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積み木の世界  作者: レンガ
~ 風の国 ~
59/189

少年は守る

 アリアはまだ食べるらしい


 お皿を下げるとまたカウンターの方へ向かっていた



 そして、後の二人は厨房とお酒に夢中




 けれども、僕のお腹はいっぱいで食堂に興味はもうなかった







 僕は食後の運動も兼ねて散歩に出かけることにした




 食堂を出て、さっきお世話役の人が案内してくれたのと逆に自室へ戻っていく



 部屋のドアを開けて、僕はリュックにクルミパンを詰める





 よし、行こう!!



 僕は自室のドアを開け、飛び出した







 廊下を走っている最中でクロウさんに会った


 「おや、どこに行くのかな、ハジメは」


 僕に話しかけてきたので走るのをやめる



 「ちょっと散歩にここら辺を歩いてこようかなと思ってます」


 僕はクロウさんの方を向く


 「そうなのか、だったらあそこはどうじゃろうか」



 クロウさんが提案してくれたところに僕は行くことを決めた



 クロウさんに行き方を聞き、僕は廊下をまた走り出した






 書状をもらった後に聞いたのだが、クロウさんの名前はクロウ・R・アティで


あの双子、リリーとパンジーの名前と同じだった




 それもそのはずで


 リリーとパンジーはクロウさんの孫だったからだ



 僕はそれによる疑問をクロウさんにぶつける


 「リリーとパンジーにはおじいちゃんと呼ばれている方が水の国にいましたが、あなたもおじいさんなんでしょうか?」


 僕が首を傾げていると、クロウさんは苦虫を踏みつぶしたような顔になっていた


 「ああ、それはじゃの・・・、父方の方のおじいさんでな、あまりにも酒癖が悪いので、水の国の方に追放しておったのじゃが」


 まだ生きておったかというクロウさんの背中からは黒いオーラのようなものが滲み出ていた




 なるほど 

 あの人のことにはもう触れない方は良さそうだ



 そう思い話題を変えたのは記憶に新しい







 僕はリュックの持ち手を両手で握り、織り籠を飛び出していった










 ~ 風の国・ネリア 三大都市 フェルエのハーブ園 ~



 僕はクロウさんに言われて、この国一番のハーブがたくさん育てられている場所へとやってきていた



 緑の光に包まれた風が様々なハーブを撫でていくのを僕は見ていた



 ミントやカモミール、セージにタイム、ジャスミン、コリアンダー、ラベンダー、ローズマリーなど


 僕が知っているものから知らないものまで本当に数えきれない程のハーブが植えられていた




 辺りはハーブの香りでいっぱいだった




 思いっ切り息を吸ってみると、とても清々しい気持ちになる


 僕は気のすむまでハーブの香りを楽しんだ

 




 そして僕はハーブ園の中を歩き回っていた



 ハーブを摘んでいる人や眺めている人、ハーブの話で盛り上がっている人がこの中には居た



 ここに来ている人は皆、ハーブが好きなんだろうな



 僕は足元にあるハーブを間近で見るためにしゃがみ込んだ







 しばらく足元のハーブを眺めていると、ハーブ園の端の方で誰かが叫ぶ声が聞こえてきた





 こんなのどかな場所で何をしているんだろうか




 僕はその声の聞こえる方向へ急いで行った




 



 「こんなにハーブがいっぱいあるんだから、摘んだっていいじゃないか」

 

 「少しならいいけどさ、摘むのにも限度ってものがあるよ!」



 意地悪そうな大人が、僕の見た目年と同い年と思う少年と口論していた




 どうやら、大人の方がここにあるハーブを規定以上に持っていこうとしたらしい



 大人の方の手にはサンタクロースが持ってそうな袋があった



 僕はこのハーブ園の摘む規定を知らないけれど、周りの人を見る限りでは手に持っているのはミントの葉が4、5枚程度などで記念に持ち帰る程度の量だった




 そう考えると、その人が持ち帰ろうとしている量は明らかに異常だった




 ふんわりウェーブのかかったはちみつ色の髪の少年が大人相手に食ってかかる



 「規定では記念に残る程度なんだろう?」


 大人がその少年を見下しながら言ってくる


 「それがどうした!」


 少年は必死に大人に勝とうと頑張っている


 「俺にとっての記念に残る量がこれくらいなんだ」


 袋を持っている手を揺らして少年に見せる


 「記念に残る量、なんだからどの量でもいいはずだよなあ」


 なあ、という大人の言葉に少年はたじろいでいた





 まあ、大人の言葉も一理あると思う



 記念に残る量としか書いていないのなら、いくら摘んだとしても文句は言われないはずだ、と言っているのだろう



 そしてそれは、数を規定していないハーブ園を管理する側が悪いのだと



 大人の目はそう言っていた



 少年もその言葉の意味を理解したのか、唇を噛みしめている


 「ほら、どけよ」


 大人が少年に語りかける


 けれど、少年は退かない



 「ここは、ぼくたちが育てたハーブ園なんだ!!」


 僕はこのハーブ園を守ると言って腕を広げてハーブ園を守る少年は健気だった



 大人は少年の行動に対し、かなりイラついていた




 「なんだと、このチビ!!」


 退け、と言う風に少年の頬をめがけて大人の拳が弧を描く





 一部始終を見ていた僕は額に手を添えた

 


 はあ、もう見てられないよ



 僕は殴られそうな少年の前にリュックを置いて飛び出した。

   



 ケリー兄妹の騒動が終わった創は食後の運動でハーブ園に出かけます。その所でもまたも問題に巻き込まれるという事態です。

 書いてみると分かるのですが、問題を起こすまでの運びに一苦労、そしてその後の問題の終結のためにさらに一苦労と、結構大変です。でも、それが楽しいって思うのはいいんじゃないのかなと思っています。

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