ミトリ公園にて
カバン屋 ノアを後にした僕たちは、さっき話に出てきていたミトリ公園に来ていた
お昼近くなので、弁当をここで広げて食べることにした
海岸の近くでお弁当を食べることなんて、日本ではしなかったことだな
そう思いながら、僕はアリアからもらった弁当を広げた
「「いただきます」」
2人の声が海岸に響く
遠くの方で釣りをしている人がいるだけで、他に人はいなかった
リド特製の弁当は、海老とアボカドの甘酢サンドに野菜ジュースだった
う~ん、おいしいと言っているアリアにさっき説明された
さすがリド、弁当も手抜きなしだなと僕は思った
サンドをほおばりながら、野菜ジュースを片手に持つ
アリアはすでに完食したらしく、片づけ始めていた
「ねえ、ハジメ?」
「うん、何?」
アリアが聞いてくるので、サンドを置いてジュースを飲む
「ハジメって、相手によって言葉を変えたりする?」
「ああ・・・」
そのことか、と思ってジュースも置いた
「うん、かなり変えるよ。目上の人には基本的に敬語。でも、リドは別かな」
なんか親しみやすくて・・・、と言って僕はアリアの方を見る
後、感情が高ぶったときは普段と違うけど、それは秘密にしておこうか
「やっぱり。初めにあったときと違って、私には敬語を使わなくなってるから、そうかもと思ったわ」
ぽんと手を叩きながら、僕の方を見てきた
「じゃあ、私はどうして敬語じゃないの?」
たぶん、私の方が年上だよ?と首をかしげているアリアに、僕は微笑む
「いや、たぶん同じ年だよ」
僕、18歳だしね、と言って、ジュースを片手に持った
一口飲んでから、アリアの方を見てみると、アリアは固まっていた
「うそ・・・、むしろ私の方がひとつ年下じゃない!?」
わなわなと口を動かしながら、アリアは目を見開いていた
へえ、アリアは17歳か
ジュースを飲みほしてから、残りのサンドを口にほおりこむ
「てっきり、13歳かと思ってた・・・」
なんで!?と頭を抱えているアリアに苦笑しながら僕は言う
「僕の家族が皆小さいのと見た目が幼いからだろうね」
父さんは165センチで、母さんは140センチ、姉は142センチぐらいだったんじゃないかな
そう思いながら、片づけていると
「あれ?ハジメ、記憶喪失じゃなかったっけ?」
手を組んでいるアリアは突然そんなことを言った
「ああ・・・、家族のことは今日朝起きて思い出したんだ」
慌てて言う
内心かなり焦った
ひそかにため息をついていると、そっかと納得したアリアは立ち上がった
「じゃあ、そろそろ、私の友達を探しにいこうかしら!」
エメラルド色の髪を翻しながら、僕の方を向いた
「うん」
僕も同じように立ち上がった
2人で公園の出口の方へ向かった
どこ行こうかな?と横で考えているアリアを見ていると、前の方からアリアを呼ぶ声が聞こえてきた
「おーい、アリア!」
手をふっている人物は遠くから見ても日焼けしている金髪の男だった
「アリアじゃないか!」
「ロウ、久しぶり!どこ行ってたの?」
親しげに話すアリアに僕は説明を求めた
「いや~、ちょうど今から行こうとしてた花屋の店主だよ」
へえ、この人が・・・、花屋!?
と言うほど、外見は花が似合うような人ではなかった。
アリアは13歳だと思っていたハジメが18歳だと分かり、信じられないようです。
年齢は、アリアが17歳、創が18歳、そして、リドが34歳という風に設定しています。




