土の知らせ
「ごちそうさま!!」
ペロリと朝食を平らげたアリアは、食べ終わった食器を片づけていく
まだ僕はサラダをやっと食べ終わり、半熟の卵を割っておかゆを食べようとしているところだった
リドもレンゲで口の中におかゆを放り込んだばかりだった
「美味しかったよ、マスター!!お昼も楽しみにしてるね!!」
じゃあ、私は掃除の続きをしてくるから!と言い、彼女は店のドアを開けて出て行ってしまった
相変わらずだけど、早いな食べるの
僕はレンゲですくったおかゆを冷ましてから口に放り込んだ
「はあ、今日のマスターのご飯も美味しかったな~」
先ほど立てかけておいた箒を手に取り、さっき食べた料理の味を思い出していた
やっぱりマスターの料理が最高!
よし、と気合を入れ、私は誰もいない店外を掃除し始めた
リドの料理を食べ終え、僕は食器をカウンターまで持って行った
さ、掃除の途中のところを終わらせないと
僕はリドにごちそうさまと言い、アリアと同じように店外に出て行った
先に掃除をしていたアリアと協力して店外の掃除を終わらせた僕は、彼女に肩を叩かれる
「ハジメ、お疲れ様!!やっぱり二人でするとはかどるね。ハジメがいて助かったよ」
ありがとう!というアリアに僕はいやいや、と答えていた
「従業員なんだから当たり前でしょ?」
「・・・それもそうだね」
僕の指摘を受けた彼女は、それでも明るく笑っていた
「じゃあ、従業員のハジメにもう一つお願いしちゃおうかな?」
彼女がその言葉を言ったとき、日はすでに僕たちの頭上近くまで迫っていた
「ポルカさんの迎え?」
太陽の動きを見てから言った僕にアリアはうん!頷いていた
「そう!お願いできる?」
「もちろん」
洗い終わってから畳んだ雑巾を彼女は僕の手から受け取った
「じゃあ、今から2時間後くらいにポルカを連れてきてくれる?後、彼女に会う前にアーシィに腕輪を、手紙をポルカに渡してくれる?」
お願い!というポーズをしてくる彼女に僕は了解と声をかけた
「2時間後にポルカさんをここへ連れてくるんだね?手紙を渡すタイミングはいつがいい?」
「会ったらすぐで」
「分かった」
アリアのお願いを聞きいれた僕は、店から少しずつ離れるようにして歩き出す
その僕の背中にアリアの声が届く
「行ってらっしゃい!!」
箒と雑巾を持ったアリアに見送られ、僕はトンネルのある草原の丘へ単身、向かうことになった
見えなくなったハジメを見た私は後ろを振り返る
よーし!ハジメを驚かせよう作戦、始めるわよ!!
えいえいおう!と小さく声をあげた私は、急いで店内へと入った
そんな彼女のたくらみを知る由の無い僕は、アリアから頼まれたことを実行するために動いていた
まずは、織り籠に戻ろう
きっとそこにアーシィがいるはずだ
僕はアリアから預かった腕輪と手紙を握りしめ、トンネルの中に入った
トンネルに入った僕の目には土の壁が迷路になっているのが分かった
その後、聞き覚えのある声が脳内に響いた
「創、やっと一人でトンネルを使いましたね」
脳内に響いてくる声の主の名を僕は呼んでいた
「リンネ!今までトンネルを使っても出てこなかったのは、僕以外がいたから?」
「そうです」
僕の答えにリンネは、はあとため息をついていた
「裏の世界の創造者であるこの私が、むやみに表の世界で生きている人に干渉していいわけがないでしょう?だから、創が一人でトンネルを使うまで出るのを待っていたんです」
「そうなんだ。何かごめん」
僕は迷路の中で、脳内に語りかけてくるリンネに謝っていた
「分かればいいです、分かれば。まあ、今表の世界では面白いことが起こりつつあるみたいですから、それで手をうちます」
「え、それってどういう・・・」
勝ち誇った声で言う彼女言葉を聞き返した僕は、彼女によって話すことを遮られてしまう
「織り籠の中にいる人物に早くその腕輪を渡さないといけないのでしょう?」
早く行きなさいと言われた僕は、戸惑いながらもリンネの言葉に従った
「楽しい一日を」
彼女の優しい声が脳内に響いた後、僕の意識は消えた
次の瞬間、はっと気づいて起き上がると、織り籠の近くのトンネルの穴に戻ってきたのが分かった
僕はリンネが言った言葉を反芻させながら、織り籠へと向かっていた
門の前にいる兵士に挨拶し、僕はアーシィがいると思う加護者の部屋へと急いでいた
ポルカさんの前にアーシィに腕輪をあげないと
土の結晶で覆われた廊下を僕は踏みしめていた
いくつかの角を曲がり、目的地のドアの前にたどり着く
少し緊張している僕は息を整えてからノックをした
「どうぞ」
部屋から響いてきた目的の人物、アーシィの声の後に僕はドアを押し開き、部屋の中に足を踏み入れた
そこにはアーシィの他にもとマッドとウィズさん、デニーさんがいた
僕は三人に軽く会釈し、アーシィの前に腕輪を差し出した
「これ、アリアから頼まれたんだけど、アーシィに渡してくれって」
僕の言葉を聞いた彼女は素直に腕輪を僕から受け取っていた。
アリアのたくらみ、まだまだ続きます。




