表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
積み木の世界  作者: レンガ
~ 風の国 ~
62/189

ティータイム

 はっ、と戻ったタイニーに引きずられるような形で僕はある所へと連れて行かれた



 





 ~ タイニーの小屋 ~


 ログハウスみたいな小屋にタイニーは僕を引っ張って入る


 ドアを開けた途端に木材のいい香りとハーブのいい香りが混ざり合って、森林浴をしているかのような感覚に僕は陥った



 「ハジメ兄、詳しく話を聴かせて!!」



 もう僕待ちきれません、と言うかのように席に着き、僕を見上げるタイニーに苦笑する



 「わかったよ、話すから」



 僕は今まであったことをまとめて話した





 船を使って逆移動で水の国から来たことや



 その水の国で風の加護者にあったこと、



 風の加護者は僕たちと一緒に水の国からやってきたこと、



 最近籠長に言われて、風の加護者と名乗れるようになったこと、



 近々、風の加護者のお披露目があるということ




 僕はタイニーにも分かりやすいように話したつもりだったが、聞き終わったタイニーは目を回していた





 フネって?と聞かれたのは、アリアたちと同じ反応だったので分かりやすかったが




 「とりあえず、風の加護者はいるってことは確実に言えるってことだよ」




 タイニーの頭を撫で、僕は小屋の中を見回した



 たくさんの種類のハーブが小屋の中に硝子容器の中に入れられていて、部屋は緑に染まっていた



 「お茶入れるね!」





 目を回さなくなったタイニーは台所に立って、ハーブティを淹れ始める



 僕とタイニーの好きなミントを茶葉として使っているようだった




 湯気とハーブの爽やかな香りが、カップの中で溶け合って踊る



 タイニーが僕の目の前に淹れたお茶をカップごと置く



 きれいなライトグリーン色のお茶の色に感動していると、タイニーは僕ににっこり微笑みかけてくる



 「きれい?僕が改良したハーブを淹れてあるから、他のものより透明度が高いいんだ」




 凄い?と聞いてくるタイニーに僕は頷く


 

 その後、後ろを振り返って、何かつぼ状のものをタイニーは持ってきた




 「それは?」




 僕が指を指すと、タイニーが答えてくれた



 「これは、はちみつだよ」


 淹れると、さらにハーブの香りが引き立っておいしいんだよというタイニーの言葉に頷いていると、すくったはちみつを僕の目の前でいれた



 優しくもまろやかな甘みのあるはちみつがカップの中のハーブティと混ざり合う


 匙で回してやると、はちみつの塊がお茶の中で溶けながらも回っていく



 

 ふと、僕は気づく




 そういえば、今日のお昼に食堂で頼んだクルミパンが2個余っていたな



 僕がリュックを下ろして、紙袋を取り出すとタイニーは不思議そうな顔で見てきた


 「それ何?ハジメ兄」



 ガサガサと音を立てだしたクルミパンを僕はタイニーに見せる



 

 それを見てタイニーは飛び跳ねるように喜んだ





 余ったクルミパンを1個ずつ二人で分けて食べることになった


 





 独り占めでクルミパンを頬張るのもおいしかったけれど、誰かと食べるクルミパンもいいなあ

 




 


 僕はそう思いながら、ハーブティとクルミパンの味に舌鼓を打ったのだった











 ~ 風の織り籠 ファイの部屋 ~



 「はて、どうしたものか・・・」



 はあ、というため息がクロウの口から出てくる



 「どうしたものだろうな」


 ファイもため息をついている



 

 風の加護者として正式に認められるために、国中を回らなければならないということが二人の頭を悩ませていた



 「我が国が初めてだからのう、代替わりする加護者は」

 

 どうやって国中の人に知らせるのかと頭をひねっているクロウは困っていた



 風の国以外もそうなのだが、人が住むのは海の近くで、国の真ん中には人は住んでいなかった



 それは、どの国にも山がそびえ立っていたからだ



 だから、海の近くにぐるっと囲むように住んでいる人たちに会いに行けばいいのだが、歩いていると30日は軽くかかってしまう距離だ



 「何かてっとり早く、海の近くに住んでいる人たちに会いに行く方法はないのかの・・・」



 クロウが白いひげを撫でつけていると、ファイは思い出したように手を叩いた



 あたしがこの国に乗ってきたものは?



 「そうだ!あれがあるじゃないか!!」

 「なんじゃ、あれとは?」



 怪訝そうな顔のクロウにファイは耳打ちする



 その言葉にクロウのメモ輝いた


 「お願いしてみようかの」


 クロウは急いでファイの部屋から出て行った




 さて、あたしもハジメを探しに行こうかね



 部屋のドアを閉め、ファイは外へと続く廊下を突き進んでいった







 ~ タイニーの小屋 ~ 


 「ごちそうさまでした」

 「ごちそうさま!!」


 僕とタイニーが手を合わせる



 クルミパンとハーブティの相性はばっちりで、幸せなティータイムとなった




 ハーブティを淹れるのに使ったポットとカップをタイニーと一緒に洗っていた




 ふきんでカップを拭いていると、タイニーが眠そうにしているのが見える


 

 「もしかして、お腹いっぱいで眠いの?」


 僕はふきんを置いて、台拭きをしながら目をこすっているタイニーに近づく


 「うん、眠い」


 眠いといいつつも健気にテーブルを拭く姿はやはりかわいかった





 やっぱり、子犬だな





 僕は頭の中で欠伸に口を開ける子犬を想像しながら、残りの洗い物を片づけていった。



  

 遅くなりました。何とか今日も更新できてよかったです。もう少しで日付が変わりますが、許して下さい。今日も楽しんでいっていただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ