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積み木の世界  作者: レンガ
~ 水の国 ~
21/189

織り物

 「でね、ハジメに普段着を作ってもらおうと思って今日は来たの」


 僕の肩に手を置きながら、アリアは二人に言う


 ああ~、だからなのね。と二人が手を叩いていたのを見て、僕は首をかしげた



 「「昨日のアリアが何で男性用の服を頼むのか分からなかったけれど、ハジメのことだったのね~」」


 そう言って、僕の今着ている店員服を二人は見ていた



 そうか、この服はここで作られたものなんだ


 軽くて、丈夫で、肌になじむ感じで、僕はこの服が好きだ


 

 ここで、普段着を作ってもらえるのなら本望だと思った



 でも、問題がある



 「ねえ、アリア?」


 アリアの前に出て、僕はアリアの方を見上げた


 「ここには、服屋だけど服がないよ?どうするの?」


 僕が当然の疑問を抱いていると、アリアは僕の頭を撫でてきた



 「わあ」


 いきなり撫でられたので、僕は焦った


 「問題ないわ、ハジメ!」

 ここは風の服屋なのよ!と自信満々に言ってくるのを僕は不安に思う


 本当か?と


 リリーとパンジーも僕らの話が聞こえたのか、笑い合っていた


 

 

 そんな笑わなくても・・・



 僕が落ち込んでいると、リリーとパンジーに体ごと引っ張られた


 「「普段着、だったわね?」」


 返事を望むような鋭い声音だったので、ぼくは慌てて頷く


 その後は、二人に店の奥にほおりこまれて、何が何だか分からなくなった



 終わったときは、二人の手には紙が何枚も書かれていた


 絵もあった。きっとデッサンだろう



 「「はい、ハジメ解放」」


 

 二人から部屋の奥から引っ張り出され、アリアの方になだれ込んだ


 「ハジメ!」


 アリアは僕を見事に受け止めた



 二人は僕たちが見えていないかのように、かなりの速さで話していた


 話し終わった二人は、さっき僕が見た布地の山に行く



 次の瞬間に起こった出来事に僕は驚きを隠せなかった 




 ハサミがないのに、布地が切れたのだ!!



 おかしいだろ、普通・・・。そう思っていると、布地の周りをほのかな緑色の光が漂っているのが見えた

 

 

 緑色の光・・・?



 僕がまた考えようとしていると、頭上のアリアが僕の方を見て言ってきた


 「ハジメ、あれが風の服屋の由来よ」


 ゆっくりと諭すように言ってくるアリアの言葉に、僕は納得した



 

 つまりだ


 緑色の光は、風で


 その風で二人は服のもととなる布地を切っているわけだ


 

 

 一心不乱に布地を裁断している二人の方を僕は見る



 

 なるほど、だから風の服屋か



 そういえば、ここには布地はあっても糸や針がない



 まさか、それも・・・




 僕が二人の方をじっと見ていると、案の定僕の考え通りになった


 二人は裁断が終わり、今度は風で布地と布地を織っていく


 

 どおりで服に縫い目がないわけだ



 次々と僕の疑問は解かれていった



 軽いのは風で織ったから


 丈夫なのは、針を通さずに穴をあけないから


 肌になじむのは風が優しく布地と体を包み込んでくれるから



 

 このような服が作ることができるから、さっき行列ができていたんだ



 僕はすでに完成された普段着に目を見張った


 

 しかも、20分で一着できるなんて・・・



 あり得ない、と言いたかったが言えなかった



 そう、なぜならここは僕が創った日本とは異なる世界、異世界なのだから。

 

 やっと、ファンタジー部分に突入しました。第一は風の加護です。4つの国にそれぞれの加護があるので、今後はその部分にも徐々に触れていきたいと思います。

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