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積み木の世界  作者: レンガ
~ 風の国 ~
52/189

風の知らせ

 ~ 風の国・ネリア 三大都市 フェルエの森林地帯 ~



 「さて、どうしたものか・・・」


 ファイは途方に暮れていた


 一人だけ助かったものの、四人を置いていくのは気が引ける



 彼女は考える



 だが、所詮は盗賊だ


 

 あのような殺気ならば、殺したりはできないだろう


 それに、創にはあの硝子細工を持たせていることだし





 今のうちにあたしができることをしないとな





 ファイは森の木々の上を移りながら、盗賊たちにばれないように移動した










 ~フェルエ 森林地帯・ケリー盗賊の隠れ家 ~



 「ねえ、こいつらまだ起きないの?」


 「まあ待てよ、ミリ」


 ふてくされているこげ茶色の髪の女の子はミリというらしい


 「だってタグ兄」


 そして、もう一人の青年がタグと言うようだ



 妹を宥めている青年は僕たちの方を見るだけで、実際に顔を見に来ることはなかった



 僕は薄れていった意識を回復し、聴こえる会話に耳を傾ける




 現在、僕たちは牢屋のようなところで眠らされていた


 どこも拘束されてない


 牢屋に入っていること以外は基本的には自由だ




 僕は起きたことを二人組に悟られないように息を潜めていた












 ~ フェルエ 行政地帯 ~


 ふう、人の声のする方へと向かっていたが、まさか私が行きたかった場所にたどり着けるとは思わなかったな



 木から飛び降り、あたしは辺りを見回した



 すると、一際仰々しい建物が奥の方に見えた



 あの建物だったはずだが・・・、そこに行けば何とかなるだろう



 そう思い、あたしはその建物の中をくぐろうとする



 すると、槍を持った門番があたしの前に立ちはだかった



 「誰だ、貴様は!!」

 「ここは風の織り籠だ、妙な気は起こさず直ちに帰れ!!」




 二人組の生真面目そうな門番がいたのでちょうどいいと思った



 「ああ、すまないがあんた達、ちょっと頼みごとを頼まれてくれないか」


 ファイは一つに結んでいたおさげをとりながら、門番に話しかける


 「風の加護者が来ていると一番偉い人に言ってくれないか?」


 ファイは風の力のかかった手紙を門番に渡した



 「な、何!?」

 「風の加護者だと!?」


 うろたえる門番たちは滑稽だった


 「この瞳で分からないわけがないだろう?これの意味が分からないようじゃ門番はできないはずだからな」


 「本当だ!!新緑の瞳、それはまさしく・・・」

 「分かったなら、さっさと行きなよ」



 一人の門番に行くように指示してから、あたしはもう一人の門番と外で待つことにした








 ~ ネリア 三大都市・フェルエ 織り籠内 籠長室 ~



 「か、籠長!!」


 さっきの門番が息を切らして、籠長に駆け寄る


 「何事じゃ」


 籠長は怪訝な目を門番に向けていた


 「風の!?」

 「風の!?がなんじゃ」


 わしはため息をつきながら門番を見る



 全く、忙しいと言うておるのにから


 この国の以前の風の加護者が亡くなりはや二年


 国は全力で現在の加護者を捜索しているが、見当たらない



 我が国の長を血眼になって探しておるというのに


 全く見つからんとはどういうことじゃ




 やれやれ、と思考を巡らしていると、門番が痺れを切らしたように聞いてください、としきりに言ってくるので、わしは聞くことにした




 「で、風の!?がなんじゃ」



 改めて聞くと門番は己の耳を疑うような発言をしおった



 「風の加護者がここ、織り籠前にまで来ております!!」





 

 目ん玉が飛び出るとはまさにこのことじゃろうて


 言葉を飲み込むとすぐにわしは対応した



 「なんじゃと!?すぐにお通しするのじゃ」



 これは、大変なことになったの


 わしは髭を撫でつけながら、籠長室で加護者が来るのを待っていた










 しばらくして、籠長室のドアが開かれる


 「失礼いたします」


 ウェーブががった抹茶色の髪をなびかせやってきたのはわしの孫の姉貴分、ファイじゃった



 「ファイ!?お前どうしてここに」


 わしは驚きを隠せなかった


 「なんだ、クロウじいか。まだ籠長やってたんだな」


 ファイは髪をかきあげながら、クロウを見た


 「前の加護者が亡くなったんだろう?それで、風の便りが前任者から届いたんだ。どうやらあたしが加護者みたいだぞ」


 ほら、と見せた封筒の中には、加護者の証となる、印鑑を押すときに使う緑色のインクのペンダントと風の印鑑が入っていた


 なにより、以前の瞳の色と違い、加護者にのみ与えられる新緑色の瞳をファイはしていた




 「お前が本当の加護者なのか!?」



 ああ、やっと見つけたぞ


 わしの苦労も報われる



 そう思って泣いておったが、ファイに話を続けられたのじゃよ





 「ところでだ、あたしは水の国からこの国へやってきたんだ」


 その言葉をわしは信じれんかった



 本日二度目の目ん玉じゃの

 



 その後、坦々と話されるここに来るまでのいきさつを、わしはただ聴くだけ

じゃった





 「・・・」  

 




 全てを聞いてからの沈黙に室内の空気が重くなっていた


 「でだ、今の最優先事項は創たちを助けることにある」


 ファイが腰に手をあてて、言ってきた



 「どうやらそのようだの」


 わしはその言葉に賛成の意を示した



 犯人は分かっているというファイの言葉を機に、わしらはその盗賊たちを懲らしめる作戦をたてはじめたのじゃった。


 

 以前、リリーとパンジーに結婚するかと聞いてきたおじいちゃんがいましたが、そのおじいちゃんは風の国から水の国に追放されてしまった残念なおじいちゃんなので、今後関わることはほとんどないと思います。

 クロウおじさんの口調に癒されてください。明日も投稿頑張ります!!

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