食のカルテット
「いらっしゃいませ、お客様何名様で・・・、あら?」
僕たち四人を出迎えてくれたのは、今朝もあった支配人、ジェルだった
なんだか、今日は朝あった人に会う確率が高くないか
そう思いながら、僕は案内された席の椅子をファイさんとアリアの分引く
「二人ともどうぞ」
僕がそういうと、二人とも遠慮なく座ってくる
「ありがとう、ハジメ」
バッチリよ!と言うアリアが嬉しそうだった
「やるじゃないか、ハジメ坊」
予想してなかったよ、というファイさんは僕のことを撫でてくる
うーん、しばらくハジメ坊という呼び方から抜け出せそうにないな
僕はそう思いながら自分の席に座った
何だか知らないけれど、目の前で悔しそうにしているロウは放っておこう
僕らが椅子に座り終わると、ジェルがテーブルにやってきた
「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください」
ジェルが四人分のお冷を置き、メニューを渡してくれる
「はい」
僕がそのメニューをジェルから受け取り、渡す
ファイさんが僕に前来たときは何食べたんだ?と聞いてくるので、僕はそれに答える
「これとこれ、後これも頼みましたよ」
僕は海老の姿焼き・オニオンソース添えとポトフ、クルミパンを指す
ああ、それおいしかったよね~、と言うアリアもロウと一緒に決めはじめる
「じゃあ、私たちは食べたことのない料理にしよう!」
どれがいいかな?と言うアリアにロウはメニュー表を指さす
「これ、どうだ?」
ロウが指したものをアリアが見て、それにしよう!と言う
頼みたいものがひととおり決まり、ジェルを呼んでアリアと僕が注文する
「以上ですね。かしこまりました」
そう言いながら、ジェルはカウンターの方へ走っていった
アリアたちが選んだ料理がどんなのか楽しみだな
僕たち四人はお腹の音が鳴るのを聞きながら料理が来るのを待った
「おまたせしました。海老の姿焼き・オニオンソース添えとポトフ、クルミパン、後、イカときのこの香草パスタでございます」
他の従業員が僕たちのテーブルに皿を置いていく
「わあ、おいしそうだね!!」
アリアが手を合わせて、素敵!みたいなポーズをしている
「思ったよりうまそうな料理でよかった」
ファイさんがふんふん、と頷きながら、来た料理を見定めている
「オレ、イカ好きなんだよな~」
そう言いながら、ロウの目線はパスタに釘づけだ
まあ、そういう僕も
「・・・クルミパン」
クルミパンに夢中なわけで
僕たちはいただきますと言うと、食べ始めた
最初は、これおいしい、あれがどうとか言っていたが
最終的には、皆が集中して食べるようになっていた
僕は大好きなクルミパンを頬張る
やっぱり、もっちりふっくら、クルミの香りが香ばしい
僕が幸せに包まれていると、ファイさんが
「やっぱり、坊やだな」
と言いながら、海老を食べている
だって仕方ないじゃないか
クルミパン、大好きなんだから
僕はそう心の中で言い訳しながら、ファイさんの言葉をスルーすることにした
ロウも、イカときのこの香草パスタをとり皿に分けながら、僕に向けてにやにやしている
気にするな
今はクルミパンに集中しよう
僕はもう一つクルミパンを手に取ると、むぐむぐと食べていった
「ごちそうさま!!」
とり皿に四等分した料理をアリアはペロリと平らげ、追加注文をする
「ブルーベリージュース、お願いします」
にっこり笑顔でアリアは従業員に微笑んだ
アリア以外の人がやっと食べ終わる頃に、アリアはジュースを飲みきっていた
「「「「ごちそうさまでした」」」」
四人がテーブルを離れ、お会計に向かう
お会計で払っている最中にジェルが僕のもとにやってきた
手には手紙を持っている
「ハジメ、土の国に行くのでしたらもう一つお渡したいものがあります。レストランが落ちついたときに持っていこうと思っていたのですが、会えたので渡しておきますね」
そう言って僕に一通の手紙を差し出してきた
僕はそれを両手で受け取る
「何か困ったことになったとき、この手紙を見せると良いですよ」
メガネをあげながらそう言って、ジェルはカウンターの方へと戻って行った
お会計を済まし、四人でレストランを後にする
アリアはまだ買い物が済んでいないらしく、ロウと買い物を一緒にするといい、別行動となった
また、ファイさんと一緒だ
「行こうか、ハジメ坊」
僕はファイさんと石畳の道を歩き出した。
レストランでお食事です。この話で食べ物が出てくるたびにお腹が鳴るので困ってますが、食べ物の描写には手を抜きたくないので、頑張ります。ファイさんとのデート?はまだ続きます。




