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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
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話の種

 嬉しさと不安、混ざり合ったものがハジメの声で洗われるように感じたのだけれど、私は完全に不安を消すことができなかった


 火の国でなくても、彼が離れていってしまう、そんな機会はきっとこれからもあるだろうから


 そう思うと、胸の中に張られている糸がキリキリと音をたてるように、私の胸は締めつけられていった






 


 アリアとの話のきりがいい時に、お盆にのせたハーブティを人数分、ポルカさんとタイニーが運んできた 


 「はい、おまたせ!タイニーちゃんに淹れるの手伝ってもらったから、とってもおいしいはずよ!!」


 テーブルに置かれるハーブティの香りに、僕たちの間に流れていた空気が軽くなるのを感じた僕は、ポルカさんの目的について話を切り出した



 「ありがとう。ポルカさん、さっきの話・・・」


 「ああ、はいはい。あの話ね」


 

 ハーブティを一口すすり、おいしい!と言いながら、ポルカさんは火の国に行く目的について話していった



 彼女の話を簡単にすると、


 彼女は、生まれも育ちも土の国で、母親と二人で、この国中を転々としてきたらしく、土の国中を巡り巡ったのだという


 彼女の母親はもともと火の国生まれで、火の国から小さいころのポルカさんを連れて、土の国に移住してきたようだった


 土の国での母親との暮らしはとても楽しく、充実していたそうだ



 だが、その母親は早くに亡くなってしまい、土の国で一人、彼女は生きていかなければならなかった



 「母親が死ぬ間際に、父親が火の国にいるってことを聞かされてたからね。それで今回、火の国に行ってみて、父親に会おうと考えたわけ」



 彼女の目的が分かった後、タイニーがポルカさんに頷いていた

 

 「なるほど、ポルカ姉はそれで火の国に行きたいんだね?」


 タイニーが僕とポルカさんにしか見えない尻尾を振りながら言ってくるのを、彼女はそうだね~と言って返した


 「そう。ついでに、あたしがマッドの旦那と会うまでの事を話しておこうか」


 

 彼女はさらに話を続けていった


 

 母親が亡くなった後、商売することの楽しさを見出した彼女は、3大都市に行き、自分の商売の力がどのくらいのものなのか試そうと考えたそうだ


 3大都市を目指して三日三晩歩き続け、何とか辿り着いた彼女は、その辿り着いた先で気を失ってしまったのだという



 「今思えば、何にも食べてなかったからだと思う、あはは!」


 頭を掻きながら恥ずかしいそうに言うポルカさんに、タイニーは少し怒ったような表情で叱った


 「ダメだよ!!しっかりご飯は食べなくちゃ」


 「ありがとう、タイニー。その言葉、その時の私に言ってほしかったな~」


 苦笑しながら彼を見るポルカさんは、クリッとした目を精一杯鋭くさせながら自分の為に怒っているタイニーを宥めた


 その間に、僕はさっきから何も言葉を発さず、お茶を静かに飲んでいるアリアを盗み見る


 力なくハーブティを飲むその姿に、彼女の日頃の元気は感じられなかった


 

 やっぱり元気がない・・・


 どうしたんだろう



 そう考えていると、二人の間で盛り上がっていたのだろう、ポルカさんが声をあげ、タイニーに向かって話していた



 「気を失ったその時!マッドの旦那に助けられたんだな~、これが。運命的な出会いって、こういうことを言うんだと思う!!」



 マッドとの出会いの話を、拳を握りしめ、止まらない滝の流のように述べていくポルカさんに、僕とタイニーは耳を傾ける



 「もう、その時のマッドの旦那はさ、すっごくぶっきらぼうだったけど、可愛いかったんだよね!」


 過去のことを思い出しながら、マッドの幼いころを口にするポルカさんの話に、僕はついていけなかった



 唯一、話についていっているタイニーは、しきりにポルカさんに向かって相槌を打っていた




 その時、僕たちのいる部屋に一人、訪問者が現れた



 「やっぱりここにいたか。他のところの見回りを終わってから種屋に戻ってみたら、誰もいなかったから、きっとここだと思ってきたんだが、正解だったな」


 やれやれ、と言って入ってきたのは、ポルカさんの話の種である、マッドだった


 「あれ?マッドの旦那、来てたの?」


 マッドの姿を見て不思議そうに言うポルカさんに、マッドはおう、と返事する



 「いつもの見回り。もう終わったけど」

 

 そう言って部屋の真ん中にあるテーブルに近づいてくるマッドに、タイニーとポルカさんは熱い視線を送っていた


 「な、何だよ?」


 その二人の視線に気づいたマッドに、ポルカさんとタイニーはお互い目を合わせて、くすくすと笑う



 「何でもないよ、旦那」


 「うん!なんでもないよ、旦那!!」


 ポルカさんに続いて言ったタイニーの言葉にマッドは目を見開いていた



 「ちょ、何話したポルカ!?」


 「別に~」

 

 僕がポルカさんの旦那トークを聞いていない間に、何か面白いことがあったようだが、二人はそのことをマッドに秘密にしていた



 きっと、マッドの恥ずかしい話とかだろう



 そう思った僕が三人のやり取りを視界の隅に追いやっていると、アリアが突然、椅子から立ちあがったのが見えた。



 

 アリアが不安定です。悲しいですが、もう少しこのままだと思います。元気なアリアは少しの間お預けです。


 申し訳ありません。毎日の更新を心掛けているのですが、都合がつかず、今週はうまくいきそうにありません。本当にごめんなさい。

 できる限り更新したいと思いますので、よろしくお願いします。


 今日はこれで失礼します。

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