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積み木の世界  作者: レンガ
~ 風の国 ~
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ハーブティーの縁

 織り籠に向かっていた僕たちは森を歩いていた


 ハーブの香りに癒されていた僕はあることを思いつき、アリアをそっちの方へ引っ張っていく



 アリアは突然向かう方向を変えられて困っているようだった



 それでも僕はアリアの手を引き、突き進んでいく





 森を抜け、花のアーチをくぐった先にある無数のハーブにアリアは感嘆の声をあげる



 そう、昨日クロウさんに聞いて行ったところ





 ハーブ園だ





 沈んだアリアの気が紛れるといい



 そう思って僕が連れてきたのは功を奏したらしい



 アリアは様々なハーブに目を奪われ、普段の笑顔に戻っていた



 「わあ、すごいね!!」



 連なるハーブに嬉しそうに声をあげるアリアは楽しそうで


 さっきの悲しそうな顔はもうなかった




 よかった


 ほっと僕は胸をなでおろした








 しばらくアリアと僕はハーブの群れを鑑賞しながら奥へと向かっていった



 あ、これ知ってる。これも!!という元気なアリアに僕は笑顔で微笑んでいた 



 だから、僕は目の前でハーブをいじっている人に目がいかなかった





 アリアとハーブについて話していると、前から衝撃が走った



 「ハジメ兄!!」



 突撃してきたのは、ハーブをいじっていた少年


 タイニーだった






 僕はその衝撃もろに受け、目を白黒させた



 アリアは何が起こったか分からなかったようで、驚いていた




 抱き着いてくるタイニーは僕に話しかけてくる



 「ハジメ兄、おはよう!!昨日は帰ったんだね、ぼく寂しかったよ」



 尻尾を振る子犬のように僕を少し見上げるタイニーは、目を輝かせていた





 尚も僕に抱きついてくるタイニーの頭を撫でながら、僕は言う



 「勝手に帰ってごめん、タイニー。でも、突撃してくるのはやめてくれる?」




 僕が諭すように言うと、あっ、と声をあげて僕から離れる



 「ごめん、ハジメ兄」


 僕から離れたタイニーはしゅんとしていた



 そんなタイニーを見て僕は慌てて声をかける




 「落ち込まないで。次から気をつければいいんだよ」



 僕の言葉にタイニーは嬉しそうにしている



 その後、タイニーは僕の後ろで呆然としているアリアに気づいたようで



 「ハジメ兄、その人だあれ?」


 

 首を傾げながら僕に聞いてきた



 「ああ、そうか。二人は初対面だったね」

 なら、紹介するよと言う僕の言葉に二人は僕を見る




 「タイニー、こちらのお姉さんはレストランで僕の先輩なんだ」


 僕がアリアの説明をするとタイニーに向かってアリアが挨拶する


 「初めまして、あたしがアリアよ。レストランでは接客をしているわ」

 よろしく!!、というアリアにタイニーがぺこりと頭をさげる




 「で、こっちの少年がタイニー。昨日、ここで会ったんだ」


 アリアにタイニーを紹介するように言うとタイニーもアリアに挨拶する



 「タイニーだよ。僕はここでハーブを育てているんだ」

 

 挨拶をしたタイニーは少しだけ胸を張っていた 




 そうなんだ、と言うアリアの声にタイニーは気分をよくしたのか



 僕たちをあの小屋へと案内してくれた



 


 ドアを開け、アリアが感嘆の声をあげる



 「うわあ、見たこともないハーブがいっぱい」


 視線をめぐらしながら言うアリアにタイニーはお茶を入れるねと言う



 アリアがハーブに目を奪われている間に僕とタイニーはお茶の用意をする



 今日もタイニーのオリジナルハーブのブレンドティーらしい


 タイニーは手際よく準備していった




 ポットに入れたハーブにお湯を注ぎ待つこと数分




 昨日とはまた違ったハーブの香りに僕は癒される





 そういえば、マスターもハーブティ淹れていたよな





 そう思いながら、僕はハーブティの入ったカップをアリアの前に置いた



 「飲んでいいの?」

 嬉しそうに言ういうアリアにタイニーは頷く




 「いただきます」


 カップを手に持ち、口付けたアリアはを僕は見る



 「どう?」


 アリアに聞くと、大きく頷いてくれた




 「うん、マスターと同じくらいおいしい!!」



 とびっきりの笑顔でタイニーに言うアリアに僕はほっとする




 タイニーのお茶を気に入ってくれてよかった





 僕がタイニーと僕の分を運ぼうと台所の方を見るとタイニーが固まっていた



 

 「マスターって?」



 タイニーがプルプルと震えながら言うので僕は答える


 

 「ああ、マスターはね、僕とアリアが働いているレストランの料理人だよ。万能すぎる料理人だからハーブティも淹れるんだ」


 

 タイニーに僕が説明すると、タイニーは叫んだ



 「僕が淹れるお茶の方が絶対おいしいもん!!」


 

 タイニーは盛大に頬を膨らましていた



 それを聞いたアリアはその言葉に反応する



 

 「じゃあ、マスターのお茶を飲んでみるといいんじゃない?」

 そうしたら分かるわよ、というアリアの言葉にタイニーは意気込んでいる



 どうやら、マスターと同じくらいおいしいと言われたことを、タイニーは

気にしているようだった

  



 「ハジメ兄、ぼくをそのマスターという人のところに案内してよ!!」




 タイニーの目はリドに対して燃えているようだった




 タイニー、君は今仕事中じゃないのか?と思う僕の心配をよそに、タイニーはハーブティセットを用意していた。




 

 タイニーはかなり負けず嫌いです。特にハーブに関係することでは人一倍負けず嫌いなので、マスターに対抗心を燃やしています。次回、マスターとタイニーが会います。

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