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積み木の世界  作者: レンガ
~ 風の国 ~
79/189

ありのままの

 今にも泣きそうなタイニーを宥め、僕はレストランの前に立つ



 ポケットの中の積み木を手の平に出す




 橋をかける





 ただそれだけをソウゾウする




 船から橋が現れ、僕らのいる地面へと少しずつ降りてくる




 黄色い歓声が迫ってくるころには、橋が完全に架かり終わっていた







 「ファイ様~」



 民衆がファイさんの後ろから追ってきていた



 けれど、民衆の足は止まった




 このレストランを見て呆然としているのだ






 まあ、今までこんなところにこんなものは無かったのだから当然だけれど

 


 僕はその間にファイさんをレストランへと導く



 「どうぞ」



 僕は自然とファイさんへ手を差し出していた



 ファイさんは僕の手を取り、引かれていく



 

 僕と橋を渡っていくファイさんを我に返った民衆が見る


 「なんだ、あの小僧は」


 「ファイ様を引っ張っている人、誰か知らない?」



 民衆が僕の登場にざわめいていた






 さっきからいたんだけどな


 僕は民衆を尻目にレストランへと入って行った



 その後に僕以外の人も続く



 アリアとリド、デニーさん、ガイ


 その後をやつれきったタイニーとマキさんが入っていく


 皆が入ったのを確認し、僕はレストランのドアを閉める




 カランと音が鳴った後、船は陸から少しずつ離れていく





 民衆はその船の行動を見て、口をあんぐりと開けていた





 何が起こっているんだろうか


 そのような表情の民衆を僕はレストランの中で確認した






 

  


 船が適度に離れたところでファイさんがテラスに出る



 その光景に民衆の目には光が宿った



 「ファイ様!?一体なんですか、これは」



 指差してくる民衆に対し、ファイさんは明るく答える



 「フネという、海を渡る手段だ」


 快適だぞ、という声に民衆は眉を寄せる



 「快適だぞって・・・」


 「なんか口調変わってない?」



 ヒソヒソと話す民衆にファイさんは胸に手をあて、声を響かせる



 「これがあたしだ。ありのままのあたしなんだ」



 声を張り上げるファイさんに民衆は目を奪われる




 「風の加護者としてうまく国を導けるかどうかはわからない。だが、これだけは言える」



 テラスの柵に手を置き、民衆を見て心の声をファイさんは伝える




 「あたし一人では国を導くことはできない。だから、皆の力を貸してほしい」



 離れた水面を駆け、その声は民衆のもとへと届いた



 ファイさんの言葉に民衆の一人が声をあげる


 「そうだ!!風の加護者だけじゃないぞ」


 その声に他の民衆が耳だけを向ける



 「俺たちだって、この国を導いていく一人なんだ」


 そうだろう?という言葉に民衆は喚起した



 「そうだ!!」


 「そうよ、私たちもこの国を支えていかなくちゃ」



 その言葉に答えるように、民衆の間には歓喜の波が広がっていった



 その中でひときわ大きな声が聞こえてきた



 「ファイ様も私たちと一緒にこの国で生きていきましょう!!」



 その言葉に頷いたファイさんに民衆が手を振り始める



 「7日間の旅、ご無事を祈りますわ」


 その言葉にファイさんはお辞儀した




 ファイさんがこの国の人に風の加護者だと認められた瞬間だった





 





 見送りの声に手を振りかえしつつ、ファイさんはレストランへと戻っていった



 ドアをあけて入ってきたファイさんの方へレストランにいた皆が集まる




 「凄いじゃないか、ファイ」


 マキさんが歓喜の涙を流していた



 さっきまでやつれきっていたタイニーも目を輝かせている



 アリアはファイさんに向かって、やったねとVサインを送っていた



 リドはおめでとーと口を動かしているのが見えた



 デニーさんは新しいをお酒を開け、一杯やるか?と言っている




 その中で、ガイだけは反応してなかった




 いや、反応していなかったのではなく、目の前のファイさんにただ驚いているようだった



 「まさか、お前が風の加護者だったとはな」



 ガイは頭のタオルを整えながら、ファイさんの方へと歩み寄る   


 どうやら知り合いだったらしい



 僕はその様子を窓際から眺めていた

 

 「知り合いどころじゃないのさ」


 いつのまにか横に立っていたマキさんが僕の心を読んだかのように言う


 

 「ファイとガイ、ララは幼馴染で、学校での生活も同じように過ごしたんだ」



 マキさんの言葉を聞き、ファイさんへと視線を向ける


 二人は楽しそうに話していた



 「ララも会いたかっただろうに」


 ファイさんの方を見て言うマキさんに僕は相槌を打つ



 

 つまり、ファイさんとガイ、ララは小学校で同級生だったということになる




 マキさんはそんな3人の学校生活を見てきたのだろう


 僕は二人を見ながらそう思った











 次の都市までの間、僕たちはレストランの営業準備をすることになった



 アリアと僕は使っていなかったテーブルを拭いていく


 窓の桟は丁寧に拭き上げたのもあって、太陽の光を見事に反射させていた 





 僕が落ちてきた時とは違い、様々なお客さんが訪れるようになったレストラン 



 磨かれたテーブルとイスに、ファイさんやガイ、デニーさんにタイニー、

そしてマキさんが座っていく




 アリアとリドはこんな風にお客さんとこのレストランで過ごしたかったんだろうな



 

 そう思い、眠気と闘いながらも腕まくりをした





 よし、頑張ろう




 僕はしっかりと気合を入れた。





 ファイさんのありのまま宣言です。着飾らない、そのままの言葉って素敵なんじゃないかなと思います。日本もそんな風な自分でいられる世界になればいいのになと思います。


 今日は夜、投稿しません。昼間だけです。ご了承くださいね。

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