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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
167/189

それぞれの

 ~ 市場の通り ~ 


 おススメのお店までしばらくかかるらしく、私はポルカさんの横に並んで市場のお店を眺めていた



 「ここの店も、ここの店も良い店だよ。ただ、お土産用ではないからさ」


 ポルカさんはまるで自分の庭だと言わんばかりに、通りを突き進む


 「ポルカさんの、庭?」


 そう言う私の言葉に頷きながら、ポルカさんはあ!と声をあげた



 「ポルカ!って呼んでよ。これから旅をしていく中なんだしさ」


 「・・・ポルカ」


 「そうそう!」



 満足そうに微笑んだ後、名を呼ばれた本人は市場を横切っていく



 その彼女の姿を見ていた私は、まだ説明してもらっていないことを思い出した


 「そういえばポルカ、さっきの黒い物体について説明してもらってないけど?」


 「あ、そっか。その説明をする目的で店の奥に入ったのに、うっかりしてた」



 ポルカはあちゃ~というように顔をゆがませ、私に説明してくれた


 「あれは、母親と別れる前、父親が持っていたものだと言われて渡されたものの中に、アリアちゃんのいうあの黒い物体、車のつくり方が書かれた紙が入っていたのよね」


 それで、というポルカの話に私は相槌を打つ


 「渡されたときは何だこれって思って忘れていたんだけど、最近になって思い出してね。つくってみようかなと思って、つくってみたわけ。うまくいかないだろうなって考えてたんだけど、何かうまくいっちゃってね。で、あの形の乗り物ができたんだ」


 ポルカは店の前に置きっぱなしになっている車を思い出すように言ってきたので思い浮かべてみる


 

 うーん


 黒い鉄の塊と思っていたので、私はとりあえずそれを思い浮かべた


 「使ってみると便利なんだけどね。あれは、馬より早く走れて、尚且つ馬での移動よりも荷物が積みこめるという優れもの!!ただし、操作を誤れば人が簡単に殺せちゃうほど危険なものなんだよ・・・」



 あっけらかんと言ってのけるポルカを見て、私は驚いた



 ちょっと待って!!


 人が簡単に殺せちゃうなんて、凄く危険なものじゃない  


 それを誰もが使えそうな、店の前に置いてきたの!?




 そう思うと不安でたまらない私は、ポルカの肩を掴んでいた


 「そんな危険なもの、どうしてお店の前に放置してきたの!?」



 私の怒りの顔に驚きつつも、ポルカは大丈夫と笑顔で私に返してきた



 「車を使えるのは私しかいないから、大丈夫」


 そう言いきるポルカの顔を見て、私はそうなんだと言う



 あれは人の命を簡単に奪ってしまうものなんだ



 そう思った私の車に対する負の感情は、彼女の言葉だけでは拭いきれなかった







 車の話をしているうちにおススメのお土産の店が見えてきたのか、ポルカは向こうの方を指さしていた



 「あ、あの店だよ。ほら、買ってきな?」


 そういうポルカは私の後ろにまわり込み、背中を押してきた


  


 一緒に見てくれるわけじゃないんだ


 そう思いながら私は、すすめられたお店に足を運んだ












 ~ 食堂 ~


 お替りを持ってきてくれたリド様の手からグラスを受け取った私が、先ほどと全く変わらないグラスの美しさに酔いしれていると、彼は私に話しかけてきた



 「デニーのことなんだが」


 「デニー叔父様?」


 「ああ」



 リドは席に着いた後、顔の前で腕を組んでいた


 そして、言葉を静かに転がすようにして私に話した



 「あいつは、この国にいるのが一番だと俺は思うんだ」


 嫁さんもいるしな

 


 リド様からの突然の話の後、話に関わる人物を見る


 お酒の瓶を片手に、ウィズさんと仲睦まじくしている叔父様の姿を見て、私は微笑んだ



 デニー叔父様はリド様、親友に愛されていますわね


 そう思ってから微笑んだ私は、その後のリド様の提案を素直に聴きいれていた
















 ~ ポルカの種屋 店の奥 ~


 頭を悩ませるマッドとそれを励ますタイニー


 そんな二人を見ていた僕は思いついた



 ポルカさんと一緒に働けるくらいで、働くことに責任感を持つ人


 ポルカさんと一緒に働いた経験があって、ポルカさんに教えてもらった人が僕の目の前に居るじゃないか



 僕はその場で手を打っていた


 その姿を見たマッドが首を傾げながら僕の方を見てきた



 「どうしたんだ、ハジメ。何か適任者を探すいいアイデアでも思いついたのか?」


 「そうなの、ハジメ兄!?」



 食いつきの違いはあるが、話に乗ってきた二人を見て僕は苦笑いした



 適任者を探すどころか、その適任者を見つけたんだけど


 でもな、本人がうん!と言ってくれるのだろうか


 そもそも、適任者としてこの市場で働いている人たちが納得してくれるのかどうか


 僕は先ほどのマッドと同じくらい頭を悩ませていた


 その僕に彼は近寄ってくる



 「何か、あるのか?」 



 期待に満ちた目をしている彼には話しておく必要があるだろう


 そう思った僕はマッドに耳を貸すように言い、素早く伝えた



 僕の考えを聞いた彼は最初目を丸くしていたが、納得したのだろう、しきりに頷いていた



 話し終わった後、彼は考え込んでから僕に言った



 「この件はポルカと市場の連中にも話をつける必要があるな」



 頷きあった僕たちを、話を聞いていないタイニーは不思議そうな顔をして見ていた。 



 今日は二話、と思いながらしていましたが、日にちをまたごしてしまいました。ごめんなさい。


 ポルカはどうしてアリアを一人でお店に行かせたのか、リドの提案にアーシィは乗るのか、創の考えている適任者は誰なのか?


 謎をちりばめていこうかなと思って、今回は書きました。


 土の国はもうしばらく続きそうです。お付き合いください。

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