花瓶と色に
「マスター!」
ドアを開けて帰ってきたリドにアリアは突進する
「おい」
アリアの突進を受け止めきれずにリドは転倒した
わーん、寂しかったよと言うアリアをリドは宥める
僕はその光景を微笑ましく思う
「遅くなって、すまんかった」
朝飯つくろうかと言うリドは、朝帰りの酔っ払いから料理人へと変わっていた
今日の朝ごはんももちろん絶品で
アリアはやっぱりマスターの料理が一番!と一口食べた後言っていた
今日はきゅうりとなすのさっぱり冷静塩パスタに卵と豆腐のふわふわスープだった
ふわふわの卵に豆腐がたまらない
僕はスープのおいしさに感動していた
「ごちそうさま!」
手を合わせ、アリアは席を立つ
カウンターの奥へ食べた皿を下げ、アリアは箒と塵取をもつ
「さあ、皆が来る前にまずは掃除よ!」
やるわよ~、と言っているアリアははりきっていた
アリアのやる気に僕も応えよう
ごちそうさまと言い、僕も皿を奥へ下げた
僕はモップを持って店内の掃除を始めた
~ 招待客が来る前 一時間前 レストラン 宿り木 ~
リドは食材の下ごしらえを続けている
僕たちはロウが持ってくる予定の花を入れる花瓶をレストランの真ん中に飾っている
花瓶をまるでマカロンタワーのようにアリアは設置する
一段目が茶色で、二段目が緑色、三段目が水色、四段目が赤色の花瓶だ
てっきり同じ色の花瓶で揃えると思っていた僕は疑問に思ったので、アリアに訊ねてみた
「ねえ、アリア?」
赤の花瓶を設置し終わったアリアは僕の方を見下ろした
「うん、何?」
階段状になっていた花瓶を置く場所をアリアは飛び降りる
「何で、花瓶の色揃えないの?」
僕はアリアに投げかけた
「ああ!ハジメには言ってなかったっけ?」
この世界のこと、と言って僕をテーブルに来るように手招きしてきた
なぜ花瓶のことがこの世界と関連するのだろうか・・・
不思議に思いながらアリアの手に従う
「うん、聞いてないね」
僕は椅子に腰掛ける
「じゃあ、話しておくね」
アリアも僕の前の椅子に腰掛けた
「まずはこの世界の成り立ちから」
アリアはピンと指を立て、僕に教えてくれた
アリアの説明によると、この世界には四つの国が存在し、昔はその国々の大陸がつながっていたらしく、自由に人や動物が行き来できていたらしい
「私が生まれる前のころはドーナツ状につながってたんだって」
自由に他の国に行けていいな~、と言っているアリアは話を続ける
今はその四つの国をつないでいた大陸が国ごとに別れ、それぞれの国は海に囲まれている
その四つの国はそれぞれ得意なものをもっているとアリアは言う
今僕のいる国は、水の国・ミラルダ
この世界では東に存在している
料理することや漁をすること、観光することなどを中心に、衣食住の食と水に関することを得意としている
そして、その水の国のお隣が風の国・ネリアだ
風の国は南にある
この国では織物を作ることや香りを作ること、手紙などを運ぶことなど、衣食住の衣と風に関連することを最も得意とする
そして、その風の国の隣にある、土の国・グロウ
西に位置している
土と言うように、野菜や果物を作る土壌を耕すことや建物を作ること、動物を飼育することなど、衣食住の住と土に関することを中心に行う
最後に、土の国に隣接する、火の国・パリエスだ
この世界では北に位置する
鉱物やエネルギー資源を作ることや武器や防具を作ること、暮らしに便利なものを開発することが得意で、衣食住以外でこの世界に必要なことと火に関係するものに特化している
その四つの国はそれぞれ独自の色を表すものを持っている、
水の国は水の色、水色を
風の国は風の色、緑色を
土の国は土の色、茶色を
火の国は火の色、赤色を
それぞれ一色を国色として定め、その国に住む者はその色を愛するようだ。
今回から世界の成り立ちに触れています。それぞれの国は属性を持っております。水>火や風>土という考えはこの物語ではありません。
さらに言うと、魔法と言う概念はこの物語はありません。今後、4つの属性については力や加護と言う言葉で表していきます。




