僕の考え
「移動計などの火の国で開発されたものはことごとく使えない、ということから水の国から人の受け入れを火の国が拒んでいるんだ」
さっき言った理由と合わせて、それで三つ目だなと言うリドは、普段話さないせいか、心なしか疲れているように見えた
「うん、分かったよ、リド。僕の質問に答えてくれてありがとう」
そろそろ部屋に戻るねとリドに言うと、静かに手を振ってくれたので、リドの部屋を後にした
ドアを閉め、僕はそのドアに寄りかかる
どうやらリドは火の国に帰りたいが、帰ろうにも水の国から直接は移動できず、風の国、土の国を通って帰ろうにも、法律違反になるので帰れないようだ
それに、リドが言う移動計を使って国の間を移動していたということは、
前にアリアが話してくれた大陸の分断後、大陸間を徒歩で移動できる手段はないように思える
徒歩では行けないかもしれないが、方法はある
僕はその可能性にかけてみたい
まずは、その可能性を生かせるように、移動の方向を決めている法律を管理している人に会わなければ
そのことを明日、リドかアリアに聞いてみよう
僕はそう思いドアから体を離し、自分の部屋へ向かった
リドの部屋から僕の部屋へ行くには、一回レストランの店内に出ないといけないので、僕は店内に出る
すると、ブルーベリーアイスを食べ終わり、満足そうにカウンターで寝ているアリアがいた
「むにゃ・・・、ぶる~べり~、いっぱ~い」
しあわせ~、と言っているアリアは言葉どおり幸せそうだった
幸せそうだが、風邪をひくとまずいので、僕の上着をかけてあげる
おやすみ、と言って僕はレストランを後にした
~ レストラン・宿り木 店内 朝 ~
「い~っぱい!!ってあら?」
アリアは寝ぼけていた
カウンターに頬を直接くっつけていたので、カウンターの痕がくっきり頬についていた
「・・・痛い」
ほっぺを抑え立ち上がろうとすると、肩にかかっていた何かが床に落ちる
「うん?」
これ、ハジメの上着?と思い、服を拾い上げると、ポケットに何か入っているのにきづいた
いけないと思いつつも取り出してみる
「これは・・・」
ハジメがこのレストランをフネに造り替え、街に移動させたときに使った積み木と同じものだ
ハジメとこれが、このレストランを街に動かしてくれたんだ
このレストランを動かしたハジメを自慢に思う
「でも、この積み木、普通のものとなんら変わりないと思うんだけどな」
何であんなことが?といってアリアは積み木を手の平で回転させる
回転させていると積み木の端っこの方に小さな字で何か書いてあるのを見つけた
何かの文字のようだ
なんて書いてあるのかな?と思い、目を凝らす
その文字を見てアリアは目を瞠る
積み木に書かれている文字はアリアにとって見覚えのあるもののようだ
「どうしてこの文字がこれに!?」
アリアは驚きのあまり、積み木を自分のポケットの中に隠してしまった
ごめん、ハジメ
アリアは創の服をたたみ、申し訳なさそうにカウンターへ置いた
~ レストラン・宿り木 創の部屋 ~
「よし、今日はアリアに移動の方向を決めている人がどこにいるか聞いてみよう」
僕は、レストランの服に着替えながら今日やることを決めていた
上着を取ろうとしたら、昨日アリアにかけていたのを忘れていたので、僕はレストランの店内に早めに出ることにした
部屋のドアを開け、店内を見回す
僕の服がカウンターに置いてあったので、それを手に取る
服を広げると、一枚の紙が落ちてきたので、拾い上げ見て見る
『ハジメ、ありがとう!ひと泳ぎしてきます。 アリア』
文面を見て、僕はそれをポケットに入れる
そう言えば、泳ぐのが好きそうだもんな
そう思いながら僕は店の外へ出るために、外へとつながるレストランのドアを開けた
~ レストラン 店外 テラス ~
僕はレストランにもともとついているテラスに向かう
柵がないのがここだけだから、きっと海で泳ぐのであればここから泳ぐだろう
そう思い僕はテラスに立つ
遠くの方で泳ぐアリアが見えた
アリアは泳ぐのに夢中のようで僕に気づかない
普段結い上げている髪を泳ぐときは外すようで、長いエメラルドグリーンの髪が波間にきらめいていた
まるで、人魚だな
僕はそう思いながらアリアが泳ぎ終わるのを待つことにした。
アリアは泳ぐのが大好きです。まあ、潜水3分以上できてしまう子ですから、泳ぐのは苦にならないのでしょう。
創はどちらかと言うと泳ぐのは苦手なようです。だから泳ぎに行かずにアリアを待っています。泳いで行かせるとどうなるのかなと思いますが、今回やめておこうと思います。




