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積み木の世界  作者: レンガ
~ 風の国 ~
75/189

香る思い出

 「ハジメ~、酔いにくい酒、持ってきたぞ」


 ほれ、と僕の方にワインボトルを放ってくる



 とりあえず、割ったらいけないと思ったので、席から立ち上がって両手でそれを受け取る



 「それなら、たくさん飲んでも酔いにくいからな」


 問題ないだろ、と言ってデニーさんはもう一つ持っていた酒瓶を飲んでいた




 この人いったいいつまでお酒飲めば気が済むんだろうか




 僕は呆れながら席に着き、渡されたボトルをテーブルの上に置いた



 「デニーさん、前も言ったでしょう。僕はお酒を飲みません」



 僕はリュックからパンを取り出すと、一口かぶりつく




 「相変わらずだな~」


 人生の半分損してると言って、僕の目の前に座り、酒臭い息を僕の方にまき散らしてきた



 しばらくして、頼み終わったガイが僕の横にやってきた




 「結構頼んじまった。うん?なんだこの人は?」



 テーブルに尋常じゃない量の食事を並べているガイに驚きながら、僕はデニーさんのことを説明した




 「お酒に関しては完璧な人だよ」


 その言葉にガイは反応した



 「おおう!酒か。そういやあ、最近飲んでなかったな」


 そわそわとしているガイを見かねて、僕はさっき受け取ったワインボトルを目の前に出した



 「なんなら僕の代わりにお酒飲む?」



 僕の言葉にガイは目の色を輝かせていた


 「いいのか、全部飲んじまうぞ?」


 「どうぞ」


 僕がワインボトルから視線を外すと、目の前でガイに酒の素晴らしさとやらを語り始めたデニーさんが生き返ったように目を輝かせていた




 ガイもその言葉に耳を傾けている





 ガイもお酒好きなんだな




 僕はさっき上げたワインボトルが瞬く間に空になっていくのを横で見ていた










 ガイも酒に強いのか、まったく赤くなっていなかった


 デニーさんはそのガイの調子にますます機嫌がよくなっている





 3つのパンとスープを食べ終え、僕は食器をカウンターへと持って行った



 もう僕が居なくてもデニーさん大丈夫だな





 そう思った僕は食堂のおばさんにお礼を言い、食堂を後にした



 




 ドアを閉め、僕は廊下を進む



 残ったパンはどうしようか



 僕が思考をめぐらしていると、強い風が吹いてきた





 

 その風に乗ってきたかすかな花の香りに導かれて、僕は廊下から出る




 星や月が光る姿を眺めながらも、僕は確実に足を香りのする方へと向ける



 

 庭園のようなものが見えてきたが、そこに花は咲いていなかった




 もっと奥の方からだな




 僕は庭園を通り過ぎた







 



 しばらく、木々に囲まれた道を行く



 ちなみに、ここは森林地区ではない


 行政地区の織り籠の敷地内、のはずだ





 それでも広すぎだろうと思いながらも僕は香りのする方へと歩いていく




 






 木々をかき分け、辿り着いた場所には一本の他とは異なる木が植えられていた




 

 金木犀






 僕はその木の目の前に立ち尽くした





 オレンジ色の小花を咲かせ、素朴でそれでいて華やかな、



 何とも言えない、言い表せない香りが僕を包んだ





 僕はリュックを置き、金木犀に近づく



 まるで、見守るようなぬくもりを感じながら僕は木に背中を預けた




 優しい香りが頭上から降ってくる


 同時に、心地よい風が僕を撫でていく




 僕は目を閉じ、今まで起きたことを思い出していた





 僕が創っていた世界に僕自身が落ちてきた



 水の国に落ち、渦潮に突っ込んだところへアリアが助けてくれた


 目覚めてから、レストランの制服を着て、バイトのようなことを始める


 リドとアリアに接客のノウハウを教えてもらい、少し自信がついたと思う





 僕は知らぬうちにほくそ笑んでいた







 その後、海上にあったレストランを船に変え、街へと向かった



 そこで、様々な人と会う



 ノアさんやロウ、デニーさん、リリーとパンジー、ジェル



 日本でただ暮らしていただけでは味わえなかったことだ




 その後、レストランが営業を開始し、僕も接客を頑張った



 て言っても、2、3日しか働いてないけど




 まあ、それは置いておいてだ




 それからは、ファイさんに会って、風の国に行くために書状をもらった僕たちは船を走らせ、風の国へ行った



 けれど、降りたった矢先、盗賊のケリー兄妹に襲われ、ファイさんと分断



 ファイさんの助けを借りつつ、僕たちは脱出し風の織り籠へと向かった



 その織り籠で、ファイさんが風の加護者だと判明



 僕たちは心底驚いた



 逆を言えば、なぜ気づかなかったのか、僕自身に問いたいぐらいだ




 逆移動許可の書状をファイさんから受け取り、僕たちは前へと進めるように

なった


 

 ファイさんのお願いを聞いて、僕たちは風の織り籠に留まった



 クロウさんにこの国のことを聞きながら、僕は探検した



 そこで、大人に果敢に立ち向かうタイニーに会う



 負けず嫌いのタイニーと完璧な料理人リドの対決があってから、居住地区に

行き、鳥にさらわれた



 

 山の上でガイと会い、鳥たちとも仲良くなる



 その後は、ファイさんのお願い、お披露目をうまくいくようにガイに手伝ってもらって、風の手紙屋へ



 ララさんに手紙を書いてもらい、その後鳥たちに運んでもらった



 そして、織り籠に戻ってきて、夕飯を食べ、今に至る




 

 僕が目をあけても変わらないこの世界は、すでに思い出に満ち溢れていた。

 






 

 金木犀、一番好きな香りです。人によっては好きじゃないと言う方もいるでしょうが、私は好きです。香水つけるよりも、この花の香りをつけた方が私は好みです。


 0時までに出そうと思ったら、過ぎてしまいました。本当にすみません。

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