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積み木の世界  作者: レンガ
~ 水の国 ~
35/189

水と油

 「そうか、ハジメはそう思ったのか?」


 リドは本を机の方に置き、僕の方から視線をそらした



 「水の国と火の国の関係はアリアから聞いてないか?」


 リドが僕に聞いてくるので、僕は聞いてないと言う


 


 そうか・・・、じゃあそこもだなと言って、リドはさらに語り始めた


 「火の国と水の国の関係はかなり悪いんだ」


 リドが口を開きにくそうにしているが説明は続く


 リドの話によると、だ


 火の国では開発など人の力によって生きる人が多く、現実的に物事を考える人が多いらしい


 開発を行う火の国は今の日本の科学や化学の考え方に近いようだ


 逆に水の国では、物事を現実的に考えることが他国と比べて少ないらしい


 そして、極めつけに、水の国では人の力だけでは説明できない、怪異現象が多いとのことで、火の国は水の国を敬遠しているということだ


 

 確かに怪異現象が多いとかは分からないけれど、怪異現象の一つを僕は実際に見ている


 前、レストランがあった海域、街からレストランへは行けるが、逆にレストランから街へ戻ることができない、渦潮の流れだ


 「後、火の国からしか見えない怪異現象があるんだ」

 リドが机に置いていた本を持って僕の近くに来た


 本の中にはこのような記述がある


 『水の国は怪異に侵されている


  他国のものは気づかないようだが、水の国は毎日姿、形を変えている


  そう、まるで幻影のように』


 僕が読み終わるとリドは元の椅子に座りなおす


 「そこに書いてあったように、水の国は火の国から見ると毎日姿、形を変えているように見えるんだ」


 日本でいうオカルト的な部分を火の国の人が信じられないのは、この現象もあるからなんだ、と言うリドは本をもとの場所になおしていく


 「そのせいもあってなのか、火の国の民は水の国を、幻影の国と呼んでいるんだ」


 基本的に、というリドは何とも言えない表情をしていた



 


 

 幻影の国






 もちろん初耳だった僕は目を瞬かせるしかなかった


 「ああ、そうか。ハジメは記憶喪失だったな」


 すまんすまんと言って僕の頭を撫でるリドは微笑んでいた





 僕、18歳なんだけど、きっと気づいてないんだろうな






 はあ、と心の中でため息をついていると、リドが話を続けてきた



 「でだ。仲が悪いのと幻影の国騒動があって、水の国から火の国へ行くのは許されていないんだ」


 頭を撫でていたリドは僕の隣に座ってきた


 「それともう一つ原因がある」


 これだと言って僕に見せてくるのはただの腕時計のようだ


 「これがどうかしたの?」


 僕が首をかしげていると、リドが口を開く


 「これが俺を火の国から土の国、風の国、水の国へと行くのを助けてくれたものなんだ」


 リドによると、その腕時計は火の国では移動計と呼ばれ、順番通り行くのであればと好きなところへ行くことができる優れものだそうだ


 とはいえ、北から西、西から南、南から東と言う風に行くのは守らなければならないので、火の国から土の国へこれで行き、その後すぐに土の国から風の国に移動したという


 「ところがな、風の国で問題が起こったんだ」

 「問題って?」

 「移動計がな・・・」


 使えなくなってしまったんだと言ってがっくりと肩を落としているリドは、そのころのこと思い出しているらしく、うなだれていた


 どうやら風の国から水の国へ行こうとしたときに、ダメになったらしいと言うリドは

何かを思い出すようにしていた


 「どうしたの?」


 あまりにもリドが考えているので僕は話しかける


 「いや、この国に来る前に風の国で、俺と同じように火の国から移動してきたやつがいたんだが、そいつも水の国に行こうとしたとき、移動計が使えなくなったと言っていたな」


 火の国の開発のやつに伝えようにも帰れないしな、と唸っているリドを見ながら、僕はある考えを思いついた




 

 もしかして、水の国が幻影の国と呼ばれることと移動計が壊れたのは関係があるんじゃないか?





 そう思ったのだが、リドの悩みを増やすことになりそうだったので、このことを話すのはまた今度にしようと思い、僕は口を閉じた。


       

 今回の話と前回の話で、水の国にはこの世界に生きている人にも分からない謎がひしめいているということが分かったと思います。リドとハジメの会話はもう少しだけ続きます。

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