表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
98/189

利害の一致

 「デニー、あのお酒好きのデニー叔父様!?」


 アーシィはワインを受け取りながら見開いていた



 「あれ、もしかしてアーシィちゃん?」


 デニーさんも同じように目を見開いている



 どうやら二人は親戚同士のようだった


 二人の話に僕は聞き耳を立てることにした



 「どこに行ってらしたの?私、心配しましたのよ」


 悲しそうに言うアーシィにデニーさんは頭を掻いていた


 「いや~、良い酒が水の国にあるって聞いてな、その酒を買い付けに行ってたんだ。けれどな、後になって水の国から土の国に帰るのが困難だということに気づいたんだよな~」


 デニーさんはばつが悪いようにアーシィに言っていたが、そのアーシィはデニーさんの話に驚いていたようだった


 「水の国に行かれてたんですか!?でも、どうやってこんなところまで戻って?」


 さっきの話に首を傾げているアーシィにデニーさんは待ってましたと言わんばかりに言ってきた



 「それはなあ、あの坊主のおかげなのさ」


 ほれと言って、デニーさんが僕を指さしていた


 


 デニーさん、人を指さしていはいけないって習わなかったのかな


 僕が少しイラついていると、アーシィがデニーさんの話の続きを求めてきた


 

 その後も、デニーさんが間延びした声で僕たちがここまで来た敬意を伝えているのを静かに聞いていた


 






 「なるほど、そういうこと。あのハジメが逆移動を考え、各国の書状を加護者に書いて貰い許可を取っているのですわね」


 素晴らしいですわ!というアーシィの声が拍手とともに聞こえてきた



 そしてその後、白ワインを一気に飲み干したアーシィが僕に近づいてきた


 

 「ハジメ、私とあなたの利害は一致していると思うのですが?」


 椅子に座っている僕を見下ろすアーシィは、有無を言わさぬ表情で僕の横に立っていた



 「どうしてそう思うのかな?」


 僕がカウンターに置いてあるお冷を飲んでから、アーシィの方を見る


 

 「ハジメが同行者として私と土の織り籠に行くことは、書状を受け取ることになるのと同じことになるからですわ」


 僕の横に座り込み、僕の様子を見てくるアーシィに僕は目線を合わせた



 「詳しく説明してもらえるかな?」


 僕の言葉にアーシィは勿論ですわと言った


 

 「でも、その前にジェル兄様のことを説明しなくてはなりませんわ」


 よろしくて?というアーシィの言葉に僕は頷く


 僕はアーシィの説明を聞くことにした






 冷静にアーシィの話を聴こうと努めたが、それはできそうになかった



 なぜなら、最初のアーシィの発言があまりにも衝撃が大き過ぎたからだ




 「ジェル兄様は土の加護者でした」


 一年前までは、というアーシィの言葉に店内にいたメンバー全員の叫びが店内にこだました




 「あのジェルが、加護者!?」


 アリアの叫び声に続き、タイニーがアーシィに待ったをかける



 「え、ちょっと待ってよ!加護者は亡くなるまで加護者のはずじゃあ・・・」



 タイニーの声にアーシィは答える


 「土の国ではそんな事にはなっておりませんわ。土の加護者はかなりの頻度で変わっていますわ」


 それでと言うアーシィの言葉にタイニーが黙った 


 「その後、土の加護者を辞めたいとジェル兄様が現在の加護籠長におっしゃいましたわ。」


 その後も続くアーシィの話を僕なりにまとめてみると、



 ジェルが加護者を辞めた後、後任を決めるために国中に加護者を決めるための知らせを飛ばしたと言う



 けれどその知らせを受け、加護者として三人が織り籠を訪れた



 アーシィもその一人だった



 「まさか、私以外に加護者になる方がいらっしゃるなんて、初耳でしたわ」



 アーシィの言葉にリドが疑問を投げかけた


 「加護者は瞳の色がその国の色になると聞いていたが、他の二人もそうだったのか?」


 リドの問いかけにそうだと言うようにアーシィは頷いていた



 「全く同じ色の琥珀の瞳でしたわね」


 はあ、とため息をつくアーシィが、説明を再開した



 「加護者が三人など聞いたことがないと言われた私を含めた三人は、加護者になるための試練を受けることになりましたわ」


 僕がネックレスを入れた方のポケットに視線をやりながら、アーシィは話し続けた 

 

 「その内容は、ジェル兄様がどこかに隠していった土の国のインクが入ったネックレスを先に探し出した者の勝利とするものでした」


 

 僕がその言葉を受けてネックレスを取り出すと、皆が声をあげた



 「ここにあるじゃないか!!」


 デニーさんが僕のネックレスを指さしながらアーシィに言うが、当の本人は首を横に振っていた



 「本物はまさしくそれでしょう。しかし、私は出遅れてしまいました」


 アーシィが顔を上げ、僕の方を見て言った



 「インクの入ったネックレスであれば、本物でも偽物でも速く見せ、持っていた者の勝ちという条件があったのですわ。」



 その点では勝ち目はありませんわと言い、力なく首を振るアーシィに僕は疑問に思った



 ネックレスを急いで見せに行かなくてはならないのは分かったけれど、そのことと僕を同行者として連れていくことがどう繫がるのだろうか


 

 僕はアーシィの言葉に頭を悩ませていた。




    

 アーシィが創に提案します。話を聞いた後、創はその提案をどうするのか、楽しみです。

 何とか投稿することができました。明日もできるように頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ