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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
170/189

通り雨が上がる

 僕とポルカさん、マッドが市場長の代理について話している間、代理となる予定の彼はお店の前の売り物を目を眺めていた


 「タイニー」


 色とりどりのガラス玉を一粒取って見ていたタイニーを僕は呼んだ



 「なに~、ハジメ兄?」


 ガラス玉を元に戻し、僕のもとへ嬉しそうに駆け寄ってきたタイニーを受けとめてから僕は彼の頭を撫でた


 気持ちよさそうに頭をさしだしているタイニーを勝手に子犬と錯覚していると、マッドから横から小突かれた



 そうだ、説明しないと



 僕はタイニーの頭を撫でながら、市場長代理の話をした


 ポルカさんが火の国に行っている間、市場長の代理が必要だということ、その代理にタイニーが適任だという話が出たこと、タイニーの補助としてマッドがつくことなどを説明した


 

 一通り話した後でタイニーの様子を見てみると、彼は涙を目に貯めていた


 「代理になることはいいよ。でも、ポルカ姉が火の国に行っている間、ぼくはこの国を、この土地を離れられないってことだよね!?」 



 タイニーの言いたいことに気づいた僕は、彼に頷いて見せた


 僕の頷きを目の当たりにした彼は、ポロポロと涙をこぼしていた



 「ぼく、ハジメ兄と一緒に旅できないの?」

 

 タイニーの涙に焦った僕は彼の疑問に心の中で答えていた 



 そう

 

 タイニーを代理としてこの土地に残すということは、ポルカさんが火の国に行っている間、彼が僕たちと一緒に旅をすることはできない、ということになる、そのことは分かっていたことだった


 分かっていたからこそ、マッドに話すことを躊躇ったんだけれども



 そう思った僕の前で頭を俯いたタイニーをポルカさんがそっと抱え上げる


 そして、彼が落ちつくようにポルカさんは背中をさすり、声をかけた



 「タイニーちゃん、ごめんね。あたしが火の国に行きたいって言ったからだね?ハジメくんと旅ができないのが悲しいんだね。本当にごめん」


 申し訳なさそうに言うポルカさんの話を聞くためにタイニーは顔をあげた


 ポルカさんは顔をあげた彼の目を覗き込み、自分の火の国に行きたい想いを静かに語っていた


 「でもごめんね。あたしは火の国に行きたいの。そして、父が今どうなっているのか知りたいの。勝手だけど、そんなあたしを許してねタイニーちゃん」


 決意を抱く彼女の目を見たタイニーは自分の涙をぐいっと拭っていた



 「・・・ハジメ兄と一緒に旅ができないのはすっごく残念だけど、ポルカ姉行きたいんでしょ?ぼくに代理が務まるか不安だけど、マッド兄がいるから大丈夫かな?だからポルカ姉は安心して行ってきて」


 火の国に



 そう彼女に言い切った後の彼の笑顔は、通り雨が上がったように晴れやかだった







 タイニーの言葉を聞いてありがとう!!と叫んだポルカさんは、タイニーをさらに上へ抱え上げ、その場で回っていた


 回されているタイニーはポルカさんの頭上できゃっきゃと声をあげて楽しんでいた


 それを見る僕たちは何とかなったと思って笑い合っていると、待っている店の奥から包みを握りしめてでてきた人がいた


 「アリア姉!!」


 ポルカさんにおろされたタイニーが店から出てきたアリアに気づいて叫ぶ


 叫ばれた方のアリアは、自分お店の中に入っている間に待っている人が増えていたことに驚いたのだろう、一瞬固まったがもとの晴れた笑顔を取り戻していた


 「ただいま!!」


 ポルカさんの店から出た時と違って元気な声を聞いた僕は、素直に嬉しかった  



 元気になってくれたんだ


 本当に良かった



 そう思っていたのは僕だけではなかったみたいで、ポルカさんも店から出てきたアリアに駆け寄っていた



 「いい笑顔!!やっぱりアリアちゃんはこうでなくちゃ」



 そういうポルカさんの声に、アリアは少しはにかみながら微笑んでいた






 

 土の織り籠から出てきた時と比べ、かなり月のが傾いていたので、そろそろ織り籠へ戻ろうということになった



 「もう偵察も終わったからな」


 「そうだね!!帰ろうよ」


 マッド兄の言うとおり!というタイニーは、マッドの横にくっついていた



 その先を行く二人の後に僕とアリア、ポルカさんがついてきていた

 

 その三人も話ながら歩く


 「ねえ、アリアちゃんはお土産なに買ったの?」


 「うーん、ポルカには内緒!」



 「そりゃないよ~。ちなみに誰のお土産?」


 「それも内緒、かな?」



 「そんな~!!」



 買ったお土産を聞き出そうとしているポルカさんをアリアがあしらっているのを傍らで見る


 元気なアリアの様子を見て安心していると、ポルカさんから話しかけられた


 「ハジメくん、アリアちゃんのお土産の中身、知りたいよね?」


 よね?と聞いてくるポルカさんの必死さに負けて頷くと、ポルカさんがアリアに何のお土産を買ったのかを諦めずに聞こうとしていた


 そんなポルカさんをからかうように、アリアは包みを隠して僕たちの方に向かって言った


 「ハジメにはまだ内緒!!」


 「まだ!?どういうこと?」


 「さあ?」


 「アリアちゃ~ん?」


 そんな二人の話をBGMに、月夜に照らされている市場の通りを僕は歩いていた。



 タイニーの涙を雨にして、今日はこんなタイトルをつけてみました。ネーミングセンスは無い方だと想っているので、正直自信ないです。


 自分ではうまくつけられたかな?と思っていても、傍から見たら変かもしれない、そう思うと人に見てもらうことを考えるのは大変なことですね。


 でも、大変なことがあるからこそ、大変じゃないことが分かる。私の生きている世界はきっとそうじゃないかな、と思いながら投稿してます。


 日を又ごしましたが、昨日の投稿はこれで終わります。


 おやすみなさい。

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