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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
173/189

いつもの三人

 昨日と同じように草原のあるところへ放り出される


 アリアとリドはきれいに着地していたが、僕は違った


 穴から飛び出た僕は、盛大に草原の上に転がされてしまった



 それを見たアリアは大丈夫?と言ってくれた



 「はは、平気だよ」


 大して痛くないからさ、と言って立ち上がる僕を彼女は心配そうに見つめた



 その僕とアリアにお構いなしであるリドは荷物を持って海の方を指さす


 「来るときには7日間ぐらいかかったのに、今日は一瞬で来れたな」


 置いていくぞ?というと、リドは草原の丘を先に下っていってしまった



 「あ、マスター、待ってよ~!!」


 駆け出そうとするアリアは僕の手を咄嗟にとった


 「行こう、ハジメ!」

  

 そう言って引っ張る彼女の手を僕は握り返しながら、僕たちのレストランへ向けて草原の丘を走り下った










 レストランである船の前に先に着いたリドは僕の方を見る


 「ハジメ、頼む」


 「うん」


 僕はポケットから当たり前のように積み木を取り出した


 そして、積み木を手の平にのせ、ソウゾウする


 船と陸とを結ぶ橋が架けられたのを見たリドは、一目散に橋を渡り鍵を開けて店内の中へと入っていた


 そんなリドに聞こえるようにアリアは叫ぶ


 「一応、昨日から船でレストランを営業することを考えてたから、空気の入れ替えはしておいたよ!ただ、掃除はしていないけどね」


 リドの後に続けて入るアリアは、昨日のことも話していた



 「・・・もしかして、昨日の朝から考えていたことなのか?」


 店内でリドに問われアリアは首を縦に振っていた


 「だって、最近接客してなかったから、つまんなくてね。接客したいな~と思っても、船へ戻るには数日かかる、一体どうしたらいいんだろうって昨日の朝から考えてたの。そうしたら、アーシィが船の近くまで連れて行ってくれて。それで、昨日ウィズさんを運んだ後、アーシィの仕事を手伝って、腕輪を貸してもらえるように頼んだんだ!!」


 接客するために頑張ったんだから!!と言って胸を張るアリアは、腰に手をあてていた



 そうか

 

 だから昨日、アーシィについて行ったんだな?


 僕は昨日のアリアの行動の意味がやっと分かったので頷いていた



 店内で荷物をおろしたリドが頭を掻きながら店の中を見回した


 「まあ、とりあえず、店内の掃除から始めるか」


 「はーい、マスター!」


 「はい」


 リドの提案を受け入れた僕たちは、店内の掃除に取りかかった 


  










 海の中から頭を出した太陽の光が海面に反射し、掃除されてきれいになった僕たちのレストランの輝きに磨きをかけた




 たったの一週間、掃除していなかっただけなのだけれど、それでもこんなに汚れてしまうものなのか



 レストランの外側、甲板のところで拭き掃除をしていた僕は、手に持っていた雑巾についていたほこりをゴミ箱に落とし、水の入ったバケツの中にそれを突っ込んでいた


 汚れた雑巾をその中で動かす度に、きれいだった水が黒くなっていくのを見た僕は少し面白く感じていた


 

 僕は掃除するのが好きな方だと思う


 何故かというと、掃除したら掃除した分だけそのところだけきれいになっていくし、同じように自分の心が洗われていくように感じるからだった


 それに、掃除している時は手を動かしてさえいれば頭で何を考えていても誰にも文句は言われない



 そこも僕が掃除を好きな理由の一つだったと思う


 

 僕が洗い終わった雑巾の水を絞ってからパンッと音をたてて広げていると、箒と塵取りを持ったアリアが店外の周りのところから僕の方に歩いてきた


 僕が拭き取った甲板を見て、アリアは僕に笑顔で微笑んでいた



 「うん!ハジメの雑巾がけは一級品ね!!」


 「そう?」


 「うん!」


 アリアの褒め言葉を僕がはにかみながら聞いていると、厨房の方からリドの声が聞こえてきた


 「おーい、二人とも。そろそろ腹が減ったろ?朝ごはん作ったから休憩な」



 リドの声が聞こえたアリアはいそいそと箒を立てかけ店内へと向かっていった

 

 「はーい!今行きまーす!!」


 「僕も!!」


 雑巾をバケツのふちにかけた後、僕もリドに聞こえるように返事をしてから店内へと向かう



 そういえば、朝ごはん食べてなかった


 僕は思い出したように鳴く腹の虫を押さえながら店内へと続くドアを開けた 







 「はあ、もうお腹ペコペコ!!」


 力が抜けたように用意された朝食の置いてある席に座るアリアの前に、リドが運びきれていない料理を持ってくる


 「手伝うよ」


 「おう」


 僕はリドの料理運びを手伝った



 ちなみに今日の朝食はカリカリに焼いたベーコンを細かく刻み、ネギと胡麻、辛口醤油で味付けしたふりかけをかけて食べる、半熟卵のおかゆと、野菜とリンゴ、パイナップルのヨーグルトソースがけサラダだった


 料理を運び終わった僕はアリアとリドが先についていた席につく


 「たまにはおかゆもいいかなと思って作ったんだ。味見してみてくれ」


 「うん!食べよ食べよ!!」



 待ちきれないアリアは手を合わせていた


 「「「いただきます!!」」」



 三人の声が店内に響いた後、僕たちは自分のペースで朝食をとっていった。


  

 200話で終わる予定だった過去の私が今のこの物語を見たら驚くかもしれません。

 過去の私は、飽きっぽいはずの私がこんなに投稿を続けているなんて思ってもいないでしょうから、見ものです。


 やっぱり、誰かに読んでもらっている、読んで頂けているからこそ、続けられることなのだと思います。


 いつもお読みいただきありがとうございます。勝手に休んだりするかもしれませんし、事情で投稿できなくなることもありますが、最後まで投稿しますので、かなり長いですが、お付き合いくださいね。

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