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積み木の世界  作者: レンガ
~ 風の国 ~
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赴くままに

 出かける前に、紙袋をリュックに入れる為、僕の部屋へと向かう



 幾重にも張り巡らされた廊下を突き進む



 ここの廊下には窓がなく、ライトグリーン色のアーチが続いており、風がこの織り籠内を通ることができるように設計していうようだった



 現に、今も爽やかな風が僕の髪や服の裾を揺らしていく




 けれど、雨が降ったとき、風と一緒に入ってきてしまうのではと思った僕は、


 思い切ってクロウさんに聞いてみた




 すると、クロウさんは風の加護によって雨と害のあるもの以外入らないようにしてある 


 と説明してくれたので、納得したのを僕は覚えている




 

 廊下のことを考えていた間、部屋の近くに来ていたことに気づき、僕は歩く速度を緩める



 僕はたどり着いた部屋のドアを開けると、リュックが置いてあるところまで走る





 そして、本日のパン、コーンが練り込んであるライ麦パンが入った紙袋をリュックの中に押し込める



 忘れないうちに携帯用の飲み物も入れる



 僕はポケットにある積み木を確認し、閉まっていたカーテンを開けて部屋を後にした





  



 ~ 織り籠 入口前 ~


 廊下では誰とも会わなかったので、今日は僕の勘で街を出かけることになる





 クロウさんにもう一つおすすめの場所を聞いておけばよかったかな





 そう思いながらも、僕は織り籠のある街にくりだしていった





 風の国・ネリアの三大都市、フェルエでは水の国とは異なり、三つの区で構成されているらしい




 僕が今いるここは行政地区


 織り籠を中心に街になくてはならない機能が集まっている



 

 そして、昨日と今日の朝、僕が行ったハーブ園と森林があるところが森林地区


 森の恵みと風の恵みを受ける場合はここになるようだ





 最後に、居住地区


 名前の通り、フェルエの市民、もとい国民が住んでいる場所で、旅の人とかも泊まるところでもある




 この三つの地区で行ってないところへ今日は行ってみようと思う




 僕は織り籠の入り口前にある案内の看板を見ながら、居住地区へと向かうことに

決めた








 ~ 居住地区 ~ 



 案内の看板の通りに進み、僕は居住地区へ足を踏み入れた



 そこは、水の国の街とは違い、市場はないものの、住民で溢れていた




 家の前でハーブティを嗜むもの


 走り回っている子ども達を追いかけている人


 それを見て笑っている人


 かと思うと、屋根の上でお昼寝をしている人など




 さまざまな人が居た



 そして、ここが風の国だからなのか、風に関係するものに溢れていた



 風見鶏や風車、風車など風に吹かれて、カラカラという音があちこちでしていた  



 風と共に生きる


 それがこの国の人たちの生き方なんだ



 僕はその人たちの生活に一歩足を踏み入れたような気持になった



 





 連なる家々の前を僕は通る



 ふと、周りを見回していると、僕の上を影が過ぎ去った







 

 なんだ?


 僕が上を見上げると、そこには白い大きな鳥が四、五羽いた



 大きな白い鳥達は列をなし、僕の頭上を旋回していた




 白い鳥達を見上げていると、その内の一羽が僕の方へ突っ込んでくる





 は?




 僕は命の危険と思い、白い鳥に背を向けて元来た道を走り出す



 けれど、僕の足では鳥の飛行速度に敵うはずもなく



 僕の後ろに白い鳥がきっちり張り付いているのを、下に落ちている影で確認するのが精一杯だった



 影の鳥が大きなくちばしをあけようとしている





 もうダメだ!




 僕はそう思い、目を瞑った。



 けれど、次の瞬間、僕の予想とは裏腹に、足が宙を浮く


 同時に、僕は宙を一回転させられ、体を空に投げ出される




 食べられるのではなく、くちばしで放り投げられるパターンなのか


 どっちにしろ、絶望的な状況には変わりない僕は、助かる方法を必死で考える


 


 このまま、地面に叩きつけられるのか



 もう無理と思った僕は覚悟を決め、次に起こる衝撃に備えることにした




 が、



 僕の体は地面に叩きつけられることなく、何か柔らかいものの上に着地することとなった




 僕の状況がどうなっているのか確認するため、そっと目をあける



 

 そこは、さっき僕を宙に一回転させた鳥の上だった






 状況を呑み込めない僕は呆然とするしかない


 白い鳥に跨ったまま、僕は鳥の赴くままに空を泳いで行った











 白い鳥たちが僕に危害を加えることがないと感じた僕は、鳥の上から見える街並みを見ながらのんきに観光を楽しんでいた




 白い鳥たちは少しずつ上昇しながら、街の端から端を回っていた



 まるで、僕が街を見やすいように





 この鳥は人を乗せることができるみたいだから、野生ではないよな


 じゃあ、この鳥は誰のものなのだろうか




 そう思いを巡らしながら、僕は鳥の人間でいう肩の部分に手を置き、上昇する視界を見ていた






 しばらくすると、街から離れ、鳥たちは一直線に国の真ん中にある山の方へと進行方向を変えた


 

 僕は身体に感じる風を全身で受けながら、山を見据える






 あの山に何かあるのかもしれない


 僕が山の方に目を凝らしていると、一軒の小屋が見えてきた





 あそこがこの鳥たちを飼っている人の家なのかもしれない




 小屋を見据えながら、鳥の上でリュックをかるいなおした。






 

 今回は居住地区での出来事です。ハジメは起こったことに驚きつつも楽しんでいます。楽しめるものは楽しんでしまえ、というわけです。

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