表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
積み木の世界  作者: レンガ
~ 風の国 ~
73/189

風となって

 僕とガイは小屋から出た


 このメモの人物はガイの知り合いだったようで、案内してくれることになった





 「行政地区 風の手紙屋 ララ・K・ダリア」



 メモに書いた場所と名前を僕は再確認する




 ガイはさっき帰ってきた鳥の片方を僕の方へと送ってきた



 「ハジメ、お前はアカの足に掴まれ」



 すると、僕の目の前に赤い首輪をした白い鳥がやってきた




 ガイと住んでいる鳥たちは七色の首輪をしているようだった




 僕をここにのせてきてくれたのが、ムキ


 他は、オウ、リョク、アオ、アイ、だそうだ




 あの5羽は専用の寝床で寝ているようで、見当たらなかった



 ガイはダイという橙色の首輪をつけている鳥の前に立っていた


 「でも、あれだな。ハジメは鳥から降りるのが無理そうだからな」

 鳥の足を持ってみと言われた僕はその通り足を持った



 アカは僕が足を掴んだのを見てからゆっくり上昇する



 アカは足を地上から離していった



 同時に、僕もリュックと一緒に体が浮き上がっていく




 最終的には、アカの足にぶら下がるような状態になった






 「よし、じゃあ行こうぜ。風の手紙屋に」


 頭のタオルをきゅっと締め、ガイはダイに飛び乗った



 ダイが出発した後を追い、アカも続いて山を飛び立っていった












 吹き付ける風と僕が一体になる



 頭上でアカの翼をはばたかせる音が聞こえてくる



 でも、僕には鳥を見上げる余裕はなかった




 なぜかというと、


 飛行速度が尋常じゃないくらい速いからだ




 どのぐらいかと言うと、車並みの速度だろうか



 けれど、不思議なことに外気にさらされているだけで、寒くもなく、


 身体が悲鳴をあげることもなかった




 まあ、それでも、内心は冷や冷やしていたのだが






 日本では命綱がないと乗れない状態だなと思っていると、行政地区にある風の織り籠が見えてきた




 「もう少しで着くぞ~」


 前の方からガイの声が聞こえてきた



 僕は大声で返事すると、アカの行く方へと身を任せるのだった








 風の織り籠を過ぎ、2羽の鳥たちは少しずつ下降を始める



 目的地がもうすぐそこということなのだろう



 下降する速度をゆるめ、アカは空中に停止する



 それから、僕を地面に立たせるために、ゆっくりと下がっていく



 僕はブラブラとしていた足を着陸できる姿勢にしていく





 しばらくして、足が地面に着いたので、僕はアカの足から手を離した




 無事に着地した僕は、アカを仰ぎ見る



 僕の横に着地したアカはどうだ、と言わんばかりの表情だった



 「運んでくれて、ありがとう」


 僕がガイと同じようにくちばしを撫でてやると、アカは甘えた声を出してきた




 「お、早速仲良くなってんな」


 先に着陸していたガイが僕の方にやってきた


 「うん」


 僕はくちばしから手を離し、ガイの方へと向き直る




 「風の手紙屋はここだ」


 ガイの指差した方向を見た僕は呆気に取られた




 たくさんの手紙がその店の煙突のような部分から出て行くのだ




 その中にこの人はいるのか




 僕はその光景から視線を逸らし、ガイと一緒に店の中へと入って行った









 ~ 風の手紙屋 ララ ~



 ガイは手紙屋のドアを開ける



 そこには大量に山積みにされた無数の手紙があった


 そして、その中には先ほどの煙突からでてきたような手紙が同じように出て行くのも見えた



 「ああ、もうひっきりなしに仕事がくるんだから」

 困ったものだわ、と言ってペンを走らせ、印を押している女性がいた



 顔の横髪を編み込んだショートヘアの女性が、大量の手紙の山からしかるべきものを選んでいく



 「あら、お客?ちょっと待ってね」

 僕たちに気づいたのか、声をかけて今ある手紙を煙突に送り出そうとしている



 不真面目そうに見えて、丁寧な仕事をする人みたいだな




 彼女へのの第一印象はそうだった




 「はい、お待たせしました」


 ペンと印を置き、僕たちの方へ視線をあげた彼女は、珍しそうな顔で見てきた



 「あら?ガイじゃない。久しぶりね」


 カウンターから出てきた女性はガイの前に立つ


 「おう、今日はちょっと用があってな」


 頭を掻きながら、少し照れくさそうにガイは話している




 なるほど、ガイはこの人が好きなんだな




 僕が心の中でガイを冷かしていると、いつの間にか僕の話になっていたようで



 「で、この子は?」



 と言われたとき、僕はあわてて意識を戻したのだった



 「ああ、こいつはな、ハジメって言うんだ。今日、この手紙屋で頼みたいことがあるんだと」



 ガイの説明にへえ、と言っているララさんは僕の方をじっと見てくる


 「君、初顔だよね。自己紹介してくれる?」


 と言ってきたので、僕はそれに応じた


 「相田 創です。水の国からやってきました」


 「水の国!?」


 僕はララさんが驚いているのに頷きつつも、頼みごとをお願いすることにした



 風の国の加護者が見つかり、そのお披露目を海の近くにある7都市で行うこと、


 そのお披露目を国民に知らせるためにガイと鳥たちが手伝ってくれること、



 けれどガイと鳥達だけでは伝える人が足りないので、何らかの形で7都市の

都長にお披露目のことを知らせようと思ったことを、僕はララさんに伝えた




 その話を頷きながら、ララさんは聴き入ってくれていた。




 

 

 虹の色 赤、橙、黄、緑、青、藍、紫をアカ、ダイ、オウ、リョク、アオ、

アイ、ムキが鳥たちの呼び名と関係しています。ムキはムラサキから、ダイはダイダイから、そして黄はオウと呼んでます。

 ちょっとわかりづらいかもしれませが、その読みでお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ