ガラスの出会い
リドにアリアがくれた書状を見せると、皿を落としてしまった
「こんなに簡単にとれるもんなのか!?」
リドは目を見開きながらアリアを凝視していた
そんなもん、そんなもん!と言うアリアはリドが作る朝食を心待ちにしていた
僕は書状を直すと、テーブルの上にリドが作った料理を持って行った
今日の朝食は
ブロッコリーと海老のクリームサンド、
さらし玉ねぎにサーモン、クルトン、コーン、レモンが入ったマリネ
そして、グリーンアスパラガスとコンソメのグリーンスープだ
アリアはいただきま~すと言うと、真っ先にレモンの入ったマリネに手を伸ばす
いつもどおりのアリアの食事のスピードに慣れてしまった僕は驚かない
僕がスープをに口を付けたころにはもう食べ終わっている
そう、あれだ
日本でいう、早食いなのだ、アリアは
スープをのみ込みながら、僕は食器を持っていくアリアを目で追う
テーブルに戻ってきたアリアとあらかた食べ終わったリドに僕は昨日と同じように話しかける
「二人とも、今日の朝、水の加護者から書状をもらったんだけれど、いつから移動していいかな?」
僕は、レモンの入った爽やかなお冷を飲みながら僕は二人を見る
二人にも都合があるだろうし、僕の我儘ばかり聞いてもらうのは虫が良すぎるだろう
そう思った僕は二人の返事を待った
リドが先に口を開く
「今からでもいい気分だぞ、俺は」
リドはうずうずしているようだ
故郷に帰りたいのだろう、そわそわしていた
「うーん」
アリアは真剣に悩んでいた
もう少し時間がかかるかな、と思っているとアリアが悩むのをやめた
「一日だけ、食料や衣類、道具が水の国に帰ってくるまで保つように準備していこうよ。もしかしたら、里帰りしたいっていう人がこの街にもいるかもしれないし・・・」
今日一日はそうしない?と言うアリアの提案を断るわけがない
食事の後片付けが終わった後、街で三人で別行動をしようと言うことになった
僕が衣類の調達、アリアが食料の調達、そして、リドが道具の調達をしに行くことになった
僕が衣類なのは、風の服屋とカバン屋 ノアに寄ればいいから、一人でも行けるだろうということだ
アリアから、調達するもののメモを渡される
僕はそのメモをリュックに入れた
3人とも出かける準備ができたので、レストランのドアを閉める
リドがレストランのドアに休業日と書かれている札をかける
レストラン、頻繁に休んでいいのだろうか
そう思いながらも僕は以前のように、円球の積み木を使って街に橋をかける
アリアが前回同様走っていくのを後から見ながら、三人はそれぞれの目的に向かって別れた
アリア、リドの順で別れていった
僕は一人店の前に残り、円球を操作して橋を店の方に戻す
よし、まずどっちに行こうかな
そう考えながら、リュックに入れたメモを広げていると、ポツリと水滴が空から落ちてくる
「雨?」
僕はメモが濡れないように体で庇いながら、目の前にある屋根のある店に向かっていった
軒下で雨宿りさせてもらおうと思い、店の前に立った僕はガラス越しに見えるものに目を奪われる
硝子細工の木のようなものだ
透き通る硝子には、茶色と緑色、水色、赤色と四色の色が塗られていた
まるで、この前の花瓶のタワーみたいに
僕はその店のドアをそっと開けた
カラン カラン
「いらっしゃい」
振り返った店主の目を見た僕は目を奪われる
透き通った新緑色の瞳だった
その瞳の女性は、抹茶色の髪を一つ束ね、長い髪をおさげにしている
店内にある硝子細工を一つひとつ丁寧にふきあげている最中だった。
新しい人が登場します。この人は物語の中心にかかわってくる予定です。最初はガラス細工に目を奪われていたようですが、彼女を見るとガラス細工を忘れてしまったようです。もう一話更新できそうなのでします。




