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積み木の世界  作者: レンガ
~ 風の国 ~
86/189

緊急講座

 僕が手を振っていることに気づき、ファイさんは近寄ってくる



 「なんだ、ハジメ?」



 ファイさんがいつもの三つ編みを揺らしながら僕に尋ねてくる



 そのファイさんにララが来ていることを説明した



 僕の言葉にファイさんは目を見開く



 そして、ファイさんがお目当ての人を見つけ、その方へと歩いていった



 「ララ」


 ファイさんが話しかけると、ララは目を輝かせていた


 「ファイ!」

 

 ララが立ち上がったのと同時に、ファイさんは抱きつく



 「ただいま」


 ファイさんの言葉にララはファイさんの背を軽く叩きながら言う


 「おかえり」


 二人の感動の再会だった

 




 




 店内のお客が帰り始める中、ララとファイさん、マキさんは盛り上がっていた



 ファイさんが水の国に行っていた時のことを話すとララは勿論、マキさんも

盛り上がっていたようだった





 お客からの注文を頼まれたり、酔っぱらってしまったお客を酔い覚ましさせていたりしていたので、詳しくは聞いていないが



 お客がいなくなったテーブルを拭いていると、マキさんからなぜか手招きされた



 拭き終わったテーブルに拭き残しが無いか確認し、僕はマキさんのもとへと向かった



 三人で盛り上がっているところに行くと、ララが僕に話しかけてきた




 「ねえハジメくん、ファイのことどうしてさん付けなの?」



 ララの疑問に僕は頭を回転させる



 考えたこともなかったが、そういえばファイさんのことは最初からさん付けで呼んでいたような気がする


 

 僕が悩んでいるのを見かねたファイさんが僕に小突いてくる



 「そうだな、私は呼べと言った覚えはないぞ」


 ファイさんの言葉に僕も心の中で頷いていた



 

 とりあえず、考え出した理由をララに言うことにした



 「さん付けの方がいいかなと思ったから、かな」



 僕の言葉にララはへえと言っている



 ララの反応にファイさんはなんだ?と訝しんでいる



 「いや、てっきりファイが呼ばせているんだとばかり」



 ララの言葉にファイさんはそんなわけないだろうと応えていた




 


 僕は二人のやり取りを聞いていた


 そこにマキさんが入ってくる


 「二人とも幼馴染じゃからの、あたしゃ同じように呼ぶのが道理だと思うがね」


 マキさんの言葉にララは頷いていた



 「それがいいんじゃない?だから、ハジメくん」



 僕の方に指を突き付けながらララは宣言してきた



 「今日からファイのことは呼び捨てよ」



 分かった?という言葉に僕はファイさんの方を見る




 今更ファイさんからファイにすることには意味があるのだろうか




 僕が考えていたことを見透かしたのか、ララは僕に言い聞かせてきた





 「ハジメくん、なんでファイさんからファイと呼ばせたのか分からないって顔してるわよ?」



 どうやら僕の考えていることが分かったらしい、そう思いながら僕はララを見つめた



 「どうして私がファイさんでなくファイと呼ぶように言ったのか、教えてあげるわ」



 完璧にねと言い、ララが手を叩く音が僕の周りで響く



 手を叩いた瞬間、ララは正座するように言ってくる



 ファイや僕には勿論、なぜかマキさんにまで



 僕はララの変貌ぶりに横で正座しているファイに話しかける



 「ファイさん、じゃなかった、ファイ」


 「なんだ?」



 僕のひそひそ声に声だけでファイは反応する



 「どうしてこんなことになっているの?」


 「あいつの癖なんだ。ハジメも早く正座しろ」


 じゃないと、あいつ切れるぞと言う言葉に僕は腰をおろす



 そうか、癖か



 僕は納得しかけたが、そうは問屋が卸さなかった




 いや待て、これが癖で済むのか!?



 僕はララの変貌ぶりに目を疑いながらも正座するしかなかった





 「はーい、正座は済んだかな皆」


 僕たちにだけ聞こえるような声で言いながら、ララは僕たちを見る


  

 「では、ハジメくん。私のことをララさんと呼んでみて」


 その言葉に僕は戸惑いながらも従う


 「次にララって呼んでみて」


 同じように言う僕の言葉にはい、よくできました~と言う風に拍手している



 「さあ、ハジメくんはララさんとララ、どちらに親しみをもつのかな?」


 ララの問いかけに対し、僕は即答する


 「ララ、でしょ?」



 僕の言葉にララは目を光らせた


 「そう!じゃあ、私がファイと呼ぶように言った意味も分かるよね?」


 ララに視線を向けながら僕は答える


 「ファイに親しみを持ってほしいから、だよね」



 僕の言葉にララは大正解、完璧よ!と嬉しそうに言っている




 「ハジメくんは偉いわね。完璧よ」



 あくまでもララは完璧と言う言葉を使って僕を撫でてくる



 ララが講座の終わりを意味する手を叩くと、叩いたララ自身が僕たちに対し

驚いていた




 「えっ?どうしてハジメくん達は正座をしているの?」


 それにマキさんまでと言っているララが目の当たりにしている状況を皆に説明しなければ



 僕はそう思った





 状況としては、完璧にねと言った後に手を叩き、本人の表情と雰囲気、言動が変わった



 そして、僕たちに対して有無を言わさずに正座させ、講座を始めると言った



 僕がさっき疑問に思ったことを授業のように解説していった




 訳が分からない、僕はララの行動に困惑させられていた。




 すみません、昨日は力尽きてしまいました。気づいたら、朝でした。 

 

 ララの講座です。豹変したララの説明は次の話で行います。

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