鳥使い ガイ
鳥たちは羽をなびかせて、小屋の前の空き地のようなところ着地していく
降り立った鳥たちは、縦に列を作って小屋の方を目指す
僕は一番後ろの鳥の上に跨ったままだった
これ、どのタイミングで降りたらいいんだ?
僕は頭を悩ませながら、鳥たちに小屋の方へと連れられて行った
木々の間から見えた小屋から誰かが走ってくる
「おーい、お前ら!遅かったな。どうしたんだ?」
お前らの速さなら、俺の飛行速度より早いはずだろう?と言い、一番先頭の鳥に抱きついてきている人は僕の存在に気づいていなかった
「まあ、無事で何よりだ」
よし、行けと言って、先頭の鳥をその人は小屋の方へ送り出す
「次はお前か。今日も毛並みがいいな」
優しく撫でながら、鳥のくちばしを触る
その鳥はその人に対して、甘えたような声を出していた
「おう、なんだ。いつもかっこいいって?ありがとよ」
ほら行きなという合図に、その鳥は渋々と進んでいく
その人は、次の鳥にも、その次の鳥に対してもあのような調子で話していく
まるで、鳥の考えていることが分かっているようだな
僕は冷静にそのことだけを考えていた
その次の鳥が僕の乗っている鳥だと言うことを忘れて
「最後はお前か」
その人が鳥の前に行くと、怪訝そうな顔で立ち止まる
その人からは僕の足がみえていたわけで
その人は僕の方を見上げてきた
「誰だ、お前?」
その人は、タオルを頭に巻いていた
「えっと・・・」
僕はどう説明しようか迷った
でも、この人なら正直に話せば分かってくれるかもしれない
そう思い僕は口を開くことにした
「僕、相田 創と言います」
とりあえず、自己紹介から
僕は鳥に跨りながら、相手を見下ろすような形で挨拶をした
「実は、この鳥たちに風の国の居住地区で乗せられて、そのまま僕ここに来ちゃったんです」
僕はその人に向かって必死に説明をした
その人は僕の言葉に信じられないと言う風に目を見開いていた
けれど、その後の態度はなぜか優しかった
「なるほど。お前は嘘をついてないな。この鳥が本当だと言ってるんだ」
だから、信じてやるとその人は言ってくれた
僕はその言葉に安心した
僕はなんとか鳥から降りようと試みたが、降りられない
どうしてなのかは、想像してほしい
僕の足は短い
だから、鳥の背中から降りるとき足が引っかかってしまうのだ
というわけで、降りられない
僕が四苦八苦していると、目の前の人が僕を抱え上げてくれた
「なにしてんだよ、お前」
僕はそっとリュックごと地面に降ろされた
でも、この鳥この人の身長でも登れないような高さに乗るところがあるんだけれど
僕が首を傾げていると、目の前にその人が近寄ってきていた
「おい、お前、ハジメとか言ってたな」
少し威圧的に僕を見てきたので、僕は少しひるんだ
「俺の名は、ガイ・B・ポール。俺は鳥と生活してるんだ」
名乗らなくて悪かったな、というガイは謝ってきた
僕はこの人をガイと呼ぶことにした
少し怖い感じだけれど、悪い人じゃなくてむしろ鳥を愛するいい人なのかな
僕はそんなガイに首を振る
「いいえ、知らない人がいきなりこんなところに来たら、誰だって警戒しますよ」
だから、仕方ないですよねと言う僕の言葉にガイは大口を開ける
「ははは!そんな潔いやつとは思わなかったな」
気に入った!と言い、僕の肩を思いっきり叩いてきた
この人もファイさん属性か
僕はそう思いながら、ついてこいというガイを追って行った
ガイは小屋のドアを開ける
木でできた小屋の中には大量の地図で埋め尽くされていた
「適当に座れ」
後、敬語いらねえぞ、というガイはベッドに腰を下ろした
僕はガイと真向いにある椅子があったので、それに座ることにした
「で、ハジメ。鳥に好かれるようなことをやったのか?」
ベッドから視線をあげ僕を見てくるガイに僕は首を振る
「いや。特に何もしてないよ」
僕の言葉に手を顎に当てている
「あいつらが反応するのは、風の力を感じるものがあるときだ」
僕の目をしっかり見据えて言うガイに僕は息を呑む
「お前、風の加護者か?」
へ?
ガイの言葉に僕は本気で呆けてしまった
その僕の表情をみて察したのだろう、ガイは言ってきた
「冗談だ。黒い瞳の風の加護者なんて聞いたことがない」
その言葉を聞いた僕はほっとした
「俺は、風の加護者を探す為にこの小屋を建てたんだ。もしかしたら、お前が知っているだろうと思ったんだが」
違ったなというガイはベッドに視線を下ろした
そんなガイが喋っていた言葉を僕は思い出す
「あいつらが反応するのは、風の力を感じるものがあるときだ」
確かにそうガイは言っていたはず
僕はそう思い、ガイに声をかける
「さっき、ガイは鳥が反応するものが風の力を持っているものだと言ったよね?」
僕の質問にガイがああ、と相槌を打つ
「だったら、心当たりがあるよ」
僕はリュックをおろし、中に入れていた書状を取り出して見せた
「風の加護者の書状、だよ」
僕の言葉にガイは頭を凄い勢いで上げるのだった。
章設定なるものを使ってみました。おおざっぱかもしれないけれど、これで少しは見やすくなったのかな、と思います。
見てくれている人が楽しくてわくわくするものを、私も楽しみながら書いていけたらいいなと思います。改めてよろしくお願いします。




