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積み木の世界  作者: レンガ
~ 火の国 ~
187/189

黒の輝き

 火の国第4話です。どうぞ。

(あ、うん。ここが街だということは分かったけれども……)


 頭上にある空や太陽まで真っ黒とは言わないけれど、敷き詰められた石炭と鉄鉱石のじゅうたんに先ほど転んでいたのもあり、全身が真っ黒だった

 さらに言うと、僕のお先も真っ暗だったわけで


「オルエの街って、街名だけ分かっても、どこに何があるのか分かってなければ意味ないじゃないかー!?」


 山のてっぺんについたと思ったら、何かに引っ張られ、挙句の果てにどこぞの黒い街、見知らぬ街にリュックや服はあるけれども、身一つで投げ出されて……。


(しかも、土の国と同様、一人ではぐれる始末。何?もしかして僕は、新しい土地に行った度に面倒事、鳥にさらわれ、おとされたり、力を持つ人以外は抜け出せない迷路に通じる穴に入れられたり、誰かに引っ張られて皆とはぐれたまではいいとしても、ここがどこなのかもわからなかったり……)


「世界に落ちてきて、その世界のルールに干渉されているとはいえ、創造する力をある程度自由に使える、異世界人なのに、どうしてこうなるんだ?」


 何回ついたのか分からないため息をつき、ここがどういうところなのか情報収集もかねて人の姿を探すが、何も見当たらないことに疑問を感じていた


(仮に、あの工場の街が公式の街であっても、公式ではない所に人が住んでいないということにはならない。少なくとも、僕を引っ張った何者かは、近くにいてもおかしくないはず。けれど、人ひとりいないというのはどういうことなんだろうか?)


 黒い床に突き刺さっている看板から目を背け、たまたま向く気になった後ろの方に体ごと向く

 すると、あら不思議。

 ナイフに警棒っぽい棒状のもの、鉄鉱石製と思われる鉄パイプ、何でできているか見当もつかないが、たぶん当たってはだめだろうというような色をしているかんしゃく玉のようなもの、ムチ、剣、槍、そして、弓、しまいには、銃のような形をした飛び道具的なものを持たれている方が数名、僕の背後に湧いて出てきました~。


(わあ、場所が場所だったら拍手喝采、その後の劇に期待を込めて、チップや花束を投げたり、終わった後でアンコールという声と、少し調子に乗り過ぎた観客が口笛を吹いたりして盛り上がっている所……)


「……。」


 これが、夢だったらいいのにと、一番強く願った時はこれをおいて他にはないと僕は思う。いや、積み木以外のまともな抵抗手段を持たない(力も体力も紙以下)僕に、二、三人で尚且つ、遠い位置から追いかけてくきて、どこに落とし穴をつくればよいのか想像しやすい動きをする相手なら、対処方法はあったけれども、


 何らかのマイナス効果を僕に及ぼすだろうと思われる(少なくとも精神的にはもうマイナス効果を彼らはもたらしている)相手は、近距離から中距離、遠距離にいたるまでの、幅広く、僕がどんなに防いだとしても防ぎきれないような手段を持っている


(この世界の本当の住人でなく、人付き合いも適当で、スポーツなどの体力を使い、努力をおしまず、爽やかで健康的なものを行っていない時点で、体力面と腕力、脚力面、精神面、その他もろもろで劣るんだけれども)


 僕が気づいたことに気づいた彼らは、僕の待ってくれという言葉も聞かずに、走り出し、それぞれの手段を使って僕に攻撃してきた

 鈍く光るパイプと剣、宙に浮くかんしゃく玉、矢じりをつがえ、引き絞るのは弓、空を切るムチにナイフ、僕の目一杯に広がる槍先、剣道のように持って飛び上がって頭を狙ってきた警棒のようなものを、僕は映像の一部というように呑気に見ていた

 いや、呑気に見ていたのではない。あれだ。車に引かれそうになったときに、少し時間間隔がおかしくなるとかいうものだ。そう納得してから、僕に降りかかるものたちを見て、僕は目を閉じる。


(助けてくれる人は誰もいない。じゃあ、僕は……。)


 と悟りを開きそうになっている時だった


「しゃがめ、小僧!」

 

 僕にとってのマイナス効果が起こる寸前、黒い地面を雷のような鋭い声が僕の耳を貫いた


「え?」


 何が起こっているのかは分からないが、とりあえず言われた通りにしておこうと思った僕は、頭を抱え、リュックを屋根のようにしてくるまっていた

 その後、カランカランと言う音がしたので、少しだけその音のした方を見ると、燃え盛る炎に喰われる棒があった。見覚えのあるそれは、先ほどの警棒っぽいものと同一のものだと思われた

 その棒が、近距離の対応が不可能な僕の頭を直撃する前に、地面に落ち、さらに燃え盛っているというのは、助けの無い一瞬前では有り得なかった


(一体どうして火が?)


 そう思ってから、僕はそろりと先ほど小僧(正直けしからん)と叫んだ人物の顔を見ようとした

 けれどもその顔は、太陽の逆光によって見ることができず、異国の地、誰かも分からないその黒い影は、手に宿す炎と体術によって、僕に何らかのことをしようとたくらんだ数名を一掃していた

 そして、数分もしないうちに、僕からは遠い所にいた弓と銃から発射されたはずの矢と弾丸のようなものが焼き消され、その黒い影の体術により、重ね合うようにして倒れたのを見て、僕は思った


(やっぱり異世界だ。炎を操り、体術にも優れているとなると、もうこれは紛れもないファンタジー要素だと思うしかないだろう!?)


 心の中、現実と異世界の狭間で揺れる僕は、その黒い影がゆっくりと近づいてくるのを見て、丸めていた身体を起こし立ち上がる

 逆光で黒く見えていたその顔は、どうやら逆光のせいではなく、もとからの黒い肌のせいだったということが分かり、僕は呆けていた

 髪型だけで言うと男性に見えなくもないが、声だけで言うと女性?の人は僕に近づいてきた

 背にあるリュックをしっかり背負いなおしてから、僕はその人の顔を見上げていた

 僕の頭2つ分が軽く入るぐらいの背の高さ、僕との差に陰で涙しながらも、僕は僕の目の前に立ったその人の目を見て、吸い込まれていた


 先ほどの炎と同じぐらい燃え盛るその瞳の色は、血の色さえも連想させるような、熱く、そして冷酷な感情を宿していた。そして、その人の髪は、肌の色よりも透き通った、オニキスのような黒の輝きを帯びたその髪は、僕の髪なんかどうでもよくなるようなきれいさだった


(瞳以外は全身真っ黒だな)


 そう僕が思ってから、助けてもらったお礼をしようとお辞儀して、話しかけようとした僕の前に、なぜか彼、彼女の大きな手が差し出されてきた


「?」


 差し出された手の意味が分からず、僕は戸惑いの表情を浮かべていると、その人は僕にさらにぐいっと手を差し出してきた


「……?」


 突き出される手の言うことを考えられない僕は、耐えかねて、その手を出す意味を訊ねていた


「あの、この手って、何か意味があるんですかね?」


 その疑問が僕たちの間を横切った途端、目の前の人は身を引いていた。ここが学校の運動場のように砂でできていたのであれば、砂埃が立つぐらいに

 やはり彼の身体をひかせる意味が分からない僕は、もう一度その人に尋ねた


「あの、手を出す意味が分からないと、まずいことでもあるんですか?」


 僕の言葉に、目の前の人は慌てるそぶりを見せる。目だけをパチクリと開け、その下の下にある口は全く動く気配がない


(どういうことだ?)


 僕がさらなる疑問の波に埋没しようとした時、別のところから声が聞こえてきた


「何言ってんのあんた。この国の住人なら赤ん坊でも知ってることでしょうが?助けられたら、手を取って、その助けてくれた方が良いというまで下働き、常識でしょう?」


 知っていて当然のように言ってきた声は女性のもので、僕が体を丸める前に聞いた声と同じものだった

 声の主は僕の背後にある、先ほどの街名の立札を盾にするようにして隠れていたらしく、ゆっくりとした足取りで、?マークを浮かべる僕に近づいてきた

 その出てきた人に気を取られていた僕は、黒い肌に黒い髪、燃える血のような赤の瞳を持つ人が、その女性の傍に移動していたことに気づくのが遅れてしまった


 僕の前に立つ二人は、黒髪に黒い肌をしていたが、瞳の色が違っていた。声をかけてきた方の女性は銀色の瞳をしていた

 二人して見下ろしてくるので、僕は少しみじめな気分に陥っていたが、そうも言ってられない事態になってきたのも確かだった。


(とりあえず、僕がこの国に赤ん坊のころからいたのではないということを伝えなければ)


 僕は目の前に立つ二人に真実を言うために、深呼吸した。


 今日も投稿できました。投稿の度に読んで下さる読者の皆様ありがとうございます。読んでいると思うほど、嬉しい気持ちでいっぱいです。

 今回もあまり進みませんでしたが、新しい登場人物が出てきましたね。彼らと創の関係はどうなるのか?下働きとして働かされることになるのか?

 予想されてみてくださいね。


 後、今日も書き直し投稿しました。今日は、「マスターリド」です。一応お知らせまで。


 では、今週はこれにて失礼致します。

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