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三 疑問

 平日昼間勤めている会社で、昼休みに席で茂が昼食を食べていると、同じ係で入社同期の三村英一が外食から戻ってきた。

 弁当を食べ終わりランチボックスをしまっている茂を、長身の英一が見下ろす。

「河合、お前、仕事はともかく料理だけはまめだな」

「弁当は経済的だし健康的だしね。お前もたまにはつくれば?」

「俺は忙しい。」

「ヒマでわるかったねー」

「高原さんの警護業務は順調か?」

「なんだよいきなり」

 茂はその透き通るような琥珀色の両目で、ふいを衝かれたように英一の漆黒の端正な両目を見返した。

「この間、負傷されたと聞いたから。父の紹介とはいえ、かなり無理して引き受けて頂いたようだし。」

「そうだね。怪我は軽傷で済んだとはいえ・・・・。危険度は高い案件だね。・・・」

 言い終わって茂は少しうつむいて何かを考え、そして再び英一のほうを見たとき、ほぼ同じような表情で英一も考え込んでいるのがわかった。

 二人は同時に口を開き、そして同時に話すのを踏みとどまった。

「・・・なんだよ、言えよ。」

「・・・お前こそ。」

「あのさ、俺は今回の警護業務の担当警護員じゃないけど・・・ちょっと、聞いていいか?」

「ああ。」

 茂は周囲を見回し、そして声をひそめた。

「クライアントの木田葉子さんって、婚約者を・・・殺害したんだよね。その前から、三村流のお弟子さんだったっていうから、お前、なにか知っているかと思って。」

「当時彼女に教授していたのは兄の蒼淳だけどね。」

「殺害された婚約者には、同居してた家族はひとりしかいない。お兄さんの、龍川歩武さん。お前は歩武さん、見たことあるか?」

「俺はないけど。・・父と兄からは、当時稽古場に、よく彼女を、婚約者の代理で迎えに来ていたって聞いた。」

「そうか。」

「やはり龍川歩武氏は、今、木田葉子さんを狙っているであろう人間の、大本命なんだろう。」

「そうだよね。つまり彼は・・・・」

「例の、プロ集団に、木田葉子さんの殺害を依頼してるってことか。」

「今回高原さんを負傷させた奴は、そんじょそこらの素人じゃないから。それどころか・・・・プロ中のプロだって。」

 英一は、茂の顔をまじまじと見て、そして言った。

「河合、これからあの店行くぞ。」

「え?」

「ここじゃ話しづらい。」

「ええっ!仕事はどうするんだ」

「もちろん有給休暇をとる。」



「恭子さん、理屈じゃないという場合、恭子さんの世界から離れた話になりませんか?」

「そうね。」

 昼時のカンファレンスルームで、コーヒーを飲みながら、手元の携帯端末の画面を手で無意味に弄びつつ吉田は窓の外を眺めた。そして言葉を継ぐ。

「・・・ほかのチームの案件だし、もう始まったことだし、彼らは必要な情報は事実については全部入手しているはずだし。」

「そうですな。」

 酒井はいつもの無精ひげが戻った顔で、不思議そうに腕組みをしたまま上司の顔を見ている。

「うちの会社へ依頼がある前の、三回の襲撃の記録を読んでみた。お客様である龍川歩武氏の自己申告のとおり、三回とも、彼が知人に頼んで実行してもらったものだ。」

「はい。」

「手法は素人らしい素朴なものだし、三回とも、ターゲットに発覚し、ほぼ未遂というか未着手に近いかたちで終わっている。・・・問題は、でも、ここではなくて。」

「はい。」

「一回目は、地元の市民ホールのピアノリサイタルの帰り。二回目は、深夜の映画館を出たところ。三回目は・・・」

「街中の小さい、なんとかっちゅうテーマパークの前、でしたな。」

「酒井、あなたやっぱり心配なのね。」

 酒井はしまったという表情になる。

「あ、いえ。」

「これ、みんな、木田葉子がひとりでいたときを狙っているのは、当然のことではある。」

「はい。」

「でも、変じゃない?」

「なにがです?」

「確かに今、どこへでも女性がひとりで行くのは珍しいことじゃないけれど。でも、なんとなく、変な気がする。」

「意味がよく分かりませんが。」

 吉田が携帯端末から手を外し、テーブルで頬杖をついて酒井をやや斜に見た。

「ターゲットをぴったり尾行していて、たまたまひとりになったところを狙う、そしてそれがたまたまこの三か所だった。それだけのことかも知れないけれど。でも、普通こういう場所では、誰か連れや待ち合わせ相手がいるんじゃないかと、その可能性を考えるんじゃないかしら。」

「・・・・・・」

「襲撃が、ターゲットがひとりであることを、まるで確信しているみたいな、タイミング。」

「それは・・・」

 酒井がようやく、吉田の言っている意味を理解し、腕組みを解いた。

「なんの根拠もないけれど。」

「・・・恭子さんの直感が当たってたら、祐耶のやつ、ちょっと可哀想ですな・・・。」



 会社と駅との間にあるコーヒー店は、平日午後の時間帯はサラリーマン客が多い。

 茂と英一は奥の席に座り、英一は長い脚を小さなテーブルの外に出して組んだ。

「プロに襲撃されたのは、今回が初めてなんだよな?」

「業務上の秘密だけど、そうだよ。」

「お前が気になっているのは、何なんだ?」

「うちが木田さんの警護を請け負う前に・・・・木田さんが襲われた過去三回の襲撃は、はるかに素人っぽいものだった。もちろんこれらも、被害者のお兄さんである龍川歩武さんが仕掛けたものなんだろうけど。」

「そうだな。」

「というか、だからこその素人っぽさなんだろう。」

「今回の、プロフェッショナルが・・・専門家が殺人を請け負ったケースと違って、前の三回は、場所も方法も、歩武さんが全部決めたからなのかね。」

「うん。そうだと思う。で、その三回とも、人出がかなりある場所なんだ。」

「人が多いほうが目立たない、と考えるのはおかしくないと思うが?」

「そうなんだけど、襲い方そのものの稚拙さに比べて、場所の選び方が、なんというかピンポイントでしかも現れた彼女を迷わず自信を持って狙っているんだ。」

「親父に聞いたけど、手をつかんで、大声を出されただけで躊躇したり、・・・そういう決断力に欠ける稚拙さということだな。」

「ああ。それに比べて、選んだ場所、そして彼女が現れてすぐに襲ったことそのもの、これはすごい決断力だと思わないか?」

「確かに、ちょっと違和感があるかな。言われてみれば、だけど。」

 茂は運ばれてきたコーヒーカップを手にとり、飲まずに中身を見つめた。

 英一は手元のコーヒーを一口飲み、少しだけ微笑んで茂の顔をじっと見た。

「・・・・で、河合。今の話は、誰の意見なんだ?」

「うっ」

「言うまでもないか」

「ああ。高原さんだよ。」

「・・それで、俺の意見も聞いてくれと言われたんだな?」

「まあね。できれば、とおっしゃっていたけどさ。・・・・お前が、一般的に賢い奴だから、ということもあるんだろうけど、今回高原さん、こんなこと言ってた」

「?」

「三村さんは、女性のことを、すごく良くお分かりになるから・・・・って。」

「・・・・・・!」

 コーヒーカップからコーヒーが数滴零れ落ち、慌てて英一はカップをソーサーに戻した。

 茂は不思議そうな顔で同僚を見る。

「お前、そんなに詳しいのか。確かにお前以上に女性にもてる奴を人生で見たことはないけど、一体今まで何百人の女性とつきあってきたんだ?」

「意味がわからないが、とにかく木田さんの心理を考えないといけないということだろう。それは簡単に考えるならば、婚約者と一緒に行っていた思い出の場所、ということなのかね。」

「違うよね。」

「・・・・そうだな。別れを切り出されて恨んで殺した相手を、たとえまだ愛していたとしても、それはないな。男ならありえるが、女は、ないな。」

「やっぱりそうなんだよね。」

 茂はうつむいてため息をついた。

「殺した相手じゃなかったら、ありえるかもしれないかな。」

「・・・河合?」

 茂の顔色が悪いのを見て、英一が声をかける。

 答えず、茂は英一に別の質問をした。

「三村、お前が気になっていることは何だ?」

「ああ・・・こっちは大したことじゃないけど・・・・高原さんの指示で朝から晩まで木田さんが細心の注意を払って生活していたとしても、プロが本気でかかれば、高原さんの警護時間を避けて、つまり邪魔な警護員がいない時間帯に殺してしまうことは、それほど難しいことじゃないと思う。」

「そうだね。」

 茂はコーヒーカップを口へと運ぶ。

「だから、今回木田さんを襲い、高原さんを負傷させた奴が・・・・そいつが一番やりたかったことは、木田さんを殺すことじゃなくて・・・・いや、それももちろん仕事だから大事な目的だったんだろうけど、一番やりたかったことは・・・」

「・・・・・」

「それは、高原さんと手合せすることだったんだろうな。」

 大きく傾いた茂の手のコーヒーカップから、半分ほど残っていたコーヒーがほぼ全部テーブルへ零れ落ちた。

 店員がやってきて、テーブルを拭き清めるのを手伝ってくれた。

 英一は、目を丸くし、やがて少し苦笑して、茂を見た。

「・・・心当たりがあるなら、最初から説明しろ。」

「高原さんがそいつと会ったのは、二度目だった。前の警護のとき、高原さんのクライアントを襲い、そして守ろうとした高原さんを襲った奴だ。」

「高原さんにかなわなくて、今回そのリベンジってことか?」

「少し違う。前回のとき、そいつは、高原さんを殺せる状況だったのに、途中でやめたそうだ。理由は分からない。」

「・・・・・」

 足を組み直し、英一は右手の甲を額にあてて目を伏せた。

「そいつの考えていること、想像つくか?三村」

「そうだな・・・・。できる仕事を中断するのは、俺だったらひとつの場合しかないな。・・・もっと、自分の納得のいくやり方でやりたいときだ。」

「・・・・」

「そしてなおかつ、それが、やり直して改めてやることによって、できると思うときだね。」

「・・・・・」

 茂の顔を見ている英一の表情から、笑顔は既に消えていた。

「河合。今回、大雑把な言い方で言って一番危ないのは、クライアントの木田さんじゃなく、高原さんということかもね。」

「ああ。」

「そしてしかも・・・事柄に、ちょっとしたボタンのかけ違いが、ある。」

「・・・そうだね。」



 深山はチームリーダーの男性と二人で、依頼主の自宅を訪れていた。

 龍川歩武の自宅は住宅街ではなくオフィス街にあり、そして居室は自社ビルの上層階のレジデンス部最上階にあった。

「一度目、成功できず申し訳ございません。」

 リーダーの男性が広々とした居間のソファーの前に立ったまま、頭を下げた。深山も合わせて一礼する。

「まあお座りください。」

 龍川は二人に椅子を勧める。

 座った男性と深山に、龍川が用意していたコーヒーポットからコーヒーカップへ中身を注ぎ、差し出す。

「次は、うまく成功させてくださると、信じていますよ。」

 そして龍川は後ろのサイドボードを振り返った。龍川とあまり顔は似ていないがやはり背の高そうな美男子の、写真が飾ってあった。

「・・・通男の無念を、晴らしてくださるだけの、実力をお持ちと見込んでお願いしたのですから・・・・・プロフェッショナルの、あなたがたに。」

「はい。」

「木田が雇ったボディガード・・・・あの、なんでしたっけ・・・」

「大森パトロール社の、高原警護員です。」

「そう、その高原という奴。かなりの腕前なんですね?」

「はい。そして、最も襲撃しやすい、夕方から夜間の移動時を押さえられています。高原警護員を避けるとしますと、昼間や、自宅、あるいは滞在先を狙うことになりますが、リスクが高まります。」

「あなたがたが逮捕されてしまったら、依頼主の私に及ぶ危険も高まるということですよね。」

「はい。二度目も、移動時を狙います。こちらです。」

 男性が地図と平面図を広げ、示した。

「市民ホール・・・舞の稽古の後、ですか。周りは木田の知り合いだらけじゃないですか?」

「いいえ、稽古は三十分の個人授業、教授の三村蒼英氏はその後も稽古を続けますからそこでターゲットとは別れます。そして会場は市民ホール内ですが集会室です。こちらから・・・ホールロビーを通りますが、周囲の人間はターゲットとは面識のない人間です。」

「しかしまた高原がついているのでは、一回目と同じになるのではないでしょうか。」

「同じにはなりません。」

 チームリーダーの男性が、顧客の顔を静かに見て言った。

「今度は、アサーシンは・・・殺害担当のエージェントは・・・、先に、警護員のほうを、狙います。」

「なるほど。」

 龍川が図面から顔を上げた。

「あの、私も、今度は現場に行ってもかまいませんか?」

「え?」

「見届けたいのです。そして、前にも申し上げておりましたが、いずれにせよ、阪元探偵社さんにお願いするのは、あと二回です。万一また失敗したら、最後の・・・三度目の襲撃については、私も一緒にその方法を考えさせてほしいと思っています。」

「はい。」

「そのためにも、この目で、今回の顛末を見たい。そして、なにより見たいのは、あの女の死です。」

「はい。」

「皆さんのお仕事を邪魔せず・・・・もちろんあの女にも見つからない、うまい立ち位置を教えてくださいね。」

「了解いたしました。」

「気を付けてくださいね。あの女は、警護員の指示をきちんと守り、いつも冷静だと思いますから。たとえ今回、警護員が目の前で倒れようと、その後も生前の高原さんの指示を守り続けるでしょう。」

「そうですね。ボディガードは、自分に万一のことがあった場合にどうすべきか、クライアントに指示しておくのがふつうですから。留意します。」

「龍川さん・・・」

 横から、深山が言葉をはさんだ。

「なんですか?」

「弟さんのことを思い出させてしまうようで申し訳ありませんが、そのほか、木田葉子について、今なにか思いあたる特徴がありましたら改めて教えていただけますか? 今度の現場での対応に、役立てたいので。」

「そうですね・・・・」

 龍川は腕を組み、しばらく考え、再び口を開いた。

「・・・舞の稽古がえりに、弟の通男が都合がつかないときに頼まれて、私もかつて木田を迎えに何度も行ったものですが、稽古の後は、木田は頭の中でその日習ったことをおさらいしてますね。なにを話しても聞いてないことも多いくらいですよ。すごい集中力です。」

「そうなんですね。」

「寝る時も頭の中がそれで一杯になるほどらしいです。」

「なるほど。寝言も舞の言葉になってますね、きっと。」

「そうですね。」

「稽古が終わってから、なるべく襲撃までの時間が空かないようにします。ありがとうございます。」

「よろしくお願いします。」

 顧客の家を後にして、車に乗ると、運転席の深山は静かに車を発車させながら隣のチームリーダーへ向かって、言った。

「すみません、庄田さん・・・」

「どうしました?」

「僕の担当分野ではありませんが、木田葉子の、プライベートについて調べたいことがあります。」

「え?」

「チームの担当者と、これから会っても構わないでしょうか?」

「・・・それは、構いませんが・・・・どうしてですか?」

 深山は、前を向いて運転しながら、口だけで少し笑った。

「うちのリーダーの吉田さんに、いつか言われたことがあるんです。・・・・疑問がわいたら、理屈より勘を優先したほうが、いいことが、たまにはあるって。」



 夜中のスナックで、龍川は携帯電話の呼び出し音にママとの会話を中断され、不機嫌な顔で胸ポケットから携帯電話を取り出した。

 発信者の電話番号を見て、顔色が変わった。

 電話に出るのを躊躇していたが、ママが促し、一分間近くの後、受話のスイッチを入れた。

「もしもし」

 相手が、短く話し、すぐに龍川が返答する。

「・・・なに?どうして電話してきたの?」

 ママがにやにや笑った。かけてきた相手がわかった様子だった。

「怖くなったのか?お前は強いやつだが、やっぱりそうか・・・女だもんね・・・。そうだね・・・通男は人望があったから・・・復讐したい奴は星の数ほどいるだろうし、資金も豊富だろうからね。でも・・・大丈夫だよ、すごく優秀なボディガードさんがついているんだろう?・・・ああ、仕事はまあまあ順調だよ。通男がいなくなって、もう僕を止める人間はいなくなったからね。感謝してるよ。僕の代わりに刑務所へ入ってくれたようなものだからね・・・・・。」

 水割りのグラスに新しい氷を入れながら、ママが足を組み換え、煙草をふかす。

「・・・お前は、一生、僕の一番大切な人だよ。そして、一番大切なものは、一番遠くにあるものだ・・・そういうものだ。かなしいね。・・・申し訳なかった?・・いや、通男も、お前に殺されるなら本望だったと思うよ。一番大切な人に、殺される。これ以上の幸福がある?」

 龍川の顔に、苦しそうな笑みがよぎった。

 ママは、立ち上がり、新しいボトルを取りにカウンターの奥へと入っていった。

 龍川は、長い脚を組み直し、まだ低い声で、携帯電話に向かって話し続けていた。



 市民ホールは、複合施設と隣接する広々とした都市公園と、細い道路を挟んで向き合う位置に建っている。

 高原は、三階の集会室での日本舞踊三村流の市民向け講座が終わる時刻の少し前に、車寄せ近くの路上に車を停め一階ロビーへと入った。

 外では夜更けの暗闇を月が微かに照らし、公園から霧まじりの空気がホール前の道路まで滑り出てきている。

 やがて大ホールも小ホールも演奏会が終わり、ロビーには客席から吐き出された人並みが流れ出てきた。

 高原はロビー奥の狭い階段室から三階へ上がる。階段を上がった先を左に入ると、いくつかの小部屋の扉が並び、その真ん中の扉の前で立っていると、ほどなく中から扉が開いた。

「お疲れ様でした」

「ありがとうございました」

 タイルの床に畳に似た敷物を敷いた簡単な稽古場で、順番を待つ弟子たち数人が壁際の椅子で見学し、稽古を終えた木田葉子が和服姿でドア口まで出てきた。

 部屋の奥で弟子を見送る三村英一は、ドア口で弟子を迎えたボディガードのほうを見る。

 高原はいつもと変わらず、すらりと高い身長に似合う、スマートかつ動きやすそうな服装で、メガネの代わりに仕事用のゴーグルをつけ、両腕にはリスト・スリングを装着している。

 英一は立ち上がり、ドア口まで行きかけたが、思いとどまり、目だけで挨拶した。

 高原が、笑顔でこちらを見て会釈する。

 胸が軽く締め付けられるような感覚に、英一はかすかに戦慄した。胸騒ぎが、した。

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