歩きながらストラップをケータイに付け…ケータイで乾杯するかの様にカチンと合わせた。

それから、遅くなった昼食を、洋食屋さんで取り…

「代々木公園へ二人で行きたいんだけど、雨じゃ嫌か?」成志さんが聞いてきた。

"きっと、今日のコースは考えて来てくれたんだろうな♡"と思っていたので、

「代々木公園行こ!」と返事をした。

サンシャインを出ると外は雨。

私が、折り畳み傘を鞄から出そうとした瞬間

「相合傘しない?」と恥ずかしそうに成志さん。

「でも、成志さん…濡れちゃうよ?」と言うと

「俺は大丈夫だよ!優紀は、嫌?」

「嫌じゃないよ!笑」そう答えると成志さんの手が私の手を掴み自分の腕に回した。

"きゃー♡腕組みながら相合傘?!♡"

またドキドキ。いや。バクバクしてる心臓の音が成志さんに伝わるのでは、ないかと恥ずかしさでいっぱいになった。

腕組みながらの相合傘…"成志さん…背が高い♡"

背の違いも私には、とっても嬉しかった。


代々木も雨。代々木公園をやっぱり相合傘で歩き…

何するわけでもなかったけど、ただ相合傘で歩くだけで、私は楽しく嬉しかった。

「優紀?」成志さんの声のトーンがいきなり変わった。

「どうしたの?」

急に立ち止まる。

「まだ、言ってなかったから…」成志さんは、そう言うと…真面目な顔つきで私の方を向き、深呼吸して口を開いた。

「俺と付き合って下さい!」

私は、突然の事に心臓が口から出てしまうんじゃないかと思うほど…胸が高鳴った。

そして、やっぱりゆっくり深呼吸して

「はい!こちらこそよろしくお願いします!」と伝えた。

「あー!!良かったー!!」成志さんのホッとした気持ちが伝わって来た言葉だった。

「優紀の写真見てからさ〜。今日、優紀と会うことになってからさ〜。もし、上手くいくなら、代々木公園で告白しよう!って決めてたんだ!笑」

成志さんは、そう言うと…私の腕に力を込めた。

「これから…沢山会おうな!」

「これから…沢山いろんなところへ行こうな!」成志さんは、私が言って欲しい言葉を沢山くれた。

代々木公園を一回りし、代々木駅に着くと

もう18時だった。

「とにかく、メールするから!電話もするから!」そうお互い約束し、別れを惜しみながら正反対の自宅の方向…電車のホームに向かった。


自宅近くの駅に着いた時には、雨は上がり…

私と成志さんを祝福してくれてるかの様な

素敵な夕焼けの空が広がっていた。

〜ラッキーチャンス!は、自然にやって来る?!〜


"満員電車の通学も嫌だし!朝からまた雨だし!

はぁー。ため息がでそう。

でも、雨は、好き♡だって…私の誕生日月は、梅雨だしね!出会いの雨でもあるもんね!♡笑、それに、成志さんも満員電車で通学してるんだもんね!"

なんて事を考えながら、学校近くの駅から小雨降る中歩いていた。

「そう思えるのは、成志さんのお陰様かな。♡」独り言をつぶやいた瞬間…傘の中に誰か入ってきた?!と思ったら、耳元で

「美幸っ!優紀…一人でのろけてるよ!」と大きな声がした。

!?!

"ぎゃー!美香ちゃんに聞かれちゃったー。苦笑"

美香ちゃんがニヤニヤしながら私を見ている。

「美香ちゃん!おはよう!笑」私は、恥ずかしくて何事もなかった様に挨拶でごまかした。

「優紀!おはよう♡朝から、独り言でのろけてヤバくない?♡土曜日のデートは、そーんなに良かったんだ♡笑」美香ちゃんには、もうごまかしが効かない。

「優紀!美香ちゃん!おはよう♡笑、優紀ったら、何一人でのろけてたの?」ニコニコしながら美幸が後ろから小走りでやって来た。

私の口が開く間も無く美香ちゃんが答えた。

「美幸っ!優紀ヤバいよ!笑、あまりにも幸せすぎて…独り言言いながら歩いてるんだよ〜!笑、私聞こえちゃったも〜ん!笑、そう思えるのは〜なんてね!笑」"ぎゃー!!美香ちゃん…苦笑"

「そうかぁ♡土曜日上手くいったんだね!笑」

美幸は、そう言いながら、万遍の笑みで私を見た。

「あーあ!朝からやってらんないよね〜!笑」美香ちゃんは、わざとからかって来る。

「あっ!そうそう!美香ちゃん!優紀!今週土日…うちの近くの商店街でお祭りがあるんだけど、良かったらうちに泊まりに来ない?」美幸からのお誘いを受けた。美香ちゃんは速攻で返事をした。

「行く行く!私は、泊まりに行く!あっ!優紀はおデートだから無理かしら?笑」

「優紀!良い案があるよ!笑、うちのアパートって今井くんの高校の通学路にあるんだなー。笑

だから、うちに泊まって、お祭りは別行動!ってのはどう?笑」"美幸!ラッキーチャンスを作ってくれるのー?!"そう思ったら、私は美幸に抱きついていた。

「美幸っ♡ありがとう♡大〜好き♡」

「やだなぁ〜♡テレるじゃん♡」美幸のホッペがかすかにピンクに染まった。

「今井く〜ん!優紀が浮気してますよ〜!」と美香ちゃんが大声で叫ぶ。

他の学校の生徒やら、うちの学校の生徒やら、みんなが私たちを見る。

"恥ずかしい"

顔が熱くなった。

学校の近くの通学路で3人ばったり出くわすと、ほんとに姦しい朝だ。雨なのに…。笑

でも、私には、嬉しい楽しい通学だった。


その日の放課後、私たち3人はいつもの様にミスドに居た。今日のガールズトークの話題は、先週の土曜日の成志さんとの 初デートの話から今日に至るまでの話だった。応援してくれる2人には、ちゃんと話さなくちゃと思っていたので、ちょっと照れながら、真剣に話した。2人も真剣に聞いてくれた。

話がひと段落した時…

プルルルルー♪携帯が鳴った。

私たち3人は、同時に携帯を見る。

「ごめん。私だ!笑」そう2人に伝えると…

「はぁー。早速ラブメール?笑♡」また美香ちゃんがからかって来る。

私は、動揺する間もなくメールを開いた。

"優紀、今ミスド?笑 成志"

"そうですよー♪美幸と美香ちゃんとミスドに居ます♡優紀"

私は、自分ではわからなかったが、デレっとした顔でメールを打っていた様で、やはり美香ちゃんが突っ込んで来た。

「はぁー♡もう優紀、デレデレだね!笑」

「そんな事ないよ!苦笑」

「はぁ?だって、メール打ちながらにやけてるよ!笑」

!?!

「ねぇ!優紀!今週土日のお祭りの件、彼に聞いてみたら?」美幸が、思い出したかの様に言った。

「そうか!そうだね!今、メールで聞いてみる!」

"今週土日に、美幸の家の近くの商店街でお祭りがあるらしく、土曜日から1泊で美幸のお家に泊まりに行こうと思っています。成志さんは、土曜日か日曜日予定ありますか?もし、なかったら二人でお祭りデートしませんか?優紀"

私は、メールを送った。

「ねぇ!優紀!やっぱり今井君との出会いは、優紀の運命の様な気がする!」珍しく美香ちゃんが真面目な顔つきで言って来た。

「そうなのかなぁ?自分だとわからないよ!笑」

「優紀!私もそう思うよ!」美幸も同じ様に思うらしい。

「だって全てが、上手く転がってるじゃない?それって運命としか思えないじゃん。」美香ちゃんにそう言われると…。そうなのかな〜って思う。

プルルルル♪

成志さんからの返信だと思ったので、すぐメールを開いた。

"土曜日は、部活があるから、夕方からなら大丈夫だよ!日曜日は、ちょっと返事待ってて!成志"

"じゃあ、土曜日は、お祭りデート♡ね!優紀"

そう返信を打ち終わると、2人は私のケータイを覗き込んでいて、成志さんから来たメール内容を把握していた。

「優紀!良かったじゃん!笑、お祭りデート♡できるね!」と、美幸。

案の定、美香ちゃんは

「日曜日は、ちょっと返事待ってて!だって♡笑、日曜日も、きっと優紀に会いたいんだね!笑」

あれ?!ヒューヒュー言いながら、めっちゃ冷やかされるのかと思ったら…笑"そうでもなかった?笑


待ちに待った土曜日が来た。

私は、旅行鞄に浴衣も詰めて午前中には、家を出た。

美幸の家の最寄駅は、東西線の浦安だ。

あらかじめ時刻表を検索していたので、乗り換えもスムーズで、予定より少し前に浦安駅に着いた。

改札口に着くと、美幸がすでに迎えに来てくれていた。

「美幸っ!おはよう!」

「優紀!おはよう!笑、荷物…ちゃんと浴衣入れて来た?」

「はい!入れて来たよう!笑」

「なら、良かった!じゃあ、行こう!」

「あれ?美香ちゃんは?」

「それがさー。今朝、美香ちゃんから電話が来て…

どおも、お母さんと喧嘩してるみたいでさ。泊まりを許してもらえなかったみたいなんだ。だから、今日は優紀だけ!」苦笑いしながら美幸はそう話した。


美幸のお家は、用水路沿いにある2Kのアパートを2 軒借りているらしく…うち1軒分を美幸の部屋として使用していた。アパートに到着すると、美幸の部屋に荷物を置き…隣のお母さんのいるお部屋に挨拶をしに行った。「こんにちは!今日は、お世話になります!」玄関先から声をかけると美幸のお母さんが出てきた。

「優紀ちゃん!いらっしゃい!何にもないところでごめんなさいね!美幸と部屋が違うから、私たちのことは気にしないでゆっくりして行ってね!」美幸のお母さんは、そう言うと…部屋に戻って行った。


「美幸!一人暮らししてるみたいだね!笑」

「そうだね!笑、キッチンもトイレもお風呂もあるしね!笑、なんせ玄関も親と違うから…夜遊びしてもわからないしね!笑、そうそう!浴衣出しておけば?」美幸に言われ…私は浴衣をハンガーにかけた。


夕方になり、私と美幸は、髪をアップにして…見よう見まねで浴衣を着せあいっこした。

「良い感じっ!今井くん…優紀の浴衣姿見たら…また惚れ直すんじゃない?笑」

「ねぇ?美幸!私が成志さんと会ってる時、美幸はどうするの?」そう聞くと…

「私?笑、私はね!実は…」美幸は照れながら…

「あのね!中学時代の同級生の好きだった男の子と一緒にお祭り行くことになったんだ!笑」

?!?

「えっ?!美幸…♡美幸にもいたんだ!!お祭り行く彼♡」

「彼じゃないよ!中学時代からずっと片思いしてる人なんだ♡けど、さっき優紀を駅に迎えに行った時、その子にたまたま改札口でバッタリ会ってさ、その子…部活行くところで…"今日は、お祭り行かないの?"って聞いたら…"行く人がいない。"って言うから…

"私と一緒に行かない?"って誘ってみたら、"なら、行く!"って…♡」美幸のほっぺがほんのり赤くなっていた。

「そうだったんだ!笑♡チャンスじゃん!」

「うん!ちょっくら頑張ってみる!」美幸は、嬉しそうにそう言った。

プルルルル♪

携帯が鳴った。私は、成志さんからだ!と思ったので、携帯を鞄から出すと…電話じゃん!

「もしもし?成志さん?」

あれ?まだ携帯が鳴ってる!

「美幸の携帯も鳴ってない?」

美幸は、慌てて自分の携帯を手にした。

二人同時に鳴っていたのだ。

しばらくそれぞれ携帯で話し、電話を切った。

「美幸!成志さんも地元の友達の家に泊まることにしたんだって!笑、で…今、友達の家だからこれから出るって!結局、駅で待ち合わせすることにしたよ!美幸は?彼だった?」

「うん!これから迎えにうちに来るって!笑」

「そっか!笑、美幸の片思いの彼にも会いたいけど…とりあえず、駅に行って来るね!」

私は、そう言うと…美幸の家を足早に出た。


〜沢山の初体験。恋が心を育む理由。〜


改札口に着くと…既に成志さんは、待っていた。

「優紀!」成志さんは、私の名前を呼ぶと…

恥ずかしそうに嬉しそうに笑った。

「なんで、笑うの?笑、馬子にも衣装だと思ったんでしょう?笑」私は、照れ臭さを隠す様にワザとそう言った。

「そんな風には思ってないよ!優紀があまりにも綺麗だから、ビックリしたんだよ!」成志さんは真面目に答えた。

「さっ!行こう!」成志さんは、左手を出した。

「うん♡」私は、成志さんの手を握った。

商店街のお祭りは、すごい賑わっていた。

「成志さんのお友達も、お祭り来てるの?」

「来てるよ!彼女とね!笑」

それから…私たちは、ヨーヨー釣りや、屋台のカキ氷など、出店を楽しんだ。

「優紀!オレ…優紀と海行きたい!学校の近くに行けば、海見れるから、これから歩いて行かないか?」

「はい!私も成志さんの通う学校見てみたい!」

そう言うと…

「行こう!」成志さんは、私の手を引き、学校へ向かって歩き出した。

「うちさ、兄貴が二人いて、長男はもの凄く頭良くて…今は、社会人で大阪で一人暮らししてるんだ。で、次男は、その兄貴を見ていたせいか?笑、グレてさ、高校中退して…今は結婚してうちの近くに住んでるんだ。で…正反対の兄貴達見ててさ…。自分は、高校卒業したら、ちゃんと働いて…早く結婚したいって思ってる。」成志さんは、そう言うと…握っていた手を離し…私の肩に腕を回した。

「私は、2つ下の弟がいて…母は、私を20歳で産んでいるから…私も早く結婚して子供産みたいって思ってるんだ。」そう言った瞬間、成志さんは私の腕を掴み自分の腰に回した。

きゃー!!体温が浴衣の上から伝わって来る!

ドキドキが止まらない!成志さんは何事もなかったかの様に話す。

「そっかー。高卒じゃー給料安いけど…頑張って働くから…オレと結婚してくれる?」

ん?!これって…♡プ.プ.プロポーズ?!

私は、身体が火照った。

言葉が出て来ない。身体の火照りが成志さんにわかってしまうのではないかと、心臓もバクバクしている。

「優紀?返事は?」成志さんは、優しく聞いて来た。

「まだ2回しか会ってないのに…私で良いの?」

「回数は、関係ないよ!しかも会うたび、話すたびに優紀にどんどん惚れてるし…。」

"成志さん…♡"私は益々身体が火照っていく。気持ち良い夜風なのに…全身が熱い。

「今度、ちゃんと優紀のご両親にも紹介してね!」

「はい!うちの父…見た目ちょっと怖いけど…笑、でも、正々堂々と成志さんと付き合いたいし、ちゃんと紹介するね!」

「うちの家族にも、ちゃんと紹介するから!大阪いる一番上が、今度帰って来る時…まずは、三人で会おう!」

「成志さん…お兄さんのこと、信頼してるんだね!」

「うん。一番上と仲良いんだ!」

成志さんは、お兄さんの話をする時…凄く嬉しそうに話す。

「転勤で、大阪行くのが決まった時、オレ…泣いた。笑」

「それはそうでしょう。やっぱり大事な家族がいなくなるのは、寂しいし辛いもん。」

「優紀さ〜今年の夏休み…オレと二人で海水浴行かない?泊まりで…。」

「行きたい…。ちょっと水着は恥ずかしいけど…笑。」

「恥ずかしくないよ!オレのもんだし!笑、けど、優紀の水着姿見たい!笑、浴衣姿見て…次は水着姿って思ったし!笑」

「えっー!水着姿見たらガッカリするかもよ?良いの?」

「そんなに胸なくないでしょ?笑」

「まあ…胸は普通だと思うけど…苦笑」

「なら、大丈夫じゃん!笑、夏休み…部活少ないみたいだから、二人分の旅費…バイトして稼ぐから!」

「えっ?私の旅費も稼いでくれるの?」

「そりゃーそうさ!未来の奥さんだしね!笑」

「でも、バイトしたら、なかなか会えなくなるかもじゃん?」

「大丈夫だよ!優紀が会いに来てくれれば!笑」

「わかった。いく!」

話はとめどなく続いた。

成志さんが腕時計を見た。

「優紀!学校の近くの海…見に行きたいとこだけど、もう21時過ぎてるよ!」

えっ?!?

私は驚いた。時間を忘れるくらい幸せなひと時だったからか…でも、"美幸待ってるかなぁ?"そんな事を一人考えていると…

「優紀もオレも友達のうちに泊まるから、海は次回にして、今日は戻ろう。」

「そうだね。夜の海を成志さんと一緒に見たかったけど、時間遅いと美幸や成志さんの友達に迷惑かかるから、引き返そ!」私の言葉が寂しく聞こえたのか?

成志さんは、足を止めて私の肩をくるっと横に回し、ぎゆっと抱きしめた。

?!?

「成志さん♡」私は、恥ずかしく思いながらも成志さんの胸に身を預け…腕を成志さんの背中に回した。

「優紀!愛してる!」成志さんが呟いた言葉は、好きよりももっともっと重い感じがした。

「優紀は?」黙ってうずくまっている私に成志さんは、耳元でささやく。

「成志さん…私も…。」もう顔が見れない。

「私も…。なに?」成志さんは意地悪っぽく聞いてくる。

「愛してます♡」あー!ほんとにこの後、成志さんの顔見れないから!!

「ずっと一緒にいような!」優しいささやきが耳元で響いて来た。私は、成志さんの腕の中で大きく頷いた。

「じゃ、帰るぞ!」

「はい!」

成志さんと私は、寄り添いながら…歩き出した。

「ねぇ?成志さんは、今みたいなこと…他の女の子に言ったことあるの?」私は、素直に聞いてみた。

「優紀が初めてだし…。あーあ!優紀にそんな事言われるとは思わなかった!」成志さんは、幼い子がお母さんに甘えるかの様に…意地悪っぽく言った。

「ごめん。ごめんね。なんだか、あまりにも幸せすぎて…。成志さん…私や女の子が誰でも言って欲しいと思う言葉をたくさんくれるし…。ちょっと不安になって聞いてみただけだから…。」

「オレ…まだ高2!将来を考えられる相手に出会えたのは、優紀だから!女の子が誰でも欲しいと思う言葉なんて…女の兄弟もらいないから、わからないし!」

「ほんとにごめんね。」

「ウソ!笑、ちょっと怒ってみた!笑」

「もー!!びっくりしたんだからー!成志さんを怒らせてしまったかと思って焦ったんだから!」

私は、ちょっとふくれた。

「優紀!優紀の怒った顔も超〜可愛い♡笑」

あー駄目だ。成志さんにかかったら、私は即敗戦だ。

"きっとこれから先も…同じだ。どんなに私が怒っても…成志さんにはきっと敵わない。成志さんの優しい言葉で許してしまう私がいるんだろーなー。"


美幸のアパートの前に着いた。

「成志さん!美幸帰ってるか、メールしてみるね!」

「優紀!待って!!」成志さん?

ん?!そう言葉に出そうと思った瞬間、成志さんは、また、私をぎゆっと抱きしめた。

「優紀!今日は、ありがとう!美幸ちゃん呼ぶ前に…

目をつぶって!」

なんだか。わからないけど私は素直に目を閉じた。

成志さんの腕の中で更に強く抱きしめられ…

身体が離れたと思った瞬間

おでこにkiss…?!?♡♡

「くちびるは、もう少しお預けな!笑」

「お預けなって…??♡♡」

おでこだけでもびっくりなのに…お預けなって…?!?思わず口に出て復唱してしまった。

「優紀?!笑、積極的?笑」

「違うから!あまりにもびっくりしたから、思わず口に出たの!」

「わかってるよ!笑」成志さんは、笑っている。

あーまたしてもやられた。

「お預けは、自分に言い聞かせたの!笑」

成志さんは、照れ臭そうに言った。


細い路地から人影が歩いてくる。

真っ暗で見えない。

成志さんも暗い人影に気づき…会話が途絶えた。

ん??!

「美幸?」

「優紀!ちょうど良かった!今連絡しようと思ってたとこ!」人影は、美幸と美幸の片思いの彼?だった。

「美幸!私も今連絡しようと思ってたとこ!

あっ!紹介させて!この人が今井成志さんです。

私の彼♡」

「こんばんは!今井です!美幸ちゃん?いつも優紀がお世話になっています!」成志さんは、凄く大人な挨拶をしてくれた。

「こんばんは!石橋美幸です!こちらこそ!優紀がいつもお世話になってます!笑、で…こっちが、中友の松貝和也くん!」

「あっ!初めまして!中友の松貝和也です。」

「こんばんは。私…美幸と同じ高校の千葉優紀です。」

「自分、優紀の彼の今井です。」

皆が挨拶をすると、美幸は恥ずかしいのか?

「優紀!帰ろ!」と言いだした。

「うん!じゃあ、成志さん♡またね!」

「あぁ!明日また連絡するよ!」そう言うと…成志さんは、皆に会釈をして、帰って行った。

「俺も行くわ!美幸!またな!」

「うん!またね!今日はありがと!」

美幸のほっぺがほんのり赤らんだ。

「じゃあ、優紀ちゃん!こんな美幸だけど、よろしく!笑、また!」

「はい!おやすみなさい!」

松貝くんも、また暗い路地に消えて行った。

「優紀っ!うちら、見ちゃったよ〜♡笑」

美幸は、そう言うと…早足でアパートの階段を登る。

「えっ?!まさか?!見たって…。」

えっー!?!おでこにkissを見られた?!

私も、美幸を追ってアパートの階段を登った。

こんな恋もあるんだな。こんな恋したな。

こんな恋してるな。

いや、もっと純粋で真面目な恋をしてるよ。

もっと純粋で真面目な恋をしたよ。

振り返る人。比べる人。夢を見る人。さまざまな恋を堪能して欲しいです。

思う事、考える事、悩む事、これが恋に詰まっています。

今現在の私は、やはり高校時代の淡い大切な恋があったから、今の幸せがある!と思っています。笑

今後、主人公の優紀に起こる出来事を、やはり自分の昔の恋と比べながら、書いて行こうと思います。

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