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積み木の世界  作者: レンガ
~ 土の国 ~
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割れた風船

 ポルカさんの言葉は、自分の犯したミスを何とか取り繕おうとしていた僕を驚かせた


 その驚きの表情をしている僕たちをポルカさんは見て言った



 「前々から火の国に行きたいとは思っていたけれど、法律でも禁止されてるし、行く手段もないから無理だと思ってたのよ。法律を無視したとしても、行く手段がなければ意味ないしね」


 けれど、行く手段があるのなら法律破ってでも行くよ



 そう言うポルカさんに、車を見て放心状態だったタイニーが口を開いた



 「ぽ、ポルカ姉、火の国に行きたかったの?ぼくの前ではそんなこと一言

も・・・」


 言ってなかったよね?というタイニーの確認に、ポルカ姉はうん!と頷いた



 「そうね・・・。今の今までずっと考えてたのよ。ここで一生商売をしていくか、それとも、火の国へあたしの目的を果たしに行くかを」


 今さっき決めたんだ、そういうポルカさんの顔は晴々とした顔をしていた


 そのポルカさんを見て、タイニーは嬉しそうにポルカさんに話しかけていた



 「この、黒い物体もすっごく気になるけど、ぼくはポルカさんが火の国で果たしたい目的の方が気になるな!」



 ポルカさんの目的は僕も聞きたいなと思っていたところだった


 タイニーの意見に賛成するように僕は手をあげた



 「僕も」


 「ぼくも!」


 僕たちの提案を聞いたポルカさんは苦笑した



 「はいはい!じゃあ、店の中に入って座って話そうか」


 そう言われた僕たちは、ポルカさんのお店の中にある休憩スペースへと入っていった




 前回、ここへ来たときはマッドが横たわっているベッドの方が気がかりであまり見ていなかったが、テーブルと椅子、ベッドが置かれている以外は、何も置かれていなかった



 「じゃあ、適当に座って」


 今お茶出すから、というポルカさんにタイニーは引っ付いた



 「僕もお茶淹れるの手伝うよ!」


 お茶の準備の手伝いを申し出たタイニーの頭を撫で、ポルカさんはタイニーと一緒にお茶の準備を始めた



 二人がお茶の用意をしている間、僕とアリアの二人は椅子に座って待っていた




 座ってから何度かアリアを見るが、彼女の様子があまりよくなかったので、僕は少し大きな声で話しかけた


 


 「アリア」


 僕の声に彼女はやっと気づいたようで、慌てて僕の顔を見てきた



 そして、何か言いたそうにしているのが分かったので、話すまで待っていると、


 「さっきの・・・、火の国が出身っていうことは、どうしたの?まさか、記憶喪失が戻って・・・?」


 と彼女は言ってきた



 「・・・いや、全部は戻ってないよ。」


 どこかが抜けたような顔をしているアリアに、僕は丁寧に自身の記憶喪失について話していった



 断片的に記憶が戻ること、そして、火の国が出身かどうかは分からないが、何となく火の国出身であるような気がするだけで根拠はないということを伝えた



 その僕の話を聞いたアリアは、そっか・・・と呟いていた


 「・・・そうだよね。そんなに簡単に記憶戻ったら苦労しないもんね!焦らずに、ゆっくり行こう!!」


 ね?という彼女は、僕が記憶が戻らなくて落ち込んでいると思ったのか、一生懸命僕を励ましてくれた



 でも、いつもと違って空元気だな


 僕はそう思っていた












 ハジメが火の国出身だといった時、私は彼の言った言葉が信じられなかった



 最初のうちは、もしかして記憶喪失が戻ったのかも


 以前言っていたはその前触れだったのかもしれない



 そう思うと、飛び上がるほど嬉しい気持ちになった私は、彼に抱き着いてその気持ちを表現しようとした



 でも、私は気づいてしまった


 もう一つの可能性に



 火の国出身だということが分かったハジメは、きっと火の国に行くというだろう


 土の国から出て火の国に行くこと自体は今までと変わりないのだけれど、火の国が自分の故郷だと分かった状態で行くとなると、話は変わってくる



 彼が記憶喪失だったら、彼を知っている人が火の国にいるかもしれない


 そうなったら、きっと彼は選ぶのではないか



 自分の故郷である火の国で、自分自身が生きていける場所を



 

 そう思ったら、私の嬉しい気持ちは割れた風船のように萎んでいった


 

 記憶喪失のままでいいとは思わない


 けれど、ハジメが火の国を選んで、私の傍から離れることになるぐらいなら



 記憶喪失のままがいい



 自分勝手だと思われるかもしれないし、ハジメに言ったら嫌われてしまうと思う



 けれど絶対に、離れたくない



 そう思った後で、私はどうしてその言葉を言ったのか自分に問いかけた




 どうして私は、ハジメと離れたくないと思ったのだろう?


 どうして・・・


 

 そう心の中で葛藤し、答えを探していると、いつの間にかハジメと二人きりになっていた


 お互い椅子に腰かける



 そして、ハジメが見てくるのに気づいていた私は、彼の方をまっすぐに見ることができなかった


 

 そんな私を心配してか、ハジメはいつもより大きな声で話しかけてきた




 「アリア」



 彼の声のおかげで、記憶喪失が治ったかもしれないという嬉しさと彼と離れてしまうという、不安で混ざり合った心が、きれいになったように私は感じた。


 

 今日はアリアの心の動きを中心にしてみました。


 嬉しいと思っていたら、嬉しくない出来事があって弾んでいた心がいっきに沈んでしまうようなこと、皆さんはありませんか?


 私もあります。この投稿している時も、普段の生活のなかでも、そういうことあります。


 でも、それで落ち込んでしまっているのはもったいないなとも思いますね。


 楽しい時間も楽しくない時間も同じ時間、使っている物自体はどれも変わりないのです。


 だったら、楽しく過ごしたい、私はそう思います。


 最近、後書きが長いと思いますが、お付き合いください。


 今日はこれで、失礼します。

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