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積み木の世界  作者: レンガ
~ 風の国 ~
72/189

知らせよう

 「な、風の書状だあ!?」


 僕の手から書状を取り上げ、広げて見る



 ファイさんの字と印が新緑色に輝いていた



 「つい最近書かれたものだな・・・」



 書状を丸め、僕に返すガイは信じられないようだった




 さっき、ガイは風の加護者を探していると言っていた


 それがまさか、僕が最近の風の加護者の筆跡で書かれている書状を持っているのだ


 驚くのも無理はないと思った





 ため息をつきながら、ガイは再び腰を下ろす



 そして、僕の方に視線を動かす



 「ハジメは風の加護者と知り合いなのか?」

 詳しく話してくれと言われたので、今までの事を含め、僕は簡単に説明することにした




 僕が水の国から逆移動してきたことや逆移動許可をもらうために風の国の加護者に許可をもらいに来たこと、その風の加護者は水の国にいたこと、



 そして今、風の織り籠には風の加護者がおり、明日から風の加護者のお披露目を行うことなども、説明した





 全てを聞き終わったガイは、苦虫を踏みつぶしたような複雑な表情だったが、

やがて納得したのか、ベッドから立ち上がっていた



 「そのお披露目ってのはどうやってするんだ?」

 徒歩か?と聞いてくるガイに僕は首を振る




 「違うよ。船で海を渡るんだ」

 


 そう僕が言うと


 「はあ?フネ・・・」

 

 聞いたことのないものだなとガイは傾げていた



 僕はその後、船のこと、そこでレストランをやっていることも伝えていった




 「そんな便利なものの中でレストランやってんのか」


 ほう、と言う風に腕を組むガイはレストランの方に興味を持ったようだった




 そんなガイの様子を見ながら、僕はお披露目のことに話を戻した



 「今説明した船で、海に囲まれている部分を七日間かけてまわり、お披露目していくことになったんだ」


 

 「へえ、初耳だな。そのことは風の国の国民に知らせてあるのか?」



 ガイの言う言葉に僕は頷く



 僕たちは船で海に囲まれている部分を回ると決めていたが、そのことを広く伝達する手段を持ち合わせていなかった



 ガイはそこを指摘したいのだろう




 僕も実はそう思っていた


 が、どうやってそのことを伝えたらいいんだ


 僕は必死に頭の中で考えていた




 けれど、次のガイの言葉で僕は考えなくてよくなった




 「それなら、今からあいつらと飛び回って知らせに行くのはどうだ?」



 ガイは小屋の外に目を向けながら、僕に言ってきた




 その言葉に僕は賛成する




 そうだ、あの鳥たちの飛ぶ速度なら、明日まで知らせることは可能だろう


 僕は脳内に電流が走ったような気がした




 僕の中でガイの案を受け入れようとした


 けれど、同時に疑問が一つ浮き上がってきた



 「だけどさ、鳥は5羽しかいないみたいだから、足りないんじゃないかな」





 さっき僕を乗せてきた鳥たちを思い浮かべた



 あの鳥たちは5羽しかいなかった





 クロウさんに聞いたところ、風の国の都市は7つあるそうだ




 だから、その7都市に知らせるとなると、鳥が2羽足りないと思うのだ




 僕の言葉にガイは問題ないと言う


 

 「後2羽いるんだが、そいつらは水の国へ人を送り届けているんだ。そろそろ戻ってくる頃だがな」



 ガイは小屋のドアを開け確認すると、空から白い鳥が2羽連なって見えた



 「おう、噂をすればだな」



 ガイが鳥たちに向かって指笛を吹くと、2羽の鳥が急降下してきた



 キュイー キィ



 鳴き声をあげながら、ガイに突っ込んできた



 よしよし、とくちばしを撫でるガイは、鳥たちが無事に帰ってきて嬉しそうだった




 「な、足りるだろう?」


 鳥を撫でながら僕の方を見るので、頷く



 これならいける、と僕が思った直後、




 ガイがあっ、と撫でながら言っていた



 「でも、伝達する人間が足りねえな、よく考えたら」



 ははは、と頭を掻いているガイはばつが悪そうだった




 そのことは何とかできるかもしれない




 「大丈夫だよ」



 そう言って、僕はリュックからある硝子細工を取り出した





 硝子細工のてっぺんを擦り、僕はファイさんに話しかける



 硝子細工が光ってきてから、僕は呼びかける



 「ファイさん、聞こえますか?」



 それにファイさんはすぐ応えてくれた



 「なんだ、ハジメ坊」


 ファイさんは不思議そうな声をあげていた



 「僕、リリーとパンジーに手紙を出したいんですけど、この国で風の手紙を送ることができる人って知りませんか?」

 



 僕の問いかけにファイさんは冷かしてきたが、それはスルーすることにした



 「風の手紙を出せる人な、じゃあ、あの子かな」


 ファイさんが僕に風の手紙を出せる人を教えてくれたので、それをメモに取る



 「分かりました。その人のところに行ってみますね。ありがとうございます」


 僕が張り切っていうと、じゃあ頑張りなというファイさんの声で硝子細工は光るのをやめた




 「で、どうするんだ?」


 ガイが僕のメモをのぞいてくるので、それを見せながら僕は答える



 「うん、風の手紙でその都市の長に送れないかなと思って」


 その都市に着くまでは鳥たちに運んでもらうけどね、という僕の言葉にガイは頷く





 まずは、このメモに書いてある人のところへ行かないとな





 僕はそう思いながら、メモをポケットの中に入れた。





  

 都市の長で都長、読み方は「みやこおさ」の予定です。

後、ジェルの一人称の読み方ですが、私は「わたくし」でお願いします。ここで説明すればよかったんだと今気づきました。すみません。


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