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積み木の世界  作者: レンガ
~ 風の国 ~
82/189

角砂糖

 呆然としている皆に衝撃音が何だったのかを説明する




 ただ鳥がやってきただけ、ということに皆がほっとしていた




 しばらくしてからガイが戻ってきて、少しボーっとしながらデニーさんの前に腰を下ろす



 「おう、なんだ酔ったのか?」



 そういうデニーさんに力なく首を振る姿はいつものガイではなかった




 けれど、デニーさんがとっておきのお酒を用意してくれたら、元気になっていたので問題ないだろう




 僕は視線を嬉しそうなアリアに向け、近づいていった




 「うん、とってもいいわ!これならファイは気に入ってくれるでしょう」



 ご機嫌なアリアの言葉にタイニーも嬉しそうだった



 その後、アリアはハーブティを飲み終わったファイさんを呼びつけ、花のことについて話し合っていた



 タイニーもその話に混ざっている







 そろそろ離れてもいい頃だな


 僕はそう思い、花瓶の前からカウンターへと行こうとする




 だがその途中、マキさんに呼び止められてしまった




 

 コーヒーのおかわりかな



 僕はポケットからメモとペンを取り出し、マキさんの前に立った



 

 「はい、ご注文でしょうか?」



 僕がにっこり笑顔で微笑みかけると、マキさんは鋭い目で見てきた


 

 「お前さん、人と接するのがあまり得意ではなかろう?」




 突然すぎるその言葉に僕は驚く



 「いや、そんなことないですよ」



 僕は慌ててマキさんの前で首を振った



 「本当にそうだろうかの?」


 僕の目を覗き込むように見てくるその目に、視線を逸らす



 「どういうことですか?」


 僕はマキさんの質問の意図を聞き出そうとした



 真剣な表情の中、何を言われるのだろうかと思っていると、


 その前にコーヒーを持ってきておくれと言われたので、僕は拍子抜けした



 「二人分でな」


 

 空になったカップを僕に渡しながらマキさんは言ってきた


 

 どうしてコーヒー?と思う僕は、渋々メモを取った




 僕はマキさんの注文をカウンターにいるリドへと伝える




 そして、リドからコーヒーを二人分淹れてもらい、お盆にのせてマキさんが待つテーブルへと持って行った



 お盆からコーヒーを二人分置くとマキさんに座るように言われた



 その言葉に促されて、もう一つ置いたコーヒーのある席へと座る



 少し間を置き、マキさんは口を開けた


 

 「あたしゃね、たくさんの生徒を小学校で見てきたよ」


 コーヒーをすすりながら言うマキさんの言葉に僕は耳を傾ける



 「人と接してたくて、ちょっかいをかけ続ける子やもじもじしすぎて他の人と仲良くなれない子、少し人とずれているけれども構わず話しかけていく子、本当にたくさんね」



 コーヒーカップを置き、マキさんは渦巻きになっているミルクを見つめる



 「そして、ハジメのように必要以上に人と接さない子も、ね」


 視線を合わせずマキさんは僕に問いかけてきた



 「困っていたり、助けを求めていたりするときは夢中になって助けるのじゃが、冷静になって考えている時は自分からは助けを求めようとしない。

自分の心の中でどんなことも消化してしまう」



 渦巻くミルクがコーヒーと混ざり合った時、マキさんは顔をあげた



 「寄ってきた人は掴んでも掴みきれない、雲のような人じゃよ」



 その言葉に僕は少し焦る



 たくさんの人が居る中で、自分の心や考えを見透かされたようだった


 後ろから静かに近寄り肩に手を置かれる


 そんな感じが、した




 「そうですか?」

 

 僕はコーヒーに手を伸ばしながら、マキさんに乱された心を落ち着ける



 けれど、いつもは分かるはずのコーヒーの苦みが、この時ばかりは分からなかった


 

 「そうだと思うのじゃが」


 マキさんの言葉に迷いはなかった



 

 

 完全に見抜かれている



 


 僕はコーヒーカップをテーブルの上に置いた


 同時にマキさんもカップを置く



 「でも、それでもいいんじゃよ」



 マキさんは角砂糖の入ったガラス容器の蓋を徐に開けた



 

 「世の中には様々な人がおる」



 蓋を机の上に置き、茶色い角砂糖を一つ摘む



 

 「この角砂糖を人間だと思うんじゃ」

 

 マキさんが僕の前に摘んだ角砂糖を見せてきた



 僕はその角砂糖を見つめた



 「この角砂糖がコーヒーの中に入るとどうなる?」


 コーヒーに砂糖を入れるしぐさをするので、僕は答える



 「溶けて無くなります」


 僕の言葉にマキさんは頷いた



 「それも正解じゃな」


 そう言ってから、角砂糖を摘んでいた指を離す



 茶色い角砂糖がコーヒーの中へと落ちていく



 ポチャン



 入った瞬間から、コーヒーの熱と水分によって角砂糖は小さくなっていく


 そして、溶けて消えてしまう



 マキさんはそれを見終わってから、僕に話しかける


 「じゃがな、もう一つ答えがあるんじゃよ」


 分かるか?と言われたので僕は考える




 小さくなっていくとかだろうか



 僕が考えているのを見て、マキさんは少し微笑む



 「答えはのう」


 スプーンで自分のコーヒーを混ぜ、僕に飲むように勧めてくる



 僕はそのカップを受け取り、口付けた




 「・・・甘い」


 僕は一口飲み、マキさんに返した



 「味が変わるじゃ」



 僕から、カップを受け取ったマキさんは得意そうに言った




 その答えに、僕は声をあげる




 でも、その答えが何なのだろうか



 僕の頭には疑問しか残らなかった。        





 今回は創の人間性です。この物語は2つの柱を立てて考えています。一つは、世界とは何か、もう一つは、人間とは何か、です。

 えっそんなこと言ってたっけ?と思われる方もいらっしゃるでしょう。私もはっきりとは言ってなかったので、ここらではっきりさせておきます。

 

 この物語は、人間として生きていくには何が必要か、そして、世界はどうして動いているのかについて、ファンタジーで混ぜ合わせながら、私自身も考えていくものです。

 簡単に言うと、どんな人がいいのかな、世界と私ってどう関わっているのかな、ということを創たちの物語にあてはめてみようということです。

 

 話が固いかもとか思うのですが、私はこの物語で、私自身が今生きているこの世界でどうあるべきか、はっきりさせていきたいのです。

 だから、この物語を始めました。時々、つらいことや楽しいことをどう乗り切るかなどの人生観のようなものが入っているのはそのためです。

 

 なんだ、期待外れだなとかお思いになるかもしれません。それでもいい、私はこの物語を自分自身のためにも続けていきます。

 それまで、結構長いですが、お付き合いください。


 長々と書いてしまい、申し訳ありませんでした。では、次回もご覧くださいね。 

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