水の知らせ
遠くの方で誰かの声が聞こえた気がする
懐かしい声
・・・懐かしい?
目をあける
青い湖が僕の目の前で広がっている
「ここは?」
僕は辺りを見回す
誰もいない
何もない
さっきの声もしない
誰かいないのか、何かないのか
僕はその場から歩き出す
歩くたびに水面に波紋が広がる
ただそれだけ
湖の中心まで歩いてみる
何か落ちている
なんだろうか
僕は湖の中にあるものに手を伸ばした
薄暗いランプに照らされて、本当の意味での目が覚める
「夢か・・・」
僕は布団をはぐと、自分が昨日の服のままだったことに気づく
あのまま寝てしまったみたいだ
とりあえず、予備の服でも着ておくかなと思い、僕は別の服を取った
着替えを済ませ僕はドアを開けた
「ハジメー!」
おはよう!と言って抱きついてきたのは、もう分かる
「おはよう、アリア」
抱きつかれながら、僕は声をくぐもらせながら挨拶をする
息苦しくなったので、離すように言うとアリアは慌てて僕を離してくれる
「ごめん、ハジメ。今から呼びに行こうと思ってたんだ」
朝ごはんだよ!と元気に言ってくるアリアはいつも通り可愛いかった
店内に出て、カウンターの方で料理を作っているリドにも挨拶をする
「よお、昨日はごくろうさん」
その後、リドはなぜか噴出していた
僕が首をかしげていると、アリアは昨日の僕の接客について助言をしてくれた
一昨日の食事会のときは招待状があったからあんな感じの接客になったらしいが、普段は気さくに接客をしていいとのことだった
「それなら、早く言ってよ」
僕はその場で脱力した
そんな僕をアリアは椅子に引っ張っていってくれる
そして、お冷を持ってきてくれた
「まあ、お冷でも飲みなよ!」
ウインクをしてくるアリアに逆らう気はないので、僕は飲む
一口飲んだ後、爽やかな酸味が水と一緒に広がる
「これ、レモン?」
僕がお冷を飲み干しながら言うと、
「そう、レモンなの!!」
と張り切って言った
「このレモンは水の加護者のところでしか作られてないから、貴重なのよ」
凄いでしょ!と言うアリアの言葉に僕は急いで空になったお冷を置く
「水の加護者!?」
それって、昨日僕が会いたいって言った人、というと、アリアが思い出したように手を叩いた
「あっそうだ、ハジメにお土産があったんだ」
待ってて~というと、アリアは部屋に急いで何かをとりに言った
朝からフルスロットルだな
欠伸を堪えながら、僕はアリアが戻ってくる方を見ていた
「おまたせ~!!」
クルッと丸められた、書状のようなものをアリアは見せてくれる
「これが、水の加護者のサインと水の印、ね」
はい!と言って渡してくる書状を僕はテーブルの上に広げる
水の加護者のサインと水の印の上に何か文字が書かれている
僕はそれに目を通した
『水の国の加護者、エルファ・M・クヴァンは、船上レストラン 宿り木の逆移動を許可する』
水の流れのような達筆で、雫をモチーフにした水の印と一緒にサインがされていた
まさかこんなにすんなりいくとは思わなかったな
僕はアリアにお礼を言いながら、そんなことを考えていた。
すみません、一日更新が遅れてしまいました。一日一話で行きたかったのですが、パソコンが昨日はなぜか立ち上がらず、できませんでした。本当に申し訳ないです。今日は2話分更新します。少々短めですが、ご了承ください。




